昨年12月に行われたMR認定試験で、合格者が1997年の試験制度開始以来、初めて1000人を下回りました。製薬企業はMRの新卒採用を減らしており、狭き門となっています。
受験者数も過去最低
MR認定試験を実施するMR認定センターは2月1日、2023年12月に行った第30回MR認定試験の合格者が901人だったと発表しました。前回に比べて109人少なく、合格者数が1000人を下回るのは初めて。受験者数も1075人(前回比157人減)で過去最低となりました。
2000年代前半には毎年5000~6000人が受験していましたが、15年前後から減少傾向が顕著になり、14年(第21回)と23年を比べると受験者数は5分の1以下、合格者数は4分の1以下まで減っています。
新卒採用削減
受験者数・合格者数減少の背景には、製薬企業やCSOによる新卒採用の削減があります。
MR認定センターが毎年発行している「MR白書」によると、23年度にMRの新卒採用を行った企業は全体の35.5%にとどまり、こちらも14年度の55.6%をピークに減少が続いています。
23年度と14年度の新卒MR採用状況を企業形態別に見てみると、新卒採用を行った企業の割合は、内資製薬企業で63%から46%に、外資製薬企業で48%から17%に縮小。新卒採用を行った企業数は、内資製薬で約3割、外資製薬では約6割減少しました。
MRピーク時から1.6万人減
採用数が減っていることに加え、近年では第一三共のように新卒MR採用への応募を薬学部出身者に限る企業も出てきており、以前と比べるとMRとして製薬企業に就職するのは難しくなっていると言えます。
製薬業界では近年、リストラが相次いでおり、MR数は減少の一途をたどっています。MR白書によると、22年度(23年3月末時点)のMR数は前年度から2166人(4.2%)減って4万9682人となり、2000年度以来22年ぶりに5万人を下回りました。ピークとなった13年度(6万5752人)と比べると約1.6万人減少。この10年足らずで4人に1人が営業現場から消えたことになります。
薬価の毎年改定で市場が伸び悩む中、製薬会社は営業の効率化を迫られています。新薬がスペシャリティ領域にシフトし、デジタルツールの活用が進んでいることもあり、MRの減少は今後も続きそうです。