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ニュース解説

海外新薬承認情報(2023年1月分)

更新日

亀田真由

2023年1月に米FDA(食品医薬品局)が承認した主な新薬と適応拡大をまとめました。

 

【新薬】アルツハイマー病治療薬「Leqembi」や乳がん治療薬「Orserdu」など

【2023年1月に米FDAが承認した主な新薬】(*=優先審査、★=ブレークスルーセラピー)製品名(一般名)/社名/適応 |Leqembi(lecanemab)*★/エーザイ/アルツハイマー病|Airsupra(albuterol sulfate/budesonide)/英アストラゼネカ/喘息患者の気管支収縮(18歳以上)|Rykindo(risperidone)/中国Luye/統合失調症、双極I型障害(成人、徐放性注射剤)|Brenzavvy(bexagliflozin)/米TheracosBio/2型糖尿病(成人)|Jaypirca(pirtobrutinib)*/米イーライリリー/再発・難治性のマントル細胞リンパ腫(成人)|Orserdu(elacestrant)*/伊メナリーニ/ESR1遺伝子変異陽性のER陽性・HER2陰性の進行または転移性乳がん|※米FDA(食品医薬品局)や各社の発表資料をもとに作成

 

「Leqembi」エーザイ

アルツハイマー病(AD)治療薬「Leqembi」(一般名・lecanemab)は、エーザイが米バイオジェンと共同開発した抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体。脳内Aβプラークの減少を示した臨床第2相(P2)試験の結果をもとに、ADによる軽度認知障害または軽度認知症を対象に迅速承認を取得しました。エーザイは、プラセボとの比較で投与18カ月時点の症状悪化を27%抑制したP3試験データをもとに、フル承認に向けた申請を実施。欧州と日本でも1月に申請を行いました。

 

「Airsupra」英アストラゼネカ

喘息治療薬「Airsupra」は、短時間作用性β2刺激薬のalbuterolとコルチコステロイドのbudesonideの新規配合剤。アストラゼネカのエアロスフィア送達技術を使って開発された吸入薬で、気管支収縮が起こった際に必要に応じて使用します。臨床試験では、albuterol単独と比べて増悪のリスクを有意に低減させました。

 

「Brenzavvy」米TheracosBio

SGLT2阻害薬「Brenzavvy」(bexagliflozin)は2型糖尿病治療薬。臨床試験では、単剤療法、メトホルミンとの併用療法、標準治療への上乗せのすべてでHbA1cと空腹時血糖値を有意に低下させることが確認されました。

 

「Jaypirca」米イーライリリー

「Jaypirca」(pirtobrutinib)は、イーライリリーが2019年に買収した米ロキソ・オンコロジーが開発した可逆的BTK阻害薬。再発・難治性のマントル細胞リンパ腫治療薬として迅速承認を取得しました。BTK阻害薬を含む、少なくとも2つの全身療法を受けた患者が対象。承認の根拠となったP1/2試験の全奏効率は50%でした。欧州でも申請中で、日本では後期開発段階にあります。

 

「Orserdu」伊メナリーニ

「Orserdu」(elacestrant)は、経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)。「ESR1遺伝子変異陽性のエストロゲン受容体陽性・HER2陰性の進行・転移性乳がん」を対象に承認されました。少なくとも1つ以上の内分泌療法を受けた患者に使用されます。内分泌療法としては20年以上ぶりの新薬。ESR1遺伝子変異は内分泌療法の耐性の原因として知られており、これまでは治療が困難でした。欧州でも申請中です。

 

【適応拡大】「Tukysa」のHER2陽性転移性大腸がんなど

【2023年1月に米FDAが承認した主な適応拡大】(*=優先審査、★=ブレークスルーセラピー)<製品名(一般名)/社名/適応>Brukinsa(zanubrutinib)*/中国ベイジーン/慢性リンパ性白血病、小リンパ球性リンパ腫(成人)|Tukysa(tucatinib)*★/米シージェン/RAS野生型・HER2陽性の切除不能または転移性大腸がん(成人)|Rybelsus(semaglutide)/デンマーク・ノボ/2型糖尿病(成人、1次治療)|Enjaymo(sutimlimab)*/仏サノフィ/寒冷凝集素症(輸血歴にかかわらず使用可能に)|Keytruda(pembrolizumab)/米メルク/ステージIB、II、IIIAの非小細胞肺がんのアジュバント療法(成人)|Revatio(sildenafil citrate)/米ヴィアリトス/肺動脈性肺高血圧症(1~17歳の小児)|※米FDA(食品医薬品局)や各社の発表資料をもとに作成

 

「Brukinsa」中国ベイジーン

BTK阻害薬「Brukinsa」(zanubrutinib)は、慢性リンパ性白血病と小リンパ球性リンパ腫に適応拡大。同ibrutinib(製品名・IMBRUVICA)を対照群とする臨床試験で無増悪生存期間を有意に延長させました。欧州でも昨年11月に慢性リンパ性白血病の適応で承認を取得しています。

 

「Tukysa」米シージェン

経口HER2阻害薬「Tukysa」(tucatinib)は、新たにRAS野生型・HER2陽性の切除不能または転移性大腸がんの適応で迅速承認を取得。対象は化学療法後に進行した成人患者で、トラスツズマブと併用します。HER2陽性の転移性大腸がんに対する治療薬は米国初。P2試験の奏効率は38%でした。国内ではMSDがライセンスを持っており、乳がんの適応で開発を進めています。

 

「Enjaymo」仏サノフィ

寒冷凝集素症治療薬の抗補体(C1s)抗体「Enjaymo」(sutimlimab)は、輸血治療を受けているかどうかにかかわらず使用できるようになりました。直近6カ月以内の輸血歴がない患者を対象に行ったP3試験の結果などをもとに、添付文書の改訂が認められました。米国では昨年2月、定期的な輸血を受けている患者を対象に承認を取得しました。

 

「Keytruda」米メルク

免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-1抗体「Keytruda」(pembrolizumab)は、ステージIB、II、IIIAの非小細胞肺がんのアジュバント療法に適応拡大。切除手術やプラチナ化学療法を受けた患者に使用されます。承認の根拠となったP3試験では、プラセボと比べて無病生存期間を有意に延長しました。欧州でも申請中です。

 

AnswersNews編集部が製薬企業をレポート

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