2022年3月末時点の国内のMR数は5万1848人で、前年の同じ時期から1738人減少したことが、MR認定センターのまとめで分かりました。前年に比べると減り幅は小さくなったものの、減少傾向に歯止めはかかっておらず、ピークとなった13年度と比べると8年で2割減っています。
INDEX
5万人割れ目前
MR認定センターが公表した2022年版の「MR白書」によると、21年度(22年3月31日時点)の国内のMR数は5万1848人で、前年度から1738人(3.2%)減りました。減少は8年連続で、ピークの13年度(6万5752人)と比べると1万3904人、率にして21.1%減少しています。
国内のMR数は、18年度に2533人減、19年度に2742人減、20年度に3572人減と大幅な減少が続いていました。それと比べると21年度の減少幅は小さくなりましたが、減少傾向そのものに変わりはありません。MR数の今後の見通しについては、調査対象202社のうち70社(34.7%)が「わからない」と答えており、依然として先行きには不透明感が漂っています。
「Web・電話でのみ活動」398人
薬価引き下げや後発医薬品の普及を背景に、国内市場の収益環境は厳しくなっており、製薬各社は営業の効率化に力を入れています。新薬開発のターゲットが変化し、各社がスペシャリティ領域の製品に力を入れる中、医師への訪問回数を競うような営業手法は鳴りを潜めました。コロナ禍で情報提供のあり方も急速に変化し、リモートで活動する専任MRを置く企業も増加。今回のMR白書では初めて、MR数を「通常、医療機関に訪問して活動するMR」と「Webまたは電話でのみ活動するMR」に分けて集計し、全体の0.8%にあたる398人がWebまたは電話のみでの活動に従事していることが明らかになりました。
MR数の推移を、内資系企業/外資系企業/CSOに分けて見てみると、21年度は内資が3万322人で前年度から1179人(3.7%)減、外資が1万7512人で589人(3.3%)減、CSOが3948人で25人(0.6%)増。加盟業界団体別に見ると、日本製薬工業協会加盟社で前年度から2077人減少した一方、日本ジェネリック製薬協会加盟社では243人増加しました。
「新卒採用実施」4割下回る
MR認定センターはMR数の減少について「多くの企業が新卒採用や中途採用を控える傾向にあるほか、近年、営業部門を中心に大規模な早期退職を募る企業が目立っており、MR数減少の大きな要因になっていると考えられる」と指摘。「早期退職によってCSOへの転籍が活発になっていることも想定されるが、CSOに所属するMR数は横ばいが続いている」としています。
採用の低調ぶりは特に新卒で顕著になっており、今春の新卒採用を行った企業は前年から10社減の73社となり、全体に占める割合は36.1%と4割を下回りました。かつては全体の半数前後だった新卒採用実施企業は年々減少しており、今春新卒を採用した企業は内資で44.7%(前年比4.6ポイント減)、外資で21.7%(7.8ポイント減)にとどまりました。
新卒採用の今後の見通しについては、「変化なし」が110社(54.5%)で最も多く、「増える」が12社(5.9%)、「減る」が5社(2.5%)。「わからない」とした企業が73社(36.1%)あり、MR数と同様に先の見通しがききにくい状況がうかがえます。
中途採用実施企業は増加
一方、21年度に中途採用を行った企業は121社(前年度比8社増)。全体に占める割合は59.9%で、前年度から3.1ポイント増加しました。
中途採用者の前職を見てみると、製薬他社のMRを採用した企業が96社(79.3%)と最も多く、コントラクトMRが65社(53.7%)、他業界が17社(14.0%)と続きました。MR数のピークとなった13年度と比較すると、他業界出身者を採用した企業が半分以下に減った一方、コントラクトMRを採用した企業は大きく増加。製薬他社からの採用はほぼ横ばいとなっています。