2022年7月に米FDA(食品医薬品局)が承認した主な新薬と適応拡大をまとめました。
【新薬】 zonisamideの経口懸濁液「Zonisade」など
「Zonisade」米Azurity
「Zonisade」は、抗てんかん薬zonisamideの経口懸濁液。部分てんかんに対する補助療法の適応で承認されました。zonisamideは住友ファーマが創製した抗てんかん薬で、カプセル剤「Zonegran」が欧米などで販売されていますが、液剤は初めてです。
「Kyzatrex」米Mariusファーマシューティカルズ
「Kyzatrex」(一般名・testosterone undecanoate)は、経口のテストステロン補充療法薬。男性の内因性テストステロン欠損/欠乏症の治療に使用します。リンパ系を介して吸収される独自のソフトジェルカプセルを使っており、肝臓毒性を回避できるほか、局所製剤で起こる可能性がある女性や子どもへの影響を排除できます。155人の患者を対象に行った臨床第3相(P3)試験では、同薬を投与した患者の88%で90日目の血漿中総テストステロン濃度が正常範囲に収まっていることが確認されました。
「Zoryve」米Arcutis
「Zoryve」は、PDE4阻害薬roflumilastの局所製剤。独自の薬物送達技術を使ったクリーム剤で、1日1回塗布します。12歳以上の軽症から重症の尋常性乾癬患者を対象に承認されました。臨床試験では、外用薬として初めて間擦疹性乾癬への効果も認められました。アトピー性皮膚炎でもP3試験を実施中です。
【適応拡大】「Opzelura」の白斑や「Stelara」の小児の乾癬性関節炎など
「Xalkori」米ファイザー
チロシンキナーゼ阻害薬「Xalkori」(crizotinib)は、ALK陽性の切除不能、再発・難治性炎症性筋線維芽細胞性腫瘍への適応拡大が承認されました。対象は1歳以上の患者です。
「Diacomit」仏バイオコデックス
ドラベ症候群治療薬「Diacomit」(stiripentol)は、新たに生後6カ月~2歳未満への使用が承認されました。抗てんかん薬clobazamを服用する患者の発作の治療に使用します。小児では体重7kg以上の患者が対象です。日本ではMeijiSeikaファルマが1歳以上の患者を対象に2012年から販売しています。
「Opzelura」米インサイト
JAK1/2阻害薬ruxolitinib phosphateのクリーム製剤「Opzelura」は、非分節型の白斑に適応拡大。12歳以上の患者が対象です。非薬用クリームと比較したP3試験では、顔と全身の色素沈着を有意に改善しました。欧州でも申請中です。日本では今年4月、マルホがライセンスを獲得。白斑やアトピー性皮膚炎などの自己免疫疾患、炎症性皮膚疾患で開発を進める方針です。
「Stelara」米ヤンセン
抗IL-12/23p40抗体「Stelara」(ustekinumab)は、活動性乾癬性関節炎の適応で6歳以上の小児に対象を拡大しました。最初の2回の投与後は、年に4回の皮下投与で治療できます。患者数が限られるため、成人と小児の中等後から重度のプラーク型乾癬患者を対象とするP3試験と、成人の活動性乾癬性関節炎に対するP3試験の結果をもとに外挿するアプローチを活用。成人に対しては2013年に承認済みです。