市場拡大が著しく、開発競争も熾烈ながん領域。国内外の製薬大手の後期開発パイプラインを、2022年3月時点で各社が公表している情報をもとにまとめました。(全5記事。全記事まとめはこちら)
情報は2022年3月の調査時点で各社がホームページで公表していた情報に基づく。いつ時点の情報かは会社によって異なるため、承認・申請など直近のイベントが反映されていない場合もある。 |
英アストラゼネカ
【新規有効成分】tremelimumabとイミフィンジの併用療法が申請中
がん領域では、6つの新規有効成分が臨床第3相(P3)試験段階にあります。抗CTLA4抗体tremelimumabは、非小細胞肺がんの1次治療に対する抗PD-L1抗体デュルバルマブ(製品名・イミフィンジ)、化学療法との併用療法を申請中。肝細胞がんの1次治療でも22年6月までの申請を見込みます。
第一三共と共同開発する抗TROP2 抗体薬物複合体(ADC) datopotamab deruxtecan(開発コード・DS-1062)は、非小細胞肺がんで開発が先行しており、2023年の申請が目標。乳がんなどを対象に開発中のAKT阻害薬capivasertib(AZD5363)も複数のP3試験が進んでいます。
【適応拡大など】リムパーザ アビラテロン併用療法が年内承認へ
イミフィンジは、22年に5つ、23年に5つの適応での申請を見込んでいます。PARP阻害薬オラパリブ(リムパーザ)は、転移性去勢抵抗性前立腺がんの1次治療を対象としたアビラテロンとの併用療法と、BRCA遺伝子変異陽性乳がんに対するアジュバント療法が申請中。それぞれ年内に承認を取得する見通しです。
米ブリストル・マイヤーズスクイブ
【新規有効成分】抗LAG-3抗体が承認
2022年3月、免疫チェックポイント阻害薬の抗LAG-3抗体relatlimab(開発コード・BMS-986016)と抗PD-1抗体ニボルマブ(製品名・オプジーボ)の併用療法が、悪性黒色腫を対象に固定用量配合剤「Opdualag」として米国で承認。欧州でも23年の承認取得を目指します。日本では小野薬品工業と開発を進めています。
このほか、IDO1阻害薬linrodostat(BMS-986205)やCD122優先IL-2経路作用薬bempegaldesleukin(BMS-986321)などがP3試験を実施中。P2試験の段階には、エーザイと共同開発する抗葉酸受容体α抗体薬物複合体farletuzumab eribulinなど10のパイプラインが並びます。
【適応拡大など】ブレヤンジ、DLBCL2次治療へ適応拡大見込む
19年の米セルジーン買収で獲得した2つのCAR-T細胞療法は、CD19を標的とするリソカブタゲン マラルユーセル(ブレヤンジ)がB細胞リンパ腫(日米)、BCMAを標的とするイデカブタゲン ビクルユーセル(アベクマ)が多発性骨髄腫(日米欧)を対象に21年から22年にかけて承認を取得。ブレヤンジは欧州でも近く新規有効成分として承認される見通しです。年内には、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の2次治療への適応拡大の申請も予定しています。
独バイエル
TRK阻害薬ラロトレクチニブ(製品名・ヴァイトラックビ)は中国で申請中。年内には、前立腺がん治療薬ダロルタミド(ニュベクオ)の転移性ホルモン感受性がんへの適応拡大を申請する予定です。
マルチキナーゼ阻害薬レゴラフェニブ(スチバーガ)は、米ブリストル、小野と提携して抗PD-1抗体ニボルマブとの併用療法を検討しているほか、米メルクの同ペムブロリズマブとも肝細胞がんを対象にP2試験を実施中。単剤では膠芽腫でP3試験を行っています。