昨今、関心を持つ人が増えている「キャリアチェンジ」(未経験の業界や職種に転職すること)。MRが転職しやすい職種・しにくい職種を、製薬業界専門転職エージェント「Answers」「MR BiZ」(運営=株式会社クイック)のコンサルタントが解説します。
転職しやすいのは医療機器営業
結論から言うと、MRのキャリアチェンジは簡単ではありません。MRは、営業先が医師に限られ、規制が厳しく営業活動の幅も狭い。他業界で法人営業を経験してきた人と比べると、スキルや経験の面で劣ると判断されてしまいます。他業界と比べて高い年収も、キャリアチェンジを考える際にネックとなるポイントです。
そうした中で、比較的転職しやすいのは医療機器営業です。医師を営業先とする点で親和性があり、扱うものは違えど、MRとして医療機関で活動した経験を生かすことができます。特定の疾患領域の経験を求める求人も一部ありますが、おおむね30代前半くらいまでなら、領域経験を問わず転職できるチャンスは大きいと考えていいでしょう。
給与は企業によって違いが大きく、MRと同等の年収を維持できたり、インセンティブを含めるとMRより高くなったりするケースもありますが、下がるケースのほうが多いです。
「医薬品に関する知識」「医師とのコミュニケーション」といったスキル・経験が生きる点では、CRA(臨床開発モニター)も親和性があります。ただし、昨今、未経験のCRAを募集している求人は非常に少なく、転職はあまり現実的ではありません。
同じく臨床試験に携わるCRC(治験コーディネーター)も、CRAと同様に「医薬品に関する知識」「医師とのコミュニケーション」が生かせる職種で、比較的転職はしやすいと言えます。出張や転勤が難しい人にとっては魅力的な仕事ですが、給与がかなり下がることは覚悟しておく必要があります。
ヘルステックや医療系広告代理店も
近年台頭しているヘルステック/医療IT企業の営業職や、医薬品のプロモーション資材を制作する医療系広告代理店の営業職も、キャリアチェンジ先として検討の対象になります。
ヘルステック/医療ITでは、営業先が病院の場合、MRからの転職が歓迎される傾向にあります。一方、営業先が製薬企業となる場合、他業界で法人営業を経験した人が採用されることも多く、MRは不採用となるケースも少なくありません。製薬企業のことをよく知っている点はプラスになりますが、前述した通り営業スキルで劣ると判断されるからです。
医療系広告代理店の営業職では、製薬業界や医薬品に関する知識を生かすことが可能。ただ、専門的な情報を扱うため、理系出身であることが必須となるケースもあります。
MSLへのキャリアチェンジは難しい
一時はMRからのキャリアチェンジが盛んだったMSL(メディカルサイエンスリエゾン)ですが、現在では研究や開発の経験者を優遇する傾向にあり、MRからの転職は非常に難しくなっています。製薬企業のマーケティングも、未経験者を採用することはほとんどありません。
製薬業界や医療業界の外に目を向けると、保険業界やITベンチャーなどへの転職が比較的多いようです。コンサルティングファームに転職したケースも耳にすることがあります。
キャリアチェンジを考える際は、自分が何を重視したいのかを明確にすることが大切です。MRの仕事に対して懸念を持っている人はキャリアチェンジを成功させやすいですが、給与や福利厚生を重視する人は慎重に考えた方がいいでしょう。実際、キャリアチェンジしたものの、「やっぱりMRに戻りたい」と言う人も少なくありません。
30代後半になると、異業種・異職種への転職はぐっと難しくなります。MRの将来を不安に思う人は多いでしょうが、MRからのキャリアチェンジは年収が下がることも多く、それなりの覚悟が必要です。
(コンサルタント・倉本祐子)
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