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新型コロナで中途採用はどう変わったか|転職エージェントのキャリア談義

更新日

製薬業界で働く人のキャリアや働き方に関する話題のあれこれを、製薬業界専門転職エージェント「Answers」「MRBiZ」(運営=株式会社クイック)のコンサルタントとAnswersNews編集長が語らいます。

 

ほとんどの企業がWeb面接のみで内定を出している

前田雄樹(AnswersNews編集長):2020年は新型コロナウイルス一色の1年となりました。製薬業界の転職市場もコロナの影響を受けましたか?

 

細川剛(株式会社クイック ヘルスケアチーム コンサルタント):転職市場も厳しい1年になりました。ただ、製薬業界は他業界と比べると影響は小さかったのではないかと思っています。3~5月は採用活動をストップする企業も多かったんですが、その後、感染状況が一旦落ち着き、ウェブ面接の導入なども進んだことで、採用活動も回復してきました。12月現在では、コロナ前の9割くらいまで戻っているという感覚です。

 

前田:製薬業界ではもともと、中途採用にWeb面接を取り入れている企業は多かったのではないですか?

 

細川:確かに、製薬業界は他業界と比べるとWeb面接を結構やっている業界でした。ただ、それでもコロナ前は、1次面接はWeb、最終面接は対面、というパターンが多かった。それが今では、ほとんどの企業が1次面接から最終面接までほぼWebで完結する状況になっていて、8~9割くらいの企業は対面の面接なしで内定を出しています。

 

前田:面接手法の変化に企業側の戸惑いは感じられましたか?

 

細川:最初のころはありました。「直接会わずに内定を出していいものか」と。しかし、コロナの影響がいつまで続くのかわからない中、やり方を変えなければ採用活動が完全に止まってしまうということで、企業の姿勢も大きく変わりました。

 

前田:転職希望者の動きはどうでしたか?

 

細川:動き自体は例年とさほど変わりませんでしたが、転職希望者の気持ちの面には変化が見られました。対面営業ができなくなったMRでは、MRという仕事そのものに対する不安を訴える方がこれまで以上に多かったです。コロナで業績にマイナスの影響を受けた会社もありましたので、会社の将来に対する不安を転職理由として挙げる方も増えました。

あと、これは余談ですが、コロナ以降、異業種から製薬業界への転職を希望する方がかなり増えました。やはり、この業界は安定しているというイメージが強いのでしょう。

 

テレワーク浸透で「東京在住、大阪勤務」も

前田:転職希望者が会社を選ぶポイントに変化はありましたか?

 

細川:やはり、働き方を気にする方は増えました。在宅勤務はできるのか、できるなら頻度はどれくらいか。もちろん、フレックスタイム制の導入や残業時間なども。昨年から「働き方改革」が注目されていたところにコロナが起こったので、会社選びの判断軸に占める働き方のウエイトがかなり大きくなった印象です。

 

前田:在宅勤務がこれだけ広がると、勤務地に対する考え方も変わってくるのではないでしょうか。例えば、地方で家族と生活しながら、東京の本社に勤務する、みたいな。

 

細川:制度として整っている会社はまだあまりありませんが、特例的に認めるケースは少しずつ出てきています。これは実際にあったケースなんですが、大阪に本社がある企業が、東京で家族と同居している人を採用した際、「大阪本社には月1回来てくれればいいので、あとは東京で家族と生活しながらテレワークしてください」と。

 

前田:以前なら考えられなかったことですよね。

 

細川:そうですね。こういった動きは今後、浸透していくかもしれません。正直、リモートワークであればどこにいるかは関係ないですからね。こういうケースが広がってくると、転職希望者もより柔軟に会社を選べるようになりますし、企業側としても優秀な人を採用しやすくなると思います。

 

前田:コロナによって、面接などで企業が応募者を見るポイントに変化はありましたか?

 

細川:在宅勤務が中心となる中、セルフコントロールがきちんとできるか、自ら考えて行動できるか、といったところを見る企業が増えたように思います。あとは、デジタルツールへの親しみですね。

 

応募から内定までの期間は短くなっている

前田:私も普段、オンラインで取材をしていると、対面に比べて雰囲気や表情が捉えにくく、やりづらいなと感じることがあります。Web面接による採用だと、ミスマッチが起こりやすくなってしまうのではないかと心配になるんですが、そういった点を補う意味で、例えば、面接の回数を増やしたり、面接の時間を長くしたり、といった企業はありますか?

 

細川:面接の回数や時間、面接官の人数は変わっていないですね。基本的に今は、対面でやっていた面接をそのままオンラインに置き換えているような形になっています。ただ、企業側も疑心暗鬼な部分はまだあって、コロナ後に採用した人のパフォーマンスによっては、今後、面接のやり方を変える企業も出てくるかもしれません。

オンライン面接の結果、ミスマッチが起こったというケースは、今のところあまり聞かないです。しかし、ありえない話ではないので、もしかしたら今後そうしたケースも出てくる可能性はあると思います。研究職や製造職では、選考の過程でラボや工場を見学したいという方も多いですが、今の状況ではなかなかそれも叶いません。

 

前田:一方で、在宅勤務が広がり、オンラインで選考が完結するようになったことで、転職活動自体はしやすくなったんじゃないですか?

 

細川:その通りです。特に、非営業職の方にとっては、活動が柔軟にできる状況になったと思います。わざわざ会社を休まなくても、在宅勤務の合間に面接を受けられるようになりましたから。コロナ前は面接の日程調整に苦労することも多かったんですが、今はかなりスムーズになっていて、転職活動の期間自体も短くなっています。従来は応募から内定まで1.5カ月かかっていたのが、今は1カ月くらいまで短縮されているイメージです。

 

前田:コロナ禍で転職活動をする上での心構えのようなものはありますか?

 

細川:在宅勤務で時間的な余裕がある方も多いので、キャリアを考えるにはいい時期なのではないかと思います。自身の市場価値をどう高めていくか、自身のキャリアにどう付加価値をつけていくのか、長期的な観点が考えることが大切です。

 

細川剛●株式会社クイック ヘルスケアチーム コンサルタント。約10年にわたり、製薬業界を中心とするヘルスケア分野で採用と転職をサポート。キャリアチェンジを含め、幅広い職種で転職を支援した経験を持ち、特にMRの転職支援を得意としている。

 

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