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成長続くCDMO市場 大日本住友も再生医療で参入…富士フイルムやAGC、M&Aで規模拡大

富士フイルムやAGCといった異業種参入組が相次ぐ買収で牽引し、バイオ医薬品市場の拡大とともに成長を続けてきたCDMO市場。今年10月、再生・細胞医薬分野で治療薬の開発を進める大日本住友製薬が住友化学と合弁会社「S-RACMO」を設立し、新規進出を果たしました。塩野義製薬や生化学工業など、新薬メーカーも買収でプレイヤーとして立ち位置の確立を目指しています。

 

大日本住友、住友化学と合弁で参入

2030年度までにグローバルで1.2兆円規模に達すると予想される再生・細胞医薬のCDMO(医薬品受託製造開発機関)市場に、大日本住友製薬が親会社の住友化学と参入します。

 

両社は今年10月、合弁会社「S-RACMO(エスラクモ)」を設立し、業務を開始したと発表しました。出資比率は大日本住友51%、住友化学49%。再生医療等製品を開発する大日本住友と、iPS/ES細胞の基盤技術を持ち、低分子医薬品原薬・中間体の受託製造を手掛ける住友化学が組み、グローバル市場でのシェア獲得を目指します。

 

大日本住友は18年、他家iPS細胞由来の再生・細胞医薬の製造プラント「SMaRT」(大阪府吹田市)を、GMPに準拠した世界初の商業用製造施設として整備。S-RACMOではその一部を受託製造に活用するほか、大日本住友の総合研究所(同市)に11億円を投じて建設する新施設を使って事業を展開します。

 

大日本住友は合弁会社での製造を視野に、米コルネアジェンと角膜内皮細胞製品の製造・製法開発受託に向けて協議中。2020年4~9月期の決算説明会で野村博社長は、すでに国内からも引き合いがあるとし、「2030年くらいまでに売上高100億円超の事業にしたい」と話しました。

 

医薬品原薬CDMO 市場は24年に3.7兆円

医薬品原薬のCDMO市場は、グローバルで24年に3.7兆円規模まで拡大する見込み。特に、バイオ医薬品や遺伝子治療・細胞治療の分野で高成長が期待されています。

 

【医薬品原薬CDMO市場規模推移のグラフ】 |2020年…257億ドル/2024年…352億ドル |2020-24の年平均成長率:遺伝子細胞治療薬 31%、バイオ医薬品(微生物、動物) 10%、合成医薬品 7% |※AGCのIR資料(EvaluationPharmaデータなどから同社累計)をもとに作成

 

14年に再生医療CDMO事業に参入したタカラバイオは、今年1月にも研究・製造施設を増設。22年度に96億円以上の売り上げを目標に、今後も生産のキャパシティを拡大させていく方針です。

 

今年6月に昭和電工が約9600億円で買収した旧・日立化成(現・昭和電工マテリアルズ)は、再生医療事業を展開する米カラドリウスの受託製造子会社PCTを17年に買収し、翌年に日本でも再生医療のCDMO事業を開始。19年には独アプセスバイオを買収するなど、規模を拡大させています。旧日立化成は、昭和電工との統合前から「2025年までに再生医療CDMOで世界シェアNo.1」という目標を掲げており、昭和電工もこの方針を支持。「ライフサイエンス事業は買収後も中長期的な成長ドライバーだと考えており、資金面含め最大限サポートしていきたい」としており、今後もさらなる投資が予想されます。

 

富士フイルムやAGCが1000億円規模

グローバル市場で存在感を高めているのが富士フイルムです。同社は 11年に米メルクからCMO企業2社を買収し、CDMO中核会社のフジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ(FDB)を設立。14年に米CMOのケイロン・バイオセラピューティクスを、19年に米バイオジェンの製造子会社を買収しました。

 

FDBは現在、英国に1つ、米国に2つ、デンマークに1つの拠点を構えており、富士フイルムは米ケンブレックス(19年にペルミラファンドに買収)や韓国サムスン・バイオロジクスと並び、世界有数の CDMO企業に数えられています。

 

今年度は、複数の新型コロナウイルス感染症ワクチン・治療薬の製造を受託したこともあり、CDMO事業の売り上げが1000億円に達する見込み。24年度に2000億円に倍増させることを目指しています。デンマーク拠点では、1000億円を投じてバイオ医薬品の製造設備を増強。米テキサス拠点では遺伝子治療薬のCDMO事業を展開しており、来年には英国拠点でも始める予定です。

 

【富士フイルム・AGCの各拠点の設備・特長】(買収年度/拠点/取扱/設備(稼働時期)・特長): <フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ> |11/米ノースカロライナ/バイオ医薬品(微生物/動物細胞)・治験薬/商用品、少量~中量生産品のGMP製造に実績・【増強】シングルユース仕様の2000L動物細胞培養タンク導入、原薬の精製設備の増強(20年) |11/英ビリンガムバイオ医薬品、遺伝子治療薬(21年から)/・生産プロセスの開発受託、微生物細胞培養に注力・【増設】バイオ医薬品の生産プロセスの開発拠点(~18年)・【新設】遺伝子治療薬の生産プロセス開発・原薬製造施設(21年)" |14/米テキサス/バイオ医薬品、遺伝子治療薬/・抗体医薬やワクチンの開発・製造に注力・【増強】生産棟新設、シングルユース仕様2000Lの細胞培養タンク6基など(~19年)・【増設】遺伝子治療薬のプロセス開発棟新設、シングルユース仕様500/2000Lの細胞培養タンク8基など(21年) |19/デンマーク・ヒルロッド/バイオ医薬品/・2万L動物細胞培養タンク6基を保有、大量生産が可能・【増強】大量培養タンク6基、全自動型製剤製造システム、多品種の包装ライン導入など(~23年) <AGC> |16/ドイツ・ハイデルベルグ/バイオ医薬品(微生物)/・微生物発現系を使ったバイオ医薬品のCDMOサービス |17/米シアトル/バイオ医薬品(微生物/動物細胞)/・培養スケール1.2万L規模のシングルユース製造ライン・【増設】動物細胞シングルユース仕様の2000Lバイオリアクター12基増設、微生物の受託開発製造施設新設(20年)・【増強】動物細胞シングルユース仕様の500Lバイオリアクター(20年) |17/デンマーク・コペンハーゲン/バイオ医薬品(微生物/動物細胞)/・2000Lの動物細胞培養槽・【増強】2000~1.2万Lまでの培養規模に対応(18年)・【増強】精製ラインの新設(生産効率1.5倍)、製造プロセス・分析手法の研究開発施設拡張(20年) |19/スペイン・マルグラット/合成医薬品・開発医薬品から商用医薬品まで幅広いスケールの生産に対応・【増強】生産能力1.3倍、研究開発施設を新設(~22年) |20/米コロラド/バイオ医薬品(動物細胞)/・2万L動物細胞用ステンレスバイオリアクター2基を備えた製造ライン(21年に受託製造開始) |20/イタリア・ミラノ/遺伝子・細胞、治療薬/・細胞加工・ベクター製造などのプラットフォーム技術を確立 |※富士フイルム、AGCのリリース、決算資料などをもとに作成

 

AGCも22~23年にCDMO事業の売上高が1000億円に到達する見込みです。同社は日本で展開してきた合成医農薬・バイオ医薬品(微生物)CDMO事業を起点に、買収や設備増強で事業をグローバルに拡大。16年に独バイオミーバを子会社化し、17年にCMCバイオロジクス(デンマーク)、20年に英アストラゼネカの米原薬製造工場を買収しました。今年7月にはイタリアのモルメドを買収し、遺伝子・細胞治療薬分野のCDMOにも参入。合成医薬品でも、独ベーリンガーインゲルハイムの原薬工場を獲得するなど拡大中です。

 

塩野義や生化学なども

製薬業界では近年、工場を売却する動きが活発化。一方、大日本住友のように市場拡大をにらんでCDMO事業に力を入れる企業も出てきています。

 

塩野義製薬は、19年にグループの生産関連機能などを「シオノギファーマ」として分社化。グループ内だけでなく、外部からの受託を含むCDMO事業を展開しています。今年6月には、アンジェスと大阪大が開発している新型コロナウイルス向けDNAワクチンの中間体製造を受託。今年10月には注射剤などの受託製造を手掛けるナガセ医薬品を買収し、製造能力やノウハウの相互活用を目指します。

 

生化学工業も今年3月、カナダのダルトン・ケミカル・ラボラトリーズを約33億円で子会社化。▽ダルトンの化学合成技術や製造工程開発のノウハウ▽GMPに準拠した海外製造拠点――を獲得し、自社製品の内製化を進めるとともに、同社のCDMO事業を取り込みました。

 

このほか、Meiji Seikaファルマは昨年10月、15年に子会社化したメドライク(インド)で日本市場向け製剤のCMO/CDMO事業を本格的に開始しました。欧州などでCDMO事業をすでに展開するメドライクは、30億錠を生産できる日本向け製剤専用ラインを保有。後発医薬品子会社Meファルマを通じて日本市場に製品を供給していましたが、他社からの製剤製造受託にも手を広げています。

 

(亀田真由)

 

AnswersNews編集部が製薬企業をレポート
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