1. Answers>
  2. AnswersNews>
  3. ニュース解説>
  4. ファイザーの新型コロナワクチン「コールドチェーン」が供給の障壁に
ニュース解説

ファイザーの新型コロナワクチン「コールドチェーン」が供給の障壁に

[ニューヨーク ロイター]米ファイザーと独ビオンテックが11月9日、新型コロナウイルスワクチンの臨床第3相(P3)試験で良好な中間解析結果を発表し、米国では接種に向けた準備作業も加速している。だが、緊急使用許可が認められたとしても、ただちに地方の薬局にまで供給が及ぶことはないだろう。

 

米国株を市場最高値に押し上げた中間解析結果によると、両社の新型コロナウイルスワクチン候補は90%超の予防効果を示した。両社は、安全性に関するデータがそろうのを待って、米FDA(食品医薬品局)に緊急使用許可を申請する方針。両社は使用許可が得られ次第、供給を開始するが、政府はワクチンの必要性が高い人々に優先的に配布する考えで、医療従事者や老人ホームで暮らす高齢者がまずはリストアップされるだろう。

 

マイナス70度以下

しかし、このワクチンには超低温での温度管理が必要だ。これは、米国で最も高度な体制を敷く病院にとっても障害となり、資源の乏しい地方や貧しい国ではワクチンを入手できる時期や場所に影響を与えるかもしれない。

 

ファイザーとビオンテックのワクチンは、mRNAを使ったもので、マイナス70度以下で保管する必要がある。ジョンズ・ホプキンス大ヘルス・セキュリティ・センターの上級研究員であるアメシュ・アダルジャ氏は「コールドチェーンは、新型コロナウイルスワクチンの予防接種を行う上で最も大きな課題の1つとなるだろう」と指摘。「大都市の病院でさえ、そのような超低温での保管施設は持っていない」と話す。

 

事実、米国で最も権威のある病院の1つであるメイヨー・クリニックにも、今のところそのような設備はないという。同病院のウイルス・ワクチン研究者、グレゴリー・ポーランド博士は「超低温での保管・管理は物流上の大きな課題だ」とし、「メイヨー・クリニックは主要な医療機関だが、そのような設備は備えていない。どこの病院もそうだろう」と語る。

 

ファイザーの広報担当者、キム・ベンカー氏は、米国とドイツ、ベルギーにある同社の物流センターから世界各地にワクチンを供給する方法について、当局と緊密に協力しているとしている。ドライアイスを使い、凍結したワクチンを推奨温度で最大でも10日間のうちに空路と陸路で運ぶことなどが計画されているという。

 

州や地域の医療従事者には、供給されたワクチンを適切に保管し、投与する責任がある。

 

ベンカー氏によると、ワクチンは超低温の冷凍庫で最長6カ月間、一般に入手できる2~8度の冷蔵庫でも5日間保管することが可能。ファイザーの保管設備は、最大15日間、氷を補充できるという。

 

普通の冷蔵庫では5日間

ただ、ワクチンは普通の冷蔵庫では5日間でだめになってしまう。ビオンテックのウグルー・サーヒンCEO(最高経営責任者)は、ロイターの取材に対し、普通の冷蔵庫で保管可能な期間を2週間まで延ばすことができないか検討していると語った。

 

ファイザー/ビオンテックと同じmRNAワクチンである米モデルナの候補品は、このような超低温で保管する必要はない。米ジョンソン・エンド・ジョンソンや米ノババックスなどのワクチン候補は、普通の冷蔵庫と同じ2~8度で保管できる。

 

ニューヨークの大手病院ノースウェル・ヘルスは、超低温でワクチンを保管する能力の拡充に取り組んでいる。ノースウェルのオニシス・ステファス氏によると、ワクチンの品質が下がる前に展開することもできるが、冷凍庫を備えることがスムーズな供給を保証すると判断したという。

 

専門家は、こうした厳しい温度の要件が、地方の医療機関・介護施設や貧困国への供給を妨げる可能性があると指摘している。予防接種管理者協会のクレア・ハンナ事務局長は「向こう数カ月で承認されるのがファイザーのワクチンのみだった場合、農村部にも公平に配分されるか心配だ」と話す。ステファス氏によると、多くの病院が超低温冷凍設備の確保に走っており、在庫はすでに限られている。

 

不足する設備

米国の各州がCDC(疾病管理センター)に提出した文書によれば、一部の州では超低温冷蔵設備が不足している。

 

ニューハンプシャー州は、超低温冷凍設備を追加購入し、政府に対して追加の資金支援を要望。カリフォルニア州も、設備の供給が限られていると訴え、州の保健部門の約半数が追加で設備を購入またはリースできるところを探しているとしている。

 

カリフォルニア州はまた、ワクチンが届きにくい地域のために、移動式の予防接種クリニックを含む超低温供給網を構築することを提案している。同州は、超低温冷蔵設備を持たない施設にはワクチンを供給しない方針だ。

 

ハンナ氏によると、ファイザーのワクチンは1コンテナあたり975回分入りで、超低温冷凍設備がない場合、すべてのワクチンを5日以内に使い切るか、ドライアイスを補充しながらコンテナのふたを開けるのを1日2回ほどにとどめなければならない。ステファス氏は「困難なことだとは思うが、最善を尽くすしかない」と話している。

 

(Carl O’Donnell、翻訳:AnswersNews)

 

最新情報を受け取る

メールでニュースを受け取る

  • 新着記事が届く
  • 業界ニュースがコンパクトにわかる

  1. Answers>
  2. AnswersNews>
  3. ニュース解説>
  4. ファイザーの新型コロナワクチン「コールドチェーン」が供給の障壁に