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拡大する「リキッドバイオプシー」の市場|DRG海外レポート

更新日

米国に本社を置くコンサルティング企業DRGのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。 侵襲性が低く、患者負担も軽いリキッドバイオプシー検査。個別化医療の進展などを背景に、大きな市場成長が見込まれています。

 

(この記事は、DRGのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。原文はこちら

 

市場拡大の背景

リキッドバイオプシーは、血液、唾液、尿などの体液から単離した物質をシークエンシングする検査だ。この手法は、侵襲的な手技で組織を採取する方法に比べて、低侵襲で頻回に行うことができ、費用対効果も高い。

 

治療法を選択するために行うリキッドバイオプシー検査では、個々の患者に合った治療を決定するための情報を得ることができる。例えば、目的とする遺伝子変異の有無を評価することができ、変異が見つかれば、そのがんには特定の標的治療が有効である可能性が高い。

 

検査の需要は拡大しているが、その背景には、高額な治療薬の増加、価値に基づく医療へのシフト、オーファンドラッグの開発促進、検査法の進化など、いくつかの要因が存在する。

 

価値に基づく医療は、アウトカムを重視し、患者のクリニカルパス全体に注目するモデルだ。これにより、患者にとって最も有効な標的治療を見極める個別化医療の重要性が高まっている。個別化医療は、アウトカムの向上、治療コストの低下、再治療の必要性の低下につながり、結果として医療費を削減できると期待されている。

 

 

米国では最近、メディケアアドバンテージやメディケアパートDのスペシャリティ薬への支出に関する新たなプログラムが発表され、バリューベースの治療への移行が進んでいる。このような動きが、リキッドバイオプシー検査を始めとする治療薬選択のための検査の拡大を後押ししている。

 

診断技術やシークエンス技術の進展はもちろん、償還政策を通じて検査への市場参入と普及を図る国もある。

 

治療選択のための検査では、1つまたは複数のオーファンドラッグと1対1で対応する有用なバイオマーカーを特定することができる。このため、オーファンドラッグの開発が増えれば、治療選択のための検査の需要は拡大し、しかも市場で食い合うリスクもほとんどない。

 

治療選択のための検査は、個々の患者に応じた治療決定のための情報をタイムリーに提供し、患者のQOLを向上させる可能性も高いため、その価値はますます高まっている。そのため、治療選択のための検査は価格が高く、しかもそれは上昇傾向にある。

 

提携や新規参入も相次ぐ

治療選択のための検査やコンパニオン診断薬は従来、組織検体を用いる方法が開発されてきた。リキッドバイオプシー検査は誕生して間もない分野で、さらなる研究開発が必要だ。

 

コンパニオン診断薬の開発を目的とした企業間の提携も、今後ますます増えていくと予想される。最近発表された提携や協力関係には、以下のようなものがある。

 

 

▽キアゲンがイルミナと提携。コンパニオン診断薬の開発と販売を目指す(2019年10月7日)
▽Biodesixがサーモフィッシャーエンティフィックとの協業を発表。コンパニオン診断薬の開発を目指す(19年7月9日)
▽KRAS G12C変異タンパク質を阻害する経口薬AMG510の治験について、ガーダントヘルスがアムジェンとの戦略的協力を発表(20年1月13日)

 

さらに、親会社のBio Techneが出資するExosome Diagnosticsなど、今後もコンパニオン診断薬開発への新規参入が続く見込みだ。

 

治療選択のための検査の市場は、全体的に見ると極めて革新性が高く、患者の症状や治療転帰を大きく改善する可能性がある製品の開発に多くの企業が取り組んでいる。2028年までに20~30%の市場成長が見込まれ、リキッドバイオプシー市場でもキーになると予想される。

 

(原文掲載日:2020年10月22日)

 

(この記事は、DRG発行のレポート「Liquid Biopsy | Market Insights | US | 2021」をもとにDRGのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです)

 

【記事に関する問い合わせ先】
DRG(クラリベイト・ジャパン・アナリティクス株式会社)
野地(アカウントマネージャー)
E-mail:Hayato.noji@clarivate.com

 

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