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GSKの「BLENREP」抗BCMA抗体が世界初承認|DRG海外レポート

更新日

米国に本社を置くコンサルティング企業DRGのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。グラクソ・スミスクラインの「BLENREP」が、抗BCMA療法として世界で初めて承認されました。BCMAに対してはCAR-T細胞療法も開発されていますが、市場での競争はどうなっていくのでしょうか。

 

(この記事は、DRGのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。原文はこちら

 

CAR-Tに先駆け

英グラクソ・スミスクラインの「BLENREP」が、抗BCMA療法として世界初の承認を取得した。

 

この承認は、少なくとも4つの前治療を受け、治療選択肢が限られている患者(特に、ダラザレックスを含むレジメンに抵抗性の患者や、同レジメンを受けたあとに再発した患者)のアンメットニーズに応えるもので、多発性骨髄腫の治療において重要な意味がある。抗体薬物複合体(ADC)であるBLENREPは、製造プロセスが複雑な抗BCMA CAR-T細胞療法に対し、明確な利点を持っている。

 

BLENREPは、再発・難治性の多発性骨髄腫患者を対象としたファースト・イン・クラスの抗BCMA療法として米国と欧州で承認された。米ブリストル・マイヤーズスクイブ/米ブルーバードバイオの抗BCMA CAR-T細胞療法「ide-cell」や、米ジョンソン・エンド・ジョンソンの同「JNJ-68284528」に先駆けての承認である。

 

 

BLENREPは、臨床第2相(P2)試験「DREAMM-2」の良好な結果に基づいて承認された。対象となるのは、抗CD38抗体やプロテアソーム阻害薬、免疫調整薬を含む4つ以上の前治療歴のある患者だ。

 

ide-cellも同じ患者を対象としたP2試験「KarMMa」でさまざまな用量を評価しており、JNJ-68284528はP1b/2試験「CARTITUDE-1」が進行中だ。

 

製造や投与のしやすさで有利か

米国の血液腫瘍医は「患者がBCMAをベースとした治療を始める場合、免疫調整薬やプロテアソーム阻害薬とADCの併用が現実的だ」と指摘。フランスの血液腫瘍医は「ADCによる治療は、長くて複雑な手順を必要とするCAR-T細胞療法と比べてはるかに使いやすい」と述べている。

 

BLENREPとide-celは、これまでの臨床試験で長期の奏効を示している。KarMMa試験とDREAMM-2試験の結果によると、奏効率(ORR、CR)と無増悪生存期間(PFS)は、ide-cellのほうが著しく高かった。

 

 

安全性、製造期間、患者のQOL、医師の馴染みやすさ、価格設定は、すべて成功に重要な差別化要因になると考えられる。有害事象や想定される治療費、製造に要する時間と工程といった要因は、抗BCMA療法の処方と保険償還に関する決定に影響を与える。

 

BLENREPは既製品であり、自家CAR-T細胞療法と比べて製造プロセスや投与が容易だ。流通面で優位性をもたらす可能性があり、すでに飽和状態にある多発性骨髄腫市場の競争激化が予想される。

 

BLENREPは競合するCAR-T細胞療法に先行したことに加え、有効性データや製造プロセス、投与法・投与のしやすさといった要因に後押しされ、4次治療以降を独占することになる。BCMAを標的とした治療は、2028年に再発・難治性の領域で10億ドルを超えると予想している。BLENREPは、この成長に大きく貢献するだろう。

 

(原文公開日:2020年9月8日)

 

(この記事は、DRGのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです)

 

【記事に関する問い合わせ先】
DRG(クラリベイト・ジャパン・アナリティクス株式会社)
野地(アカウントマネージャー)
E-mail:Hayato.noji@clarivate.com

 

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