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ニュース解説

新型コロナワクチン「米大統領選前の実用化」はあり得るのか

[ニューヨーク ロイター]新型コロナウイルスワクチンは11月の米大統領選までに実用化されるのか――。多くの疑問が上がる中、専門家は、それまでにワクチンの安全性と有効性を証明する十分なエビデンスを集められる可能性もゼロではないと指摘している。

 

米国のドナルド・トランプ大統領は、11月3日の大統領選までにワクチンが使用可能になると繰り返し述べており、規制当局に存在する「闇の国家」が重要な臨床試験を遅らせ、自身の再選を妨害していると非難している。

 

米食品医薬品局(FDA)は、科学的なデータのみに基づいて判断するとし、トランプ氏の主張に反論した。ワクチン開発を進める欧米の主要な製薬企業は9月8日、安全性と有効性に関する科学的な基準を支持すると宣言。政治的な論争の中、大衆からの信頼を高めようとしている。

 

9日には、英アストラゼネカがオックスフォード大と共同開発しているワクチンについて、被験者1人が原因不明の症状を呈したため臨床試験を一時的に中断したと発表。ワクチンの安全性に注目が集まった。アストラゼネカは、試験の中断は通常の対応だと説明し、第三者委員会が判断すれば試験は再開されるとしている。

 

10月下旬の可能性も

一方、ほかの製薬企業は最近、11月までにワクチンが有効かどうかの答えを得られる可能性を示唆するコメントを出している。

 

米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長はロイターに「11月よりも前に答えが得られるとすれば驚くべきことだ」と語った。ファウチ氏によると、大規模臨床試験の初期の結果は11月か12月に入手できる公算だが、10月下旬の可能性も残っているという。同氏は「早い段階で十分な感染が記録されれば、より早く答えを得られる可能性がある」と話す。

 

ワクチンが承認されるには、プラセボとの比較で50%以上の効果があることを証明しなければならない。米国当局者は、被験者のうち少なくとも150人が新型コロナウイルスに感染し、プラセボ群ではその2倍以上の感染が起こる必要があると述べている。

 

ワクチンの効果が顕著であれば、企業はより早く答えを出すことができるかもしれない。すでに数千人規模の臨床試験に入り、米国で開発の先頭を走る米ファイザーと同モデルナは、数十人の被験者が感染すれば効果を証明できる可能性があるとしている。

 

10月にも最初の中間解析

臨床試験では、専門家からなる独立した委員会が、事前に設定されたポイントでデータを評価する。中間解析の結果、「圧倒的に有効である」または「効果を得られる見込みがない」と判断されれば、独立委は企業に試験の早期中止を勧告できる。

 

ファイザーの場合、最初の中間解析は被験者32人で感染が起こった時点で行われる。ロイターの取材に応じた複数の専門家は、限られた数の被験者から得られる情報では、試験を完全に実施することで明らかになる重要な安全性の問題を見逃してしまう可能性があると警鐘を鳴らす。

 

ファイザーの試験では、32人が感染した時点で行われる最初の評価に続き、さらに4回の中間解析が行われる。同社の広報担当者ジェリカ・ピッツ氏は「10月までに最初の解析結果を共有できるだけのデータを集められるかもしれない」と語った。

 

モデルナは先月、最初の中間解析は53人が感染した時点で行われると投資家に説明した。FDAワクチン諮問委員会の委員を務めるメイヨー・クリニックのグレゴリー・ポーランド博士は、53人の感染に基づく判断では「絶対数が足りない。安全性についてはほとんどわからないだろう」と懸念する。

 

試験を早期有効中止するには、50%という有効性の基準を超えることが必要になると思われる。ファイザーは早期中止の基準を明らかにしていないが、同社のワクチン臨床研究開発部門の責任者であるウィリアム・グルーバー氏は「この基準が、非常に高い有効性の証拠になるだろう」を述べている。

 

米国政府の高官は、中間解析の方法を含め、企業は適切な試験を組んでいるとしている。

 

謙虚さが必要

ファイザーとモデルナはいずれも、3万人規模の臨床試験を7月28日から行っている。ファイザーは2回目の接種をモデルナより1週間早く行っており、より早く結果を出せる立場にある。モデルナは、高リスクとされるマイノリティーの参加を増やすため、登録を遅らせている。

 

ファイザーの試験では、2回目の接種の1週間後から感染データの収集が始まる。一方、モデルナはこれを2週間後からとしている。

 

元FDAバイオテクノロジーオフィスディレクターで、パシフィック・リサーチ・インスティテュート上席研究員のヘンリー・ミラー博士は、わずかな感染数に基づくワクチンの緊急使用許可は、何百万人もの健康な人に接種するワクチンの安全性について十分な答えを提供しないだろうと述べた。いくつかの副反応は4~6カ月後に発生する可能性があると彼は言う。

 

米ノババックスの研究開発責任者グレゴリー・グレン博士は、10月に実用化される可能性はまだ残っているとしつつ、米国民はそれより長くワクチンを待つことになるだろうと指摘している。「今は謙虚に振る舞うのが適切と思う。FDAは開発成功にかなり厳しい基準を設けており、かなり良いワクチンでなければそれを満たすことはできない」とグレン氏は語った。

 

(Michael Erman/Julie Steenhuysen、翻訳:AnswersNews)

 

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