1. Answers>
  2. AnswersNews>
  3. 連載・コラム>
  4. Tazverik承認で変わる濾胞性リンパ腫治療…市場の将来展望は|DRG海外レポート
連載・コラム

Tazverik承認で変わる濾胞性リンパ腫治療…市場の将来展望は|DRG海外レポート

更新日

米国に本社を置くコンサルティング企業Decision Resources Groupのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。EZH2遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫を対象に米国で承認を取得した「Tazverik」。治療と市場はどう変わるのでしょうか。

 

(この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです)

 

限られていた後期の治療選択肢

エピザイムとエーザイの「Tazverik」(一般名・tazemetostat)は、野生型および遺伝子変異型のEZH2メチル基転移酵素を標的とする経口低分子阻害薬だ。濾胞性リンパ腫の約25%はEZH2遺伝子変異を有している。

 

米FDA(食品医薬品局)は先月、▽EZH2遺伝子変異を有する再発・難治性の濾胞性リンパ腫(2つ以上の治療歴あり)▽満足いく代替治療の選択肢がない再発・難治性の濾胞性リンパ腫――を対象に、Tazverikを迅速承認した。Tazverikはすでに、類上皮肉腫の適応でも承認されている。

 

Tazverik_01

 

あわせて、濾胞性リンパ腫患者のEZH2遺伝子変異を調べる「cobas EZH2遺伝子変異検査」も、Tazverikのコンパニオン診断薬としてFDAから承認を取得した。

 

濾胞性リンパ腫は今なお不治の病で、治療選択肢としては▽抗CD20抗体(リツキシマブやガザイバ)が主体の化学療法レジメン▽レブラミドとリツキシマブの併用療法(R2レジメン)▽PI3K阻害薬(Zydelig,、Aliqopa,、Copiktra)がある。

 

濾胞性リンパ腫に対する標準治療は長年、細分化して変化がなく、後期の治療は限られている。Tazverikの承認で、特定の再発・難治性の患者を対象にバイオマーカー併用型の新たな治療がもたらされ、アンメットニーズへの対応が進むと考えられる。

 

承認の根拠となったP2試験のポイント

Tazverikの臨床第2相(P2試験)試験(E7438-G000-101試験)は、2つ以上の全身療法後に病勢進行した濾胞性リンパ腫を対象に実施。患者は、EZH2遺伝子変異がある患者(42人)とEZH2野生型の患者(53人)の2つのコホートに登録された。

 

EZH2遺伝子変異を有する患者のコホートでは、全奏効率(ORR)が69%で、12%は完全奏効(CR)を達成。奏効期間(DOR)の中央値は10.9カ月だった。

 

Tazverik_02

 

一方、安全性の面では、忍容性はおおむね良好だったが、重篤な有害事象が患者の30%に発生した。有害事象によって8%が投与を中止し、9%は投与を減量した。

 

Tazverikの添付文書には、P2試験に参加した患者2%が治療を中止する原因となった二次性悪性腫瘍について、警告が記載されている。

 

市場への影響は

Tazverikは、EZH2活性化遺伝子変異を有する再発・難治性濾胞性リンパ腫患者で顕著な奏効率を示した。野生型の患者に対する臨床的ベネフィットはさほど大きくはなかったが、奏効状態は長期間に及んでいる。Decision Resources Groupは、Tazverik単剤療法が2020年に再発・難治性濾胞性リンパ腫を対象にFDAの迅速承認を取得すると予測していた。全面的な承認は、現在行われているP3試験の結果次第だろう。

 

Tazverikの適応範囲が広がれば、代替選択肢のない野生型の患者にも処方が許容される可能性がある。ほかの新規の治療法(R2レジメンやCAR-T細胞療法など)との競争となるが、Tazverikは従来の抗CD20抗体レジメンやPI3K阻害薬からかなりの患者シェアを奪うだろう。

 

Tazverik_03

 

3次~4次の治療は細分化しており、PI3K阻害薬が売り上げと患者シェアを獲得する。しかし、PI3K阻害薬には重大な安全性の課題(重度の消化器系副作用、肝毒性、感染など)があることを考慮すると、Tazverikの毒性プロファイルの管理のしやすさは、おそらく決定的な差別化要因となる。一方、Tazverikにも感染や二次性悪性主要のリスクがあり、これらが今後の売り上げと採用に影響する課題と言える。

 

Decision Resources Groupの予測では、Tazverikの売り上げとシェアは、初期の治療への適応拡大が支えることになる。現在行われているP1b/3試験「EZH-302」では、再発・難治性濾胞性リンパ腫の2次治療以降を対象に、TazverikのR2レジメンの併用が検討されている。この新しい併用戦略は、2022年には当局の承認を得て、この領域での激しい競争を主導していくだろう。

 

この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。

 

【記事に関する問い合わせ先】
ディシジョン・リソーシズ・グループ日本支店
野地(アカウントマネージャー)
E-mail:hnoji@teamdrg.com

 

DRGバナー

 

AnswersNews編集部が製薬企業をレポート

あわせて読みたい

メールでニュースを受け取る

  • 新着記事が届く
  • 業界ニュースがコンパクトにわかる

オススメの記事

人気記事

メールでニュースを受け取る

メールでニュースを受け取る

  • 新着記事が届く
  • 業界ニュースがコンパクトにわかる