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中国医療機器市場の課題と展望…コスト増と高齢化、そして好調な国内生産|DRG海外レポート

米国に本社を置くコンサルティング企業Decision Resources Groupのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。飛躍的な成長を遂げている中国の医療機器市場ですが、そこに潜む課題とは。

 

(この記事は、Decision Resources Group発行のレポート「Medtech Regulatory Dynamics 2020: 6 Big Regulatory Updates and Takeaways for Medtech Teams」の概要を日本語に翻訳したものです。レポートの詳細はこちら

 

市場は飛躍的成長

中国の医療機器業界は、この数十年間で飛躍的な成長を遂げた。その背景には、▽急速な都市化▽可処分所得の増加▽高齢化▽医療インフラの整備▽患者意識の高まり▽熟練した外科医の増加――などの要因がある。

 

こうした要因はすべて、多くの医療需要を生み、医療機器の採用を広げ、中国医療危機市場の発展へとつながった。

 

しかし、強固な成長の中にも課題はある。中国の医療域業界は海外と比べて独特だが、この点では例外ではない。この記事では、中国医療機器業界が直面している主な課題を取り上げ、政府の対応や今後の動きを検討する。

 

課題は何か

中国の医療機器業界が直面している課題の多くは、人口統計学的な問題と財政的な問題が組み合わさって生じていると言える。つまり、世界4位の国土と世界最多の人口を抱えるこの国が、全土で一貫した医療を提供する上で起こりうる困難や障害だ。

 

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中国製品は過去、「安かろう悪かろう」のイメージを持たれていた。しかし、国内メーカーが外資系メーカーと対等に競争できるよう、中国政府は国内製造能力の拡大に継続して取り組み、この点については対応がなされたといえる。海外企業は高価格・高品質な製品を提供していると見られているが、中国企業は医療機器、製薬、航空宇宙、IT、ロボットといった高価値業界に材料の大半を供給している点が評価されている。

 

これを念頭に、中国の過去と現在の課題を考察してみた。これを見れば、中国の現在地と今後の方向性を、より包括的に理解できるだろう。

 

高齢化

中国では、世界の中でも急速に高齢化が進んでおり、同時に生産年齢人口は減少している。これは、公的医療制度にとって膨大なコスト負担となっている。加えて、高齢者の大半は大都市やその周辺の低所得地域の出身で、手頃で高質な医療へのアクセスは限定的だ。

 

病院の過密病態

中国には、患者の受診を抑制したり、調整したりするシステムがない。通常、都市部に見られるような、熟練した技術を持つ外科医がいて設備の整った病院(3級委員)は、医療機関全体のごく一部にとどまる。その結果、患者の大半は、医療ニーズにかかわらず3級病院を好む。これが「過密」「長い待ち時間」「オーダーメイド治療の欠如」につながり、公的医療制度にさらなる圧力をかけている。

 

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さらに、都市部以外の地域で一般的な1級・2級医院では、複雑な症例に対応できるだけの設備や医療スタッフが不足しえいる。都市部に住んでいる人以外は、高度な手術や医療機器が必要だったとしても、十分なケアを受けられない可能性が高い。

 

海外製品志向

中国の先端医療機器市場の多くは、外資の多国籍企業の製品が大半を占めている。これらの製品は、米国や欧州といった先進国市場で使用実績を有しており、患者も医師も多くは高額な海外製品のほうが優れていると考えている。海外製品の費用を支払う余力があれば、多くの患者は海外製品を選択する。

 

さらに、いくつかの先端機器では、海外企業が「市場一番乗り」の恩恵を享受している。これらの企業は、自社製品の有用性を裏付ける臨床データも、製品を中国で発売するのに必要な資源も持っており、多くの市場で高いシェアを獲得している。加えて、多国籍企業は医師のトレーニングに大規模な投資を行っている。これによって、新製品や術式に対する医師の関心が高まり、医師が製品になじみ、安心して製品を使うことができるようになる。

 

政府の政策的後押しによって中国企業もプレゼンスを拡大させているが、先端医療機器や複雑な手術器具の市場では、海外企業優勢のトレンドが続きそうだ。

 

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サプライチェーンの冗長性

多くの省では、製品がメーカーから医療機関に届けられるまでの間に非常に多くの流通業者が介在する場合がある。それぞれの企業が利益をとるため、流通の各段階でマージンが上乗せされ、価格の大幅な上昇につながっている。非効率なだけでなく、多くの医療機器(特に海外製品)が患者にとって手の届かない価格となっている。

 

解決策は

こうした課題により、中国の公的医療制度は強いコスト圧力を受け、限度をはるかに超えた状態が続いている。中国政府はこの圧力を軽減するため、この10年でいくつかの取り組みを始めた。

 

1級・2級医院へのインフラ投資

3級医院の過密状態を緩和するため、政府は1級・2級医院のインフラ改善と医師のスキルアップに相当な投資を行っている。さらに、江南省など一部の省政府は、患者に1級・2級医院の受診を促す償還制度を導入した。

 

こうした政策を受け、3級医院の過密状態はここ数年で若干改善したが、病院の過密は中国全土で依然として大きな問題となっている。全国の患者に手頃な価格で適切な医療を提供し、3級医院への負担をさらに軽減するため、政府は1級・2級医院への投資などを続けていくだろう。

 

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民間医療施設の拡大

3級医院への圧力をさらに緩和するため、中央政府は、高額な医療費(高度な手術や海外企業の医療機器の費用)を支払える患者に対して民間医療施設の利用を促している。中国の民間医療施設の数はここ数年で劇的に増加したが、今後もこの傾向は続くと予想される。

 

現在、患者の中には、大きな公立病院のほうが質が高いとの考えから、民間病院を疑問視する声もある。外科医の多くは、研究や教育活動に従事することが認められ、自らの技術を向上させる十分な機会が与えられる公立病院での勤務を好む。とはいえ、政府が民間病院の設立と利用を推奨し続け、民間病院による手術の割合が増えていくにつれ、民間病院に対する患者や医師の考え方もより肯定的なものとなり、政府の取り組みを支えるものとなっていくだろう。

 

民間医療保険の利用促進

さらに政府は、公的医療制度(高度手術や海外製品はほとんど償還されない)に頼らず、民間医療保険に加入した者に税控除を認めている。この取組によって、公的医療制度で生じるコストの削減と、特に3級医院の効率的な運営が可能になると期待されている。

 

償還の調整

国内メーカーを支援し、医療機器市場での健全な競争を保証するため、中国の省政府は国産品の使用を推奨する(これらのデバイスの費用の大部分を給付する)償還政策をとっている。北京や上海といった大都市では、病院にも十分な資源があり、患者の多くは比較的裕福なため、海外企業の製品と国内企業の製品の間に償還額の差はなく、大都市で使用されるデバイスの大半は海外企業の製品が占めている。

 

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一方、江蘇、河北、河南、四川、山東、陝西、湖北各省の償還制度は、国産デバイスを優先することを明確化し、パッケージ価格制度を用いて病院に低価格の国産デバイスの使用を求めたり、外科的介入より保存的治療を優先させたりしている。さらに多くの省では、院長は使用すべき国産デバイスの割合(最高80%)を定めた政府のガイドラインに従っている。

 

入札の重層化

デバイスの調達手続きを重層化しているのも、中国企業の支援が目的だ。詳細は省によって異なるかもしれないが、おおむね中国全土で類似している。入札は、省レベル、市レベル、個々の病院レベルといったさまざまなレベルで行われる。これによって、どの省でも同じブランドや同じ企業が特定のセグメントを独占することを防ぎ、健全な競争を確保できる。

 

two-invoice policy

多くの流通業者を介することによる価格の上昇に対抗するため、いくつかの省では、製造業者と病院の間に入る流通業者を1社に限定する“two-invoice policy”を導入している。医薬品ではすでに同様の政策が導入され、価格の引き下げに成果を上げている。

 

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上海は2018年にこの制度を試験的に導入し、今後ほかの省にも広がりそうだ。この方針は、多くの省で医療機器価格の引き下げをもたらし、医療機器の使用(と、それに伴う企業の収益)を増やすとともに、大きな負担を抱えた公的医療制度に対するコスト抑制圧力の低減につながるだろう。

 

規制緩和

中国政府は国内生産と国内メーカーの強化を図っているが、その狙いは、海外製品を完全に締め出すことではなく、海外製品と国産品の間の健全な競争を確保することにあるようだ。国内のイノベーションと海外製品の円滑な市場参入を進めるため、中国国家食品薬品監督管理総局(CFDA、現在は国家薬品監督局 NMPA)は、医療機器の商業化に関する規制にいくつかの変更を加えてきました。

 

2014年…革新性の高いデバイスに関する迅速承認プロセスを発表
2016年…中国での治験を免除されるクラスII、クラスIIIデバイスのリストを発表
2017年…海外製品の承認を迅速化するため、海外での臨床データを容認するガイドラインを発表
2018年…「医療機器の監視及び管理に関する規制」について、承認プロセスを簡素化し、国内治験免除品目を追加する修正案を発表

 

【記事に関する問い合わせ先】
ディシジョン・リソーシズ・グループ日本支店
野地(アカウントマネージャー)
E-mail:hnoji@teamdrg.com

 

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