製薬業界の転職市場のトレンドを、業界専門の転職支援サービス「Answers」「MRBiZ」(運営元:株式会社クイック)の専任コンサルタントが毎月レポートします。
全体的に前月から減少
2020年5月の製薬業界の求人件数は、全体的に前月から減少しました。
職種別に見ると、前月から増加したのは「生産技術」(15%増)と「マーケティング」(9%増)、「MA・MSL」(8%増)など。一方、「MR」(21%減)や「製造技術」(8%減)などは減少しました。
新型コロナウイルス感染症による採用への影響は、現時点ではそれほど大きくありません。ウェブ会議ツールを使った面接が広がっており、外資系企業や大手内資系企業では最終面接までウェブで行うところもあります。応募側としても、面接を受けるために移動する必要がなくなるため、これまでなら場所の都合で応募が難しかったような求人に挑戦する人もいます。
ただ、影響が長期化するにつれて、研究・開発に関わる職種では、内資系メーカーを中心に募集の遅れが見られるようになってきました。未経験者の選考が厳しくなったり、年収交渉が難しくなったりと、企業側もシビアになってきている部分があるようです。
[MR]CSOはプロジェクト豊富
MRの求人件数は、前月比21%減と大幅に落ち込みました。採用枠を満たして募集を終えた企業が重なったのが主な要因で、適応拡大などパイプラインの動きに合わせた新規の募集は出ています。
メーカーの採用は一旦落ち着きましたが、この先新薬の発売や適応拡大に伴う増員募集が出てくる可能性もあります。募集は短期決戦となることが予想されるため、こまめな情報収集がカギとなります。
CSOはプロジェクトが豊富にあり、常に募集が出ている状態です。専門性の高い領域で経験を積みたいと考えている人は、CSOも視野に入れるといいでしょう。
[研究職]バイオベンチャーでは採用縮小も、全体的に横ばい
研究職は、バイオベンチャーの一部で採用を縮小する傾向が見受けられますが、全体的に横ばいとなりました。メーカーでは、新規のパイプラインに関連して薬理・薬物動態研究などで新たな求人が出ています。それ以外では、テクニシャンクラスの募集が出ています。
[開発職]CROは新型コロナの影響色濃く
先月に引き続き、CROの求人件数が減少しました。新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、製薬企業が新たな臨床試験の立ち上げを中止したり、新規の患者登録を中断したりしていることが影響しています。もちろん、採用活動を続けている企業はありますが、採用意欲は下がっているようです。SMOではCRC(治験コーディネーター)の募集も大幅に減少しました。
[製造職]採用は堅調、生産技術で新規募集
製造職は新型コロナウイルス感染症の影響を受けにくいこともあり、求人件数の増減にかかわらず採用ニーズは堅調。採用もおおむね通常通り行われています。
製造職で最も求人件数が増加したのは「生産技術」。新薬メーカーを中心に、生産の自動化や設備計画の検討を担当する人材の募集が出ています。バイオ製剤を扱う求人も増えてきており、領域経験があると有利。海外展開を図る内資系メーカーでは、英語力を求められるケースもあります。こうした傾向は今後さらに強くなっていきそうです。
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新型コロナウイルス感染症がこの先、転職市場にどんな影響を及ぼすのか、見通すのは依然として難しい状況です。職種によっては採用の動きが鈍くなってきていますが、収束後にこれが元に戻るとも言い切れません。転職を考えている方は、いつでも動けるように情報を集めておいたほうがいいでしょう。Answers転職サポートでは、求人情報はもちろん、最新の転職市場の動向まで幅広く情報提供を行っています。お気軽にご相談ください。問い合わせはこちら。
(コンサルタント 佐久間貴大)
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