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高齢者向け医療ビジネスをめぐる米保険大手の争い|DRG海外レポート

米国に本社を置くコンサルティング企業Decision Resources Groupのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。今回は、ニーズが拡大する高齢者向け医療ビジネスをめぐる米大手保険会社の争いをレポートします。

 

(この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。原文はこちら

 

ヒューマナがエンクララを買収

米医療保険大手のヒューマナは、400万人あまりのメディケア・アドバンテージ加入者をカバーし、同保険の支払い者としてはユナイテッド・ヘルスケアに次いで2番手につけている(2019年7月、Decision Resources Groupのデータ)。

 

ヒューマナはこのところ、外部への投資を通じ、薬剤給付管理と医療提供を強化・拡充している。ユナイテッド・ヘルスケアなどの競合他社にならい、医療にかかるコストをまるごと管理する能力を高めるべく、医療施設や薬剤給付管理会社を傘下に収めようとしている。

 

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ヒューマナは2019年12月、営利ホスピス最大手で薬剤給付管理会社でもあるエンクララ・ヘルスケアを買収する契約を正式に結んだ。エンクララ・ヘルスケアは、長期にわたって複合的な医療を必要とする患者に医療サービスを提供することを主眼に置いたプロバイダーである。買収によってヒューマナのホスピスビジネスは拡大し、同社にとってはポートフォリオの強化につながるだろう。買収は2020年前半に成立すると見込まれている。

 

ヒューマナが、▽慢性疾患に対する医療▽健康の社会的決定要因▽高齢者へのケア提供システム――により大きな関心を抱くようになっていることを考えると、同社の薬局部門であるヒューマナ・ファーマシー・ソリューションズの拡充にもつながる今回の買収は、戦略的にも理にかなったものだと言える。

 

メディケア・アドバンテージが拡大

メディケア・アドバンテージは米国の医療分野で最も収益の大きいビジネスであり、エンクララの調剤サービスを手中に収めることは、ヒューマナが将来に向けて注力している高齢者ケアにおいて、同社の成長の加速に一役買うことになる。

 

ホスピスチェーン大手のキュロ・サービシーズを買収したヒューマナは、すでに家庭医療とホスピスサービスの主要なプロバイダーとなっており、最近ではキンドレッド・ヘルスケアには41億ドルの投資を行っている。こうした動きは、同社が緩和ケアや社会的決定要因への関心を強めていることを物語っている。今回の買収は、エンクララが米国最大のホスピスケアプロバイダーの1つであること、メディケア・アドバンテージの登録が増えていることを背景とした、業績拡大のための戦略的選択なのである。

 

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ヒューマナによるエンクララ買収のポイントは次の通りだ。

 

▽今回の垂直統合で、ヒューマナのケアの連続性は強化され、ホスピスケアを含む調剤管理サービスをすべてカバーすることになる。
▽ヒューマナのメディケアと緩和ケアの対象になる患者は、メールオーダーサービスやモバイル服薬管理といった在宅薬局テクノロジーサービス、利便性の高い電子カルテ接続の利用が可能になる。
▽ヒューマナは買収を通じて、エンクララが抱える9万7000人超の患者にアクセスできるようになり、450もの医療施設が患者に応じて一連のサービス提供に励むことになる。

 

ユナイテッド・ヘルスケアも攻勢

2020年2月、ヒューマナは未公開株投資会社のウェルシュ・カールソン・アンダーソン&ストウ(WCAS)と6億ドルの共同事業を発表した。共同事業の運営はヒューマナの子会社パートナーズ・イン・プライマリ・ケアが担当する。

 

ヒューマナはこの事業の株式を多くは保有しないものの、バリューベース・ケアモデル、ウェルネス関連サービス、健康の社会的決定要因を向上させるもの(医療を受けるための移動手段など)へのアクセスを必要とするすべての患者に向けたプライマリ・ケアに出資する。こうした便益が得られるメディケア・アドバンテージプランが増加しており、CMS(メディケア・メディケイドサービスセンター)によれば、バリューベースのサービスを提供するメディケア・アドベンテージプランの数が2020年は3倍に増えている。

 

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この共同事業によって、パートナーズ・イン・プライマリ・ケアが運営する施設は2倍になり、ミズーリ、ノースカロライナ、サウスカロライナ、テキサス、フロリダの各州の合計で47カ所を上回る見込みだ。

 

ユナイテッド・ヘルスケアとウォルグリーンズは、メディケアで利用可能な施設を14カ所開設する協定を結んだ。ヒューマナとWCASの共同事業はこれへの対抗戦略で、未公開株式投資会社の医療分野への参入が増加している傾向とも一致している。パートナーズ・イン・プライマリ・ケアは、施設の運営報酬も含め、出来高ベースのインセンティブを受け取ることになる。

 

ヒューマナがエンクララを買収し、WCASと共同事業に乗り出したことは、プライマリ・ケア施設を通したタイムリーな医療提供や費用対効果の高い調剤サービスの促進にもつながるだろう。小売薬局チェーンを別にすれば、ヒューマナはすでにヘルスケアのほとんどの事業に足場を築いている。ユナイテッド・ヘルスケアがウォルグリーンズと手を結んでおり、ヒューマナはその強力なライバルとして同じような動きを見せる可能性もある。

 

(原文公開日:2020年2月28日)

 

この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。

 

【記事に関する問い合わせ先】
ディシジョン・リソーシズ・グループ日本支店
野地(アカウントマネージャー)
E-mail:hnoji@teamdrg.com
Tel:03-6625-5257(代表)

 

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