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処方薬が玄関まで届く…薬局を脅かす医薬品宅配サービス|DRG海外レポート

米国に本社を置くコンサルティング企業Decision Resources Groupのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。昨年、アマゾンがピルパックを買収して話題となったオンライン薬局。処方薬を玄関先まで届けるサービスが、従来型の店舗型薬局を脅かしつつあります。

 

(この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。原文はこちら

 

店舗型から宅配型への転換

処方薬の配送ビジネスは、ヘルスケア業界の中でも収益の大きい分野だ。これまでこの分野では、大きなイノベーションは生まれなかった。ところが、相次ぐ技術的な進展によって、今、劇的に変化している。

 

医薬品の小売業者らが、▽オンライン発注▽翌日配送▽ドローンの活用――といった革新的なアプローチを試みる中、処方薬に関連する業務をデジタル化することは、オンライン志向のミレニアル世代にウケて成果を上げる可能性がある。こうした新機軸の成功は、客が店舗に出向く従来型の販売方式から、処方薬が玄関先まで配送される新たなモデルへの転換が始まっていることを示唆している。

 

Employees are packing a parcel in the send to the customer. Online ordering For the convenience of customers.

 

「迅速宅配」モデルの進化

昨年、オンライン薬局のピルパックをアマゾンが買収したことが大きなニュースとなった。アマゾンは、処方薬をドローンで30分以内に届ける「プライム・エア」をオプションに加えることで、ピルパックのサービスを強化しようと目論んでいる。

 

処方薬宅配の市場では、ほかの新興企業も台頭している。Capsuleは、どんな場所でも2時間以内に薬を届けてくれるうえ、配達料も取らない。同じようなビジネスをしている会社としては、▽Alto▽care/of▽ZipDrug――などがある。NowRxは、薬剤師へのアクセスとともに無料の同日配送オプションを提供する人工知能対応型配送センターを設けている。ScriptDropは、処方薬の配送で宅配業者と全国的に手を組んでおり、薬が患者に届くまで追跡が可能だ。

 

薬局チェーンも負けてはいない。CVSはドローンを使った処方薬の宅配でUPSと提携した。2019年末には、提携に基づいてノースカロライナ州キャリーで2件の配送が行われ、問題なく完了した

 

ウォルグリーンズは2018年、同社の薬局ネットワークとフェデックスの運送網をつなげ、処方薬を翌日に配送するサービスを開始した。このサービスは米国どこでも4.99ドルで利用できる。

 

Close up of hand asian man using smartphone pressing screen to s

 

コストコも、Instacartとの共同パイロットプログラムでこの分野に進出した。カリフォルニアとワシントンで処方薬の無料配送をテストする。コストコでは通常、35ドル以上の注文で送料が無料になるが、薬の場合は10ドル未満でも無料で1時間以内に届けられる。

 

定額課金型の配送モデル

アマゾンの薬局ビジネスは、CVSやウォルグリーンズといった大手小売を脅かしている。eコマースの巨人は、消費者の購買履歴を吸い上げることで直接取引につなげ、製薬会社の支援を取り付けるからだ。

 

アマゾンの脅威に対し、CVSは自社のCarePassメンバーシッププログラムを全米に広げた。会員は、月額5ドルまたは年額48ドルで処方薬などの配送サービスを回数の制限なく利用することができる。さらにこのサービスには、▽値下げ品▽10ドル分のクーポン▽薬局ホットラインへのアクセス――も含まれている。

 

HIPAA対応型サービス

こうしたサービスにとって大きな障壁の一つが、個人の医療関連情報を保護する「医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA)」だ。

 

Locked mobile computer, modern network symbols concept

 

アマゾンのAmazon Web ServicesはHIPAAの要件をかろうじて満たしており、会員は濫用を心配することなく、保護された医療情報を共有できる。アマゾンは音声アシスタントシステム「アレクサ」で、▽エクスプレス・スクリプツ▽シグナヘルストゥデイ▽My Children’s Enhanced Recovery After Surgery(ERAS、運営はボストン小児病院)▽Swedish Health Connect▽アトリウムヘルス▽Livongo――と提携。宅配する医薬品の配送状況をチェックしたり、会員の健康改善目標を管理したりすることが可能となっている。

 

シェア奪取は確実

保険会社は薬剤コストを管理するため、それぞれが特定のネットワーク薬局を利用するよう加入者に勧めている。しかしこれは、医薬品宅配サービスの急速なデジタル化によって早晩行き詰まるだろう。

 

薬局が提供するアドオンサービスは、宅配を求める加入者の役には立たない。さらに、使用期間が短かったり、温度管理が求められたりする医薬品の配送には、高度な取り扱いが必要で、配送コストを押し上げる。

 

Delivery truck service computer keyboard concept

 

便益はどれほどか

デジタル化はミレニアル世代をターゲットとするが、一方で医療を受ける集団に占めるベビーブーマー世代の割合は年々上昇しており、成長の妨げになりそうだ。医療資源の乏しい農村地域の人々はデジタル化の恩恵を受けるだろうが、都市部の人々にとっては薬局での待ち時間が減るといった程度の便益かもしれない。

 

総合的に考えれば、医薬品の宅配システムが、従来型の小売薬局から一定の市場シェアを奪うのは確実だ。デジタル化とオンラインサービスの普及が医療コストにどれほどの影響を及ぼすのか、今後も注視していく必要があるだろう。

 

(原文公開日:2020年2月6日)

 

この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。

 

【記事に関する問い合わせ先】
ディシジョン・リソーシズ・グループ日本支店
齋藤(コマーシャルエクセレンス ディレクター)
E-mail:ssaito@teamdrg.com
Tel:03-6625-5257(代表)

 

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