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早期の非小細胞肺がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の開発|DRG海外レポート

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米国に本社を置くコンサルティング企業Decision Resources Groupのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。今回は、早期の非小細胞肺がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の開発状況を紹介します。

 

(この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。原文はこちら

 

キイトルーダがステージIIIに適応拡大

未治療の非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する「キイトルーダ」単剤療法の5年生存データは、今年のASCO(米国臨床腫瘍学会)で発表されたあらゆるデータの中でも際立っていた。

 

NSCLCに対するキイトルーダの適応は、最近まで転移性の患者だけだったが、2019年4月、米FDA(食品医薬品局)はPD-L1の発現率が1%以上の患者への適応拡大を承認した。これにより、外科的切除や化学放射線療法による根治的治療の対象にならないステージIIIのNSCLC患者にもキイトルーダが使えるようになった。

 

キイトルーダが早期NSCLCに参入するのは初めてだが、分子標的治療としてはPD-1阻害薬が最初ではないし、おそらく最後でもないだろう。ステージIIIのNSCLCに対する初の免疫チェックポイント阻害薬としてアストラゼネカの「イミフィンジ」が承認されたのは2018年2月のことだ。このPD-L1阻害薬が得たFDAの承認は、根治的化学放射線療法(CRT)後に進行が認められない患者を対象としたもので、臨床第3相(P3)試験「PACIFIC」のデータに基づいている。

 

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早期NSCLCでリードするイミフィンジ

切除不能なステージIIIのNSCLC患者は、化学療法と放射線療法を逐次併用または同時併用で受けることが多く、ステージIIIでイミフィンジの対象となる患者は、キイトルーダよりもはるかに大きい。そのおかげで、2018年のイミフィンジのグローバル売上高は6億3300万ドルに上った。

 

今年のASCOでは、PACIFIC試験の最新のOS(全生存率)データが公表され、同時化学放射線療法後にイミフィンジを投与した患者の3年後生存率は57.0%(プラセボ群は43.5%)だった。

 

アストラゼネカはイミフィンジの開発をここで終わらせるつもりはなく、がん領域の新しいR&Dトップであるホセ・バーゼルガ氏は、早期患者での成功をもとにさらなる前進を目指している。ただ、規模の大きいNSCLC市場ではよくあることだが、このままアストラゼネカの一人勝ちとはいかないことも、今年のASCOではっきりした。

 

複数の免疫チェックポイント阻害薬がCRTとの組み合わせを検討

イミフィンジがPACIFIC試験で地固め療法として成功したことを受け、現在、複数の免疫チェックポイント阻害薬が、P3試験で化学放射線療法との併用を検討している。そうした試験のうち2つの詳細が、ASCO2019のポスターセッションで発表された。

 

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1つ目の「PACIFIC2試験」は、イミフィンジ+CRTとプラセボ+CRTの比較試験で、PFS(無増悪生存期間)とORR(全奏効率)をもとに複数の主要エンドポイントを設定。2つ目の「RATIONALE001試験」は、ベイジーン(中国)の抗PD-1抗体tislelizumabのPFSを、CRT後の地固め療法として、またはCRTとの併用において評価するものだ。

 

ロシュとメルクも、こうした患者を対象とした免疫チェックポイント阻害薬の有望な初期データを発表した。P2試験「DETERRED試験」では、ロシュの抗PD-L1抗体「テセントリク」とCRTの併用後にテセントリク+プラチナ化学療法を行ったところ、PFSの中央値が13.2カ月となった。一方、キイトルーダを2サイクル以上投与された患者を対象に行った同薬のP1試験では、PFSの中央値は20.3カ月だった。少人数のデータではあるが、イミフィンジがPACIFIC試験で示した結果と同等である。

 

とはいえ、免疫チェックポイント阻害薬をCRTと併用することで、地固め療法として使う以上に大きなベネフィットを得られるかどうかは、引き続き注視していく必要がある。

 

ネオアジュバント療法の開発も進む

ASCO2019では、CRTとの併用に関する臨床試験とともに、ステージIIIのNSCLC患者に対する将来的な治療法についてもいくつかの洞察がもたらされた。

 

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P2試験「NEOSTAR試験」では、ブリストル・マイヤーズスクイブのPD-1阻害薬「オプジーボ」の単剤またはCTLA-4阻害薬「ヤーボイ」との併用を術前補助療法として評価したところ、患者の17%(単剤)と33%(併用)に病理学的に大きな奏功が認められた。一方、P2試験「LCMC3試験」では、テセントリク単剤による術前補助療法により、患者の18%が病理学的に大きな奏功を示した。

 

現在、NSCLCに対する術前補助療法の適応で承認されている免疫チェックポイント阻害薬はないが、こうした患者を対象に行われているピボタル試験では、有望なデータが示されている。

 

早期NSCLC 免疫チェックポイント阻害薬の主なP3試験

 

(原文公開日:2019年6月24日)

 

この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。

 

【記事に関する問い合わせ先】
ディシジョン・リソーシズ・グループ日本支店
斎藤(コマーシャルエクセレンス ディレクター)
E-mail:ssaito@teamdrg.com
Tel:03-6625-5257(代表)

 

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