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アッヴィ、日本市場で存在感急上昇…売り上げ倍増でトップ20入り がん領域に参入へ

米アッヴィが、日本市場で存在感を急速に高めています。2018年はC型肝炎治療薬「マヴィレット」の大ヒットで売上高が倍増し、初めて日本でトップ20入りを達成。今年は白血病治療薬ベネトクラクスを発売し、がん領域に参入します。

 

マヴィレットが成長牽引

「2013年の誕生以来、アッヴィは日本で急成長を遂げてきたが、18年はさらなる飛躍の年となった」。5月、拡大移転して間もない新オフィスで初めて開いた記者会見で、アッヴィ日本法人のジェームス・フェリシアーノ社長は胸を張りました。18年の日本での売上高は1726億円(日本法人決算ベース)で、前年比104%増と急成長。IQVIAの国内医薬品市場統計で初めて、売上高上位20社入りを果たしました。

 

アッヴィ日本法人のジェームス・フェリシアーノ社長

アッヴィ日本法人のジェームス・フェリシアーノ社長

 

業績拡大を牽引したのは、17年11月に発売したC型肝炎治療薬「マヴィレット」です。同薬は、▽主要なジェノタイプすべてに効果を示す▽投与期間を従来薬の12週間から8週間に短縮▽ほかの直接作用型抗ウイルス薬で効果が得られなかった患者や、腎機能障害のある患者にも使用可能――といった特徴を背景に急速に市場に浸透。18年には薬価ベースで1328億3800万円を売り上げ、国内の医療用医薬品で売上高トップとなりました(IQVIA調べ)。

 

米国に次ぐ2位の売り上げ

業績の急拡大には、マヴィレットのほか、抗TNFα抗体「ヒュミラ」やRSウイルス感染症治療薬「シナジス」、パーキンソン病治療薬「デュオドーパ」といった主力製品も貢献。米アッヴィ全体に占める日本の売上高も前年4位から2位に上昇しました。フェリシアーノ社長は「(米国本社からも)日本は今後の成長を担う重要な国として注目されている」と日本市場の重要性を強調します。

 

2018年国内医療用医薬品売上高上位20社。【販売会社レベル】社名:武田薬品工業・売上高:693,439百万円・前年比:マイナス2.0パーセント。社名:第一三共・売上高:654,855百万円・前年比:マイナス2.1パーセント。社名:ファイザー・売上高:502,096百万円・前年比:4.5パーセント。社名:アステラス製薬・売上高:487,105百万円・前年比:マイナス11.6パーセント。社名:中外製薬・売上高:476,969百万円・前年比:マイナス0.7パーセント。社名:大塚製薬・売上高:353,041百万円・前年比:3.8パーセント。社名:MSD・売上高:349,715百万円・前年比:マイナス2.5パーセント。社名:田辺三菱製薬・売上高:326,808百万円・前年比:マイナス9.7パーセント。社名:ノバルティス・売上高:299,183百万円・前年比:マイナス1.2パーセント。社名:GSK・売上高:289,249百万円・前年比:マイナス2.1パーセント。社名:日本イーライリリー・売上高:270,224百万円・前年比:マイナス3.4パーセント。社名:小野薬品工業・売上高:251,860百万円・前年比:マイナス0.8パーセント。社名:バイエル薬品・売上高:230,517百万円・前年比:マイナス4.1パーセント。社名:協和発酵キリン・売上高:222,802百万円・前年比:マイナス4.2パーセント。社名:エーザイ・売上高:203,206百万円・前年比:マイナス2.7パーセント。社名:アッヴィ・売上高:176,191百万円・前年比:162.5パーセント。社名:ヤンセンファーマ・売上高:175,470百万円・前年比:17.7パーセント。社名:参天製薬・売上高:169,197百万円・前年比:2.7パーセント。社名:沢井製薬・売上高:168,976百万円・前年比:3.9パーセント。社名:日医工・売上高:163,364百万円・前年比:マイナス2.2パーセント。【販促会社レベル】社名:ファイザー・売上高:566,082百万円・前年比:マイナス0.7パーセント。社名:中外製薬・売上高:477,966百万円・前年比:マイナス0.7パーセント。社名:第一三共・売上高:449,801百万円・前年比:マイナス8.7パーセント。社名:武田薬品工業・売上高:406,943百万円・前年比:2.9パーセント。社名:MSD・売上高:347,187百万円・前年比:マイナス2.0パーセント。社名:日本イーライリリー・売上高:304,945百万円・前年比:マイナス0.1パーセント。社名:アストラゼネカ・売上高:303,071百万円・前年比:マイナス9.0パーセント。社名:バイエル薬品・売上高:302,692百万円・前年比:マイナス1.0パーセント。社名:大塚製薬・売上高:297,235百万円・前年比:0.5パーセント。社名:田辺三菱製薬・売上高:278,917百万円・前年比:マイナス11.7パーセント。社名:GSK・売上高:262,853百万円・前年比:マイナス2.9パーセント。社名:ノバルティス・売上高:260,565百万円・前年比:マイナス3.0パーセント。社名:ヤンセンファーマ・売上高:251,027百万円・前年比:16.9パーセント。社名:アステラス製薬・売上高:240,239百万円・前年比:マイナス6.1パーセント。社名:アッヴィ・売上高:233,572百万円・前年比:92.5パーセント。社名:小野薬品工業・売上高:217,943百万円・前年比:マイナス3.9パーセント。社名:協和発酵キリン・売上高:203,928百万円・前年比:マイナス4.8パーセント。社名:日本BI・売上高:189,277百万円・前年比:マイナス18.4パーセント。社名:沢井製薬・売上高:169,100百万円・前年比:4パーセント。社名:ブリストル・売上高:166,559百万円・前年比:マイナス3.5パーセント。

 

がん領域「第4の成長エンジン」

ただ、業績を大きく押し上げたマヴィレットも、売り上げはすでにダウントレンドに入っています。有効性が高く、市場に急速に浸透したがゆえ、ほとんどの患者が根治して治療を終えたためで、同薬の売り上げ減により19年は全体として減収が避けられない見通しです。

 

マヴィレット四半期ごとの売上高の推移の図。17年4Q:37.23億円。18年1Q:334.96億円。18年2Q:423.86億円。18年3Q:299.52億円。18年4Q:270.05億円。19年1Q:183.93億円。

 

替わって、今後の成長の柱として期待しているのが、がん領域です。アッヴィは昨年11月、慢性リンパ性白血病のBCL-2阻害薬ベネトクラクス(一般名)を国内で申請。アッヴィががん領域で申請を行ったのは同薬が初めて。年内の承認を見込んでいます。

 

フェリシアーノ社長は、がん領域について「イムノロジー、スペシャリティ、肝炎に続く4つ目の成長エンジンとして事業の基盤を築いていく」と強調。現在、発売に向けて営業体制の構築を進めており「慢性リンパ性白血病は日本では患者数が少ないが、今後、適応拡大に合わせて人員を拡大させていく。MRだけでなく、MSLのほかサポート部門の人員も必要なので、100人規模で人員を増やす」といいます。

 

ADCの開発加速

ベネトクラクスは申請中の慢性リンパ性白血病のほか、多発性骨髄腫と急性骨髄性白血病で臨床第3相(P3)試験を実施中。PARP阻害薬ベリパリブも非小細胞肺がんと卵巣がんに2適応でP3試験を行っています。抗体薬物複合体(ADC)の開発にも力を入れており、Rovalpituzumab tesirine(通称・Rova-T)は日本でも小細胞肺がんを対象とするP3試験が進行中。グローバルでは9つのADC(うち1つはアダリムマブにステロイドを結合させたもので、関節リウマチが対象)がパイプラインにあり、日本でも開発を加速させる方針です。

 

アッヴィの国内開発パイプライン。【申請】領域:免疫・一般名/開発コード:ウパダシチニブ・適応:関節リウマチ。領域:ウイルス・一般名/開発コード:マヴィレット・適応:小児C型肝炎。領域:がん・一般名/開発コード:ベネトクラクス・適応:再発/難治性の慢性リンパ性白血病。【P3】領域:免疫・一般名/開発コード:ヒュミラ・適応:潰瘍性大腸炎(高用量)、潰瘍性大腸炎(小児)、壊疽性膿皮症。領域:免疫・一般名/開発コード:ウパダシチニブ・適応:潰瘍性大腸炎、関節性感染、軸性脊椎関節炎(P2/3)、クローン病、アトピー性皮膚炎、巨細胞性動脈炎。領域:免疫・一般名/開発コード:スキリージ・適応:クローン病、潰瘍性大腸炎(P2/3)。領域:がん・一般名/開発コード:ベリパリブ・適応:非小細胞肺がん、卵巣がん。領域:がん・一般名/開発コード:ベネトクラクス・適応:多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病。領域:がん・一般名/開発コード:Rovalpituzumab tesirine・適応:小細胞肺がん。【P2】領域:免疫・一般名/開発コード:スキリージ・適応:アトピー性皮膚炎。領域:がん・一般名/開発コード:デパツキシズマブ マホドチン・適応:悪性神経膠腫(P1/2)。領域:がん・一般名/開発コード:Telisotuzumab vedotin・適応:非小細胞肺がん。領域:がん・一般名/開発コード:ABBV-621・適応:固形がん/血液がん(P1)。領域:がん・一般名/開発コード:ABBV-181・適応:固形がん(P1)。領域:がん・一般名/開発コード:ABBV-151・適応:固形がん(P1)。領域:神経・一般名/開発コード:ABBV-8E12・適応:進行性核上性麻痺、アルツハイマー型認知症。

 

19~20年は新製品ラッシュ

アッヴィは今年5月に乾癬治療薬「スキリージ」(一般名・リサンキズマブ)を世界に先駆けて発売。ベネトクラクスのほか、関節リウマチ治療薬ウパダシチニブを今年2月に申請しており、今年から来年にかけて新製品ラッシュを迎えます。

 

スキリージは抗IL-23抗体で、3回目以降は12週間に1回投与と、国内で承認されている乾癬向けの生物学的製剤で最も投与頻度が少ないのが特徴。ピーク時に薬価ベースで102億円の売上高を見込んでいます。

 

20年以降は成長回復

マヴィレットによる急成長の反動で19年は減収となるものの、20年以降はこうした新製品によって成長を回復する見通し。「ヒュミラもまだ成長するし、マヴィレットのビジネスも安定化してくる。そしてオンコロジー領域の製品も出てくる。バランスのとれたポートフォリオでビジネスを展開していく」(フェリシアーノ社長)といい、国内トップ20は今後も維持したい考えです。

 

13年の発足時には売上高で国内37位だったアッヴィ。短期間で急成長を遂げ、グローバルにおける日本市場の重要性も高まっているといいますが、一方で薬価制度の見直しが懸念材料となります。マヴィレットは今年2月、特例拡大再算定の適用を受け、薬価が25%引き下げられました。

 

「われわれは研究開発型企業として、革新的な治療薬を迅速に日本の患者に提供することが使命だと認識している。今後もイノベーションが公平かつ適正に評価され、日本市場の透明性と予見性、信頼性が高く保たれることを期待している」。フェリシアーノ社長は会見で、薬価制度に注文を付けることも忘れませんでした。

 

(前田雄樹)

 

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