米国に本社を置くコンサルティング企業Decision Resources Groupのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。同社が患者を対象に生物学的製剤の認知度を調査したところ、極めて低いことが明らかになりました。
(この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。原文はこちら)
リウマチは20%
製薬会社は、新たな生物学的製剤の開発に巨費を投じ、その販売にも多額の費用をつぎ込んでいる。研究開発のコストを取り返すには、売り上げを力強く伸ばすことが不可欠で、認知度の最大化は必須。このため、新たな生物学的製剤の発売時には、販売促進に大きな予算を組み、営業現場にしかるべきサポートを提供するのが常となっている。
しかし、生物学的製剤に対する患者の認知度は極めて低い。それはなぜなのか。
われわれは2018年、がんや自己免疫疾患などいくつかの疾患を対象に、生物学的製剤の認知度を調査したが、結果は驚くほど低かった。例えば、関節リウマチの場合、自分の病気に対応した生物学的製剤を知っている患者は、わずか5人に1人。市場には、「オレンシア」「ヒュミラ」「シムジア」「エンブレル」「シンポニー」「レミケード」「アクテムラ」といった多くの生物学的製剤があるのに、こうした治療選択肢を知らない患者がここまで多いのはなぜなのだろうか?
デジタルチャネルへの投資がカギ
接点としての弱さが最も現れたのが医師だ。調査対象とした疾患全体で見てみると、生物学的製剤を知っている患者のうち、「医師から聞いた」と答えたのは60%。一方、生物学的製剤を知っているものの使用していない患者では、22%が「医師から勧められなかった」を答えている。その要因として最も多かったのは「事前承認が必要」で、「生物学的製剤を使うほど症状が重くない」「副作用」が続いた。
製薬企業にとっての盲点はほかにもある。患者は治療選択肢についてインターネットで自ら情報収集し、疾患について調べている。生物学的製剤を知っている患者の27%がネットを情報源としていた。デジタルチャネルに、より多く、そしてスマートに投資することで、患者の認知度を上げることができるだろう。
もちろん、生物学的製剤とは何かきちんと理解できていない患者もいるが、思ったほど多くはない。調査対象とした疾患全体で見ると、生物学的製剤が何かわからない患者は18%。自分が生物学的製剤を使っているのかどうか自信がないという患者4%にとどまる。
(原文公開日:2019年2月4日)
この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。
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