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メディケイドで「アウトカムベースの契約」を推進するアメリカの州当局|DRG海外レポート

米国に本社を置くDecision Resources Groupのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。今回は、米国の公的医療保険メディケイドで、製薬企業と「アウトカムベース」の支払い契約を結ぶ州が出てきたことについて、アナリストが解説します。

 

(この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。原文はこちら

 

メディケイドの支出は年5.7%で上昇

米国では、メディケイドの支出が驚異的なスピードで増加している。その主な要因は、処方薬の価格上昇だ。CMS(メディケア・メディケイドサービスセンター)によると、2018年の支出は連邦予算の62%に相当する6293億ドル近くに登った。政府の予測では、この数字は向こう10年間、年率5.7%で上昇を続け、26年には1兆ドルに達する。

 

そこでCMSは近年、処方薬のコスト削減に向けた厳しい対策を講じている。その一環として、いくつかの州のメディケイドプログラムでは、製薬会社と「アウトカムベースの契約」(OBC)を結ぶことに同意した。これらの契約では、リベートやフォーミュラリーに関する判断は、その薬のアウトカム(治療成績)によって左右される。アウトカムが製薬会社の主張するレベルに満たない場合、州当局はその製薬会社と大幅な値引き交渉が可能となる。

 

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オクラホマとミシガンで導入

CMSからアウトカムベース契約について同意を取りつけたのは、オクラホマ州とミシガン州だ。2016年末、オクラホマの保険医療当局とPharmacy Management Consultants(オクラホマ州のメディケイド薬剤給付管理会社)は、共同で20近くの企業とOBCに関する協議する場を設けた。

 

CMSが正式にゴーサインを出した2018年、州当局は製薬会社と3つのOBCを締結した(AlkermesのAristada、MelintaのOrbativ、Esaiのfycompa)。同州は、他の数社とも同様の契約に向けて交渉中だ。

 

製薬会社にとってOBCとは

米国では長らく、「製薬会社とのアウトカムベースの契約」がまことしやかに語られてきたものの、政府系医療保険機関がそうした契約を結んだことはなかった。製薬会社が乗り気でないのは、メディケイドのベストプライスツールと州間共同購入の2つの施策だろう。

 

患者が最低価格で薬を利用できることを保証するこれらの施策は、メーカーにとっては利益の落ち込みにつながりかねない。オクラホマ州がまだ大手製薬企業との契約には至っていないのも、これが理由と考えられる。

 

とはいえ、こうした契約は製薬会社側の利益にもなりうる面がある。薬が臨床的有効性を示せば、州の推奨フォーミュラリーで有利な地位を確保することができるからだ。製薬会社としては、その州の無保険者数、利用傾向、疾患罹患率などの人口統計的条件を考慮することが重要だ。

 

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今後の見通しは

CMSのデータによると、2012~2016年にメディケイドで最も多額の支出となった薬剤は、ADHD治療薬、HIV治療薬、抗精神病薬だった。したがって、これらの治療薬の領域でもOBCが締結されるかもしれない。

 

このほか、同じ治療領域での優先順位をほかの薬剤より高くするための担保になっている規制も、OBCによって撤廃される可能性がある。

 

次にOBCを導入するのはコロラド州ではないか、との憶測が流れている。ほかの州も続き、OBCが広がっていくのか。注視していく必要がある。

 

(原文公開日:2019年1月18日)

 

【AnswersNews編集長の目】

薬剤費の増加は先進国共通の課題。日本では費用対効果評価の本格導入に向けた議論が佳境を迎えていますが、米国では低所得者向けの公的医療保険であるメディケイドで、アウトカムに基づく支払いを導入する州が出てきているといいます。

 

Decision Resources Groupのアナリストが書いた別の記事によると、DRGの調査に対し、民間保険の一種であるMCO(Managed Care Organization)の22%がすでに製薬企業とアウトカムベースの契約を結んでいると回答。49%が「来年には導入する」、20%が「1~5年以内に導入する」と答えました。

 

日本でも一時、超高額な治療として知られるCAR-T細胞療法「キムリア」をめぐって成功報酬型の薬価制度の検討が取り沙汰されました。今年はキムリアのほか、こちらも超高額になるとみられる遺伝子治療の承認も予想されます。費用対効果評価に加え、治療成績に応じた支払いも、現実味を帯びてくるかもしれません。

 

この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。

 

【記事に関する問い合わせ先】
ディシジョン・リソーシズ・グループ日本支店
斎藤(カスタマー・エクスペリエンス・マネージャー)
E-mail:ssaito@teamdrg.com
Tel:03-5401-2615(代表)

 

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