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ニュース解説

【2021年3月版】製薬大手 抗がん剤パイプライン(2)メルク、サノフィ、グラクソ・スミスクライン、ジョンソン&ジョンソン

更新日

市場拡大が著しく、開発競争も熾烈ながん領域。製薬大手の後期開発パイプラインをまとめました(全5記事。この記事は半年をめどに更新していく予定です。全記事まとめはこちら)。

 

パイプラインは調査時点で各社がホームページで公表していた情報に基づく。いつ時点の情報かは会社によって異なるため、承認・申請など直近のイベントが反映されていない場合もある。

 

米メルク

【米メルク】がん領域の後期開発パイプライン1

【米メルク】がん領域の後期開発パイプライン2

 

免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(製品名・キイトルーダ)は、2021年3月現在、トリプルネガティブ乳がん(日本と欧州)や食道がん(日本)、高TMBがん(日本)などを対象に申請中で、世界各国で単剤・併用療法合わせて1400を超える臨床試験が行われています。併用療法では、抗TIGIT抗体vibostolimab(開発コード・MK-7684)や抗CTLA-4抗体MK-1308、抗LAG3抗体MK-4280など、ほかのがん免疫療法薬との組み合わせで臨床第2相(P2)試験を実施中です。

 

エーザイとの提携で開発を進めるマルチキナーゼ阻害薬レンバチニブ(レンビマ)は、胸腺がんの適応で日本で承認を取得。英アストラゼネカと共同開発するPARP阻害薬オラパリブ(リムパーザ)も、進行卵巣がんと前立腺がん、膵がんに適応拡大しました。両剤とも、グローバルでペムブロリズマブとの併用療法が開発されています。

 

外部からのパイプライン獲得にも積極的。19年に米ペロトン・セラピューティクスから獲得した低酸素誘導因子(HIF)-2α阻害薬belzutifan(MK-6482)は、今年3月に腎細胞がんで申請しました。昨年9月には米シージェン(旧シアトルジェネティクス)と提携し、抗LIV-1抗体薬物複合体(ADC)ladiratuzumab vedotin(MK-6440)とHER2阻害薬tucatinib(Tukysa)の共同開発を開始しています。

 

仏サノフィ

【仏サノフィ】がん領域の後期開発パイプライン

 

抗CD38抗体イサツキシマブ(サークリサ)は昨年、日米欧で再発・難治性多発性骨髄腫に対するポマリドミド、デキサメタゾンとの3剤併用療法として承認。単剤療法や別の併用療法で適応拡大に向けた申請を行っています。抗PD-1抗体cemiplimab(Libtayo)は、非小細胞肺がんと基底細胞がんで申請中。日本でも子宮頸がんと皮膚がんでP3試験を進めています。

 

注力する選択的エストロゲン受容体分解薬amcenestrant(SAR439859)は、乳がんに対する新規の内分泌治療法として開発中。サノフィは、転移性乳がんの適応で22年の承認取得を目指しています。

 

このほか、CEACAM5 ADCのtusamitamab ravtansine(SAR408701)で、非小細胞肺がんを対象に、単剤療法と抗VEGFR-2抗体ラムシルマブ(サイラムザ)との併用試験を行っています。

 

英グラクソ・スミスクライン

【英GSK】がん領域の後期開発パイプライン

 

グラクソ・スミスクラインは19年1月に約5800億円で米テサロを買収し、PARP阻害薬niraparib(Zejula)や抗PD-1抗体のdostarlimab(GSK4057190)などを獲得。15年のスイス・ノバルティスとの事業交換でがん領域の製品群を手放していましたが、本格的にがん領域に再参入しました。現在、dostarlimabが子宮内膜がんの適応で申請中です。

 

抗BCMA ADCのbelantamab mafodotin(Blenrep)は、多発性骨髄腫を対象に昨年8月に米国で承認。抗BCMA療法としては、競合するCAR-T細胞療法に先駆けての発売となりました。免疫調整薬やプロテアソーム阻害薬、抗CD38抗体での前治療歴のある患者が対象です。

 

がん免疫療法では、ICOS受容体アゴニストfeladilimab (GSK3359609)やNY-ESO TCR-T細胞療法letetresgene autoleucel(GSK3377794)などが開発の後期段階。独メルクと共同開発しているbintrafusp alfa(M7824)は、PD-L1とTGFβを同時に阻害する融合タンパク質で、胆道がんを対象にピボタル試験を行っています。

 

米ジョンソン&ジョンソン

【米J&J】がん領域の後期開発パイプライン

 

多発性骨髄腫治療薬の抗CD38抗体ダラツムマブ(ダラザレックス)は、適応拡大に向けて申請中。21年3月までに、日米欧で皮下注製剤も承認されました。投与時間が大幅に短縮できるとして利便性の向上が期待されています。

 

血液がんではこのほか、米アッヴィ傘下のファーマサイクリックスと共同開発するBTK阻害薬イブルチニブ(イムブルビカ)が、マントル細胞リンパ腫や非ホジキンリンパ腫で開発の最終段階にあります。中国のレジェンド・バイオテックと共同開発するBCMAを標的とする CAR-T細胞療法ciltacabtagene autoleucel(JNJ-68284528)は、多発性骨髄腫でP3試験を実施中です。

 

FGFR阻害薬erdafitinib(Balversa)は、尿路上皮がんを対象に米国で19年承認されており、欧州と日本でP3試験を実施中。臓器横断型の適応取得を目指した開発も進んでいます。

 

ダラザレックスの共同開発先であるデンマーク・ジェンマブの技術を使い、抗EGFR/cMet二重特異性抗体amivantamab(JNJ-61186372)と抗BCMA/CD3二重特異性抗体teclistamabも開発中。amivantamabは、非小細胞肺がんで昨年末に米国と欧州で申請を行いました。

 

(亀田真由)

AnswersNews編集部が製薬企業をレポート

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