製薬業界の転職市場のトレンドを、業界専門の転職支援サービス「Answers」「MRBiZ」(運営元:株式会社クイック)の専任コンサルタントが毎月レポートします。
求人件数は全体的に増加、MSLは経験者を求める傾向に
2018年12月の製薬業界の求人件数は、全体的に前月から増えました。時期的な要因もあり、増減が2ケタにおよぶ職種も目立ちます。
職種別に見てみると、「プロセス研究」(31%増)や「製造技術」(29%増)が大幅に増加。一方で、「生産技術」(24%減)や「基礎研究」「製造」(19%減)が減少しました。
MRの求人件数は前月から16%減りました。採用が落ち着いた求人が複数あったためですが、新しい求人もちらほらと出ています。例年の傾向からすると、まとまった採用が年末に始まるケースは少ないので、新たな動きが出てくるのは年明け以降になりそうです。
新規の求人では、MSLの募集が増加。組織強化を目的とした外資系企業の求人が目立ちます。数年前から各社が増員を始めたMSL部門ですが、以前に比べるとMSLとしての経験を求める傾向が強くなっています。その背景には即戦力を採用して組織の体制を整えたい、経験者が増えてきたため経験者を優先的に採用したい、といった各社の事情が見受けられます。
[2018年の転職市場をおさらい]「バイオ」関連の求人 職種問わず増加―「早期退職」が転職を考えるきっかけに
今年も早いものでもう12月。今回は、2018年の製薬業界の転職市場を、求人と転職希望者の双方から、キーワードをもとに振り返ってみたいと思います。
求人は「バイオ」がキーワードに
今年は、MR、研究部門、製造部門など、幅広い職種でバイオ医薬品に関連する求人が多い1年でした。抗体医薬などのバイオ医薬品が新薬開発の中心となる中、この傾向は来年も続きそうです。
職種別に見てみると、MRでは外資系企業を中心に20~30人単位の募集がいくつかの企業で出ました。多くがバイオ製品を担当する組織の立ち上げを目的とした採用でした。
研究職では、基礎研究を中心に製薬メーカーの求人が増加。特にバイオの経験者を歓迎する求人が複数出た1年となりました。研究フェーズの進展や事業の拡大を背景に、バイオベンチャーで採用が活発化したのも今年の特徴として挙げられます。
今年、特に求人件数が高水準で推移した製造部門でも、求められたのはやはりバイオ医薬品の担当者。品質管理や品質保証を中心に求人が急増しました。製品が増える一方で、バイオの経験者は転職市場に少なく、低分子医薬品の経験だけで挑戦できる求人も多く見られました。
転職希望者側は「早期退職」
近年、製薬業界では早期退職が相次いでいますが、今年も日系・外資系問わず多くの企業で早期退職が行われました。大正製薬ホールディングスが行った早期退職には、連結従業員の15%にあたる948人が応募。アステラス製薬やエーザイも早期退職の実施を発表しました。リストラを機に転職を考える人も多く、会社の先行きに不安を感じて自らの経験やキャリアを見つめ直す人も多かったのが今年の印象です。
MRでは、会社の将来性や長く働くことに重点を置いて転職を考える人が目立ちました。これまではMRを続ける前提で年収や勤務地の希望を叶えようと転職する人が大半でしたが、今年は医療機器営業など異業種に目を向ける人も増えました。
これまであまり転職する人が多くなかった研究や開発などの職種でも、今年は転職を希望する人が増えたように思います。転職希望者からの相談を聞いてみると、「自分の会社はまだリストラをしていないが、業界内で相次ぐ早期退職をきっかけに自分のキャリアを考えるようになった」という人も少なくありませんでした。
製薬企業の人員削減の傾向は今後も続く見通しです。転職希望者が増えれば、その分、好条件の求人には応募が集中するようになるでしょう。来年も引き続き、求人情報をタイムリーにつかむことが、転職成功のカギとなりそう。転職を考えている方はもちろん、キャリアに漠然とした不安を抱えている方も、お気軽にAnswers転職サポートにご相談ください。
少し早いですが、今年の転職市場トレンドは今回が最後。1年間、お付き合いいただきありがとうございました。それでは、よいお年を。
(コンサルタント 香本牧子)
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