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サンバイオ 細胞医薬「SB623」治験成功で高まる期待―脳の神経を再生 19年にも承認へ

バイオベンチャーのサンバイオが開発する再生細胞薬「SB623」。外傷性脳損傷を対象とした臨床第2相試験に成功し、期待が高まっています。日本では来期(2020年1月期)中の申請を目指しており、早ければ19年にも承認される見通しです。

 

運動機能を有意に改善

サンバイオは11月1日、慢性期の外傷性脳損傷を対象に日本と米国で行った「SB623」の臨床第2相(P2)試験(STEMTRA試験)で、主要評価項目を達成したと発表しました。同社はこの試験結果をもとに、まずは日本で2020年1月期中に同薬の承認申請を行う予定。条件・期限付き早期承認制度を活用する方針で、早ければ19年中にも承認となる見通しです。

 

SB623は、健康な成人の骨髄液から取り出した他家由来の間葉系幹細胞(自己再生能力を持つ多能性細胞)を加工・培養した再生細胞薬。脳内の損傷した部位周辺に投与すると、神経細胞の再生を促し、失われた機能を回復させると期待されています。

 

P2試験は運動障害を伴う慢性期外傷性脳損傷患者を対象に行われ、SB623は対象群に比べて統計学的に有意に運動機能を改善。主要評価項目であるFugl-Meyer Motor Scale(FMMS)のベースラインからの改善量(24週時点)は、対照群で2.4点だったのに対し、SB623群は8.7点でした。FMMSは運動機能を総合的に評価する指標で、数値が大きいほど状態がいいことを表します。

 

P2試験の結果が発表されて以降、サンバイオの株価は急上昇。11月8日には一時、発表前日の終値の2.1倍となる7550円まで値を上げ、時価総額は3000億円を超えました。脳の神経機能を再生させる世界初の細胞医薬が実用化に近づいたことで、サンバイオへの期待も高まっています。

 

販売準備 急ピッチ

承認申請を目前に控える中、サンバイオはSB623の発売に向けた準備を着々と進めています。

 

SB623の発売に向けた体制整備の図。

 

今年3月には、日立化成と同薬の製造で業務提携を締結。日立化成とその子会社Hitachi Chemical Advanced Therapeutics Solutions(米ニュージャージー州)が、日米向けの商用製造を担うことになりました。SB623は他家由来の間葉系幹細胞で、大量に製造して保存しておけるのが最大のメリット。自家細胞に比べて投与までの期間が短く、コストも抑えることができます。

 

ケアネットやバイタルケーエスケーと資本業務提携

さらに今年9月には、国内での販売・流通体制の構築に向け、▽ケアネット▽メディカルインキュベータジャパン▽バイタルケーエスケー・ホールディングス▽アステム――と資本業務提携を結びました。今後、これら4社とともにSB623の適正使用や普及、流通について、共同で検討を進めます。

 

SB623は外傷性脳損傷のほか、慢性期の脳梗塞を日米でP2試験を実施中。米国では大日本住友製薬と共同開発しており、国内では今年2月、帝人とのライセンス契約を解消し、開発・販売権の返還を受けました。患者数としては外傷性脳損傷より脳梗塞のほうが圧倒的に多く、大日本住友製薬はピーク時に米国で1000億円以上の売り上げが期待できるとしています。国内でも大型化が見込まれており、「本丸」への適応拡大を見据えて販売・流通体制を確立しておくことは、サンバイオの中長期的な成長にとって大きな意味を持ちます。

 

パイプラインにはパーキンソン病や認知症も

開発は外傷性脳損傷と脳梗塞だけにとどまりません。

 

サンバイオのパイプラインの表。【SB623】適応:脳梗塞(慢性期)、開発段階:P2、開発地域:日米。適応:外傷性脳損傷(慢性期)、開発段階:P2、開発地域:日米。加齢黄斑変性(ドライ型)、開発段階:非臨床。適応:網膜色素変性、開発段階:非臨床。適応:パーキンソン病、開発段階:非臨床。適応:脊髄損傷、開発段階:非臨床。適応:認知症、開発段階:研究。【SB618】適応:末梢神経障害など、開発段階:非臨床。【SB308】適応:筋ジストロフィーなど、開発段階:研究。

 

SB623は現在、加齢黄斑変性(ドライ型)や網膜色素変性、パーキンソン病、脊髄損傷の4つの疾患で非臨床試験を実施中。今年7月には、慶応大医学部と認知症を対象とした共同研究も始めました。共同研究では、同社の創業科学者である岡野栄之教授(生理学教室)とともに、認知症モデル動物を使ってSB623の認知症に対する治療効果を評価し、臨床試験に進むために必要なデータの取得を目指します。

 

SB623のほかにも、末梢神経障害などを適応として想定する「SB618」(非臨床試験段階)や、筋ジストロフィーなどを対象とする「SB308」(研究段階)がパイプラインに控えます。

 

サンバイオの業績推移の棒グラフ。

 

サンバイオの18年1月期の連結業績は、売上高4億9000万円、営業利益43億7800万円の赤字。開発投資が先行してきましたが、それもいよいよ花開く時が来ました。

 

一昨年、米アキュセラやアンジェスなどが期待の新薬のP3試験に相次いで失敗するなど、苦難が続いた国内のバイオベンチャー。サンバイオのSB623が成功事例となれば、国内のバイオベンチャー全体の活性化につながるかもしれません。

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