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ニュース解説

テレワークで生産性アップも―製薬業界 進む働き方改革

6月末に国会で関連法が成立するなど、昨今注目を集める働き方改革。製薬業界でも取り組みが進んでいます。

 

武田 1日の最低勤務時間を撤廃

約6兆8000億円の巨費を投じ、アイルランド・シャイアーを買収することで合意した武田薬品工業。グローバル化が急速に進む中、8月1日から働き方改革のための新たな取り組みを始めました。

 

柱となるのはフレックスタイム制の見直しなど。同社は従来、フレックスタイム制での1日の最低勤務時間を標準勤務時間(実働7時間45分)の2分の1以上としていましたが、8月からはこれを廃止。1カ月の労働時間の中で柔軟な働き方ができるようにしました。

 

加えて、勤務時間中に通院などプライベートな用事のために一旦職場を離れる「中抜け勤務(追加休暇の取得)」も可能に。対象従業員の36%が利用する(2018年3月末時点)在宅勤務制度はテレワーク勤務制度に変更し、一定の要件を満たせば自宅以外でも勤務できるようにしました。

 

7月には東京・日本橋に世界70カ国で展開する事業の拠点となる「武田グローバル本社」をオープンした同社は、「従業員一人ひとりの多様なニーズに寄り添い、それぞれのポテンシャルが最大限に引き出される働き方改革を一層推進し、働きやすい環境の整備に取り組んでいく」としています。

 

5月に新社屋に移転した日本イーライリリーも、これに先立つ4月に働き方改革推進のための制度改革を実施しました。フレックスタイム勤務者のコアタイム(午前10時~正午、午後1時~3時)を廃止し、1日の最低労働時間を4時間に設定。午前5時~午後10時の間で勤務時間を調整できるようにしました。在宅勤務も理由を問わず可能とし、日数の上限も撤廃しました。

 

社員の4分の3がテレワーク利用 ベーリンガーインゲルハイム

昨年10月、「Design Your Day!」をキーワードとする働き方改革の一環として独自のテレワークを導入したベーリンガーインゲルハイムジャパンでは、導入から半年で働き方に大きな変化が現れたといいます。

 

同社のテレワークは、利用制限を極力設けていないのが特徴です。酒席などを除けば日本全国どこでも可能で、理由は不問。最大週5営業日、午前5時から午後10時の間なら5分単位で利用できます。前日までに上司と部下の間で合意することを条件に、原則として人事への事前申請も不要としています。

 

テレワークの導入から約半年がたった3~4月に行った社内アンケートによると、テレワーク対象従業員の75.5%が1回以上利用した経験があり、そのうち63.8%は月1回以上利用。週に2~3回利用している従業員も7.4%いました。

 

テレワークの利用経験・利用頻度(ベーリンガーインゲルハイム)【導入後、1回でも利用したか?】利用した:75.5パーセント。利用していない:24.5パーセント。【利用頻度(利用経験者が対象)】週2~3回程度:7.4パーセント。週1回程度:22.0パーセント。月2~3回程度:19.4パーセント。月1回程度:14.9パーセント。これまでに数回:36.2パーセント。

 

テレワーク導入前を50として導入後の生産性を0~100で答えてもらったところ、従業員本人では平均58.8、上司では平均53.8と、いずれも導入前よりアップ。「業務の質」については従業員本人の41.5%が、「業務のスピード」については50.5%が、「良くなった」あるいは「速くなった」と回答しました。

 

自由記述欄では、
「通勤ラッシュを避けられる」
「通勤2時間、朝の支度1時間をほかのことに使えるのは非常に有効」
「習い事や自己啓発を始めた」
「子どもの送迎やコミュニケーション、家族そろっての食事の機会ができ、素直に嬉しい」
「生産性・効率性・クオリティの向上に向けて自分自信の働き方を見直す機会になる」
といったコメントがあった一方、今後の課題としては、ベストプラクティスの共有や制度の理解浸透、通信など設備の充実を求める意見が上がりました。

 

同社の平泉真理・執行役員法務部長は「テレワークによって、介護や通院、子育てといった用事はもちろん、習い事や勉強、社外のネットワーク構築といった新しい知識や気付きをインプットする機会が得られたのもメリット。こうした体験が新しいイノベーションの創出につながっていくことを期待している」としています。

 

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