製薬業界の転職市場のトレンドを、業界専門の転職支援サービス「Answers」「MRBiZ」(運営元:株式会社クイック)の専任コンサルタントが毎月レポートします。
研究職の求人が大幅に増加、MRはオンコロジー経験者を募集
2018年3月の製薬業界の求人件数は、全体としては前月から微増しました。
職種別に見てみると、「薬理研究」(25%)が大幅に増加。「前臨床研究」(19%増)や「基礎研究」(16%増)など全体的に研究職の求人が増えています。一方、「管理薬剤師」(12%減)や「製造技術」(7%減)などは減少しました。
MRの求人も大きく増加しました。ニーズが高いのはオンコロジーなど専門領域のMR。主に大学病院を担当した経験や専門領域の経験がある人向けの求人が中心です。最近では大手外資系企業など数社がオンコロジー領域でまとまった数のMRの募集を始めました。
開発職はメディカルライティング(MW)のニーズが増加。適応拡大やパイプラインの増加に伴って求人が増えています。ライティングの経験があれば、CROに在籍する人もメーカーへの挑戦が可能です。
[今月の注目職種:研究職] メーカー、ベンチャーともにバイオ医薬品経験者を歓迎
研究職の求人件数は、基礎研究や前臨床研究などを合わせて全体で前月から15%以上増えました。大手メーカーからバイオベンチャーまで、あらゆる企業で採用意欲が高まっています。
製薬メーカーでは、日系の大手企業を中心にバイオ医薬品経験者のニーズが上昇。各社の重点領域や新たな事業の強化を目的とした募集が多く、特に細胞医薬品の経験者は歓迎されやすい傾向にあります。
バイオベンチャーでは、前臨床研究ポジションの募集が増えています。前臨床研究はこれまでメーカーでの募集が中心でしたが、フェーズが進んだことでバイオベンチャーでもニーズが高まっています。国はバイオベンチャーの支援策を強化しており、基礎研究のポジションも含めて研究職の採用が活発です。
転職市場を全体的に見てみると、研究職の転職は今、比較的選択肢が多い状況にあります。テクニシャンクラスからリーダークラスまで幅広く募集が出ているほか、基礎研究では、ポスドクをしていて事業会社で働いた経験がないという人でも挑戦できるメーカーの求人もあります。
転職するには、再生医療やペプチド医薬品など経験者が少ない分野で研究してきた人が特に有利です。
新薬開発が難しくなっていることなどを受けて、「選択と集中」の動きが加速化している製薬業界。研究部門では、重点領域に研究投資を集中させたり、バイオベンチャーやアカデミアなど外部との提携を強化したり、といったことが今後さらに活発化していくでしょう。
研究職の転職市場にはさらなる動きが出てくるかもしれません。Answersではキャリアに関する情報提供や相談を行っております。情報収集をしたい人や今後のキャリアについて考えたい人は、お気軽にお問い合わせください。
(コンサルタント 香本牧子)
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