塩野義製薬は9月14日、開発中の抗インフルエンザウイルス薬「S-033188」の臨床第3相(P3)試験のデータを発表した。インフルエンザ症状の罹病期間は53.7時間で、プラセボの80.2時間に対して有意に短縮。ウイルス力価とウイルスの排出期間では、プラセボとオセルタミビルと比較して有意に低下・短縮した。
S-033188は、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬と呼ばれる新規作用機序を持つ抗インフルエンザウイルス治療薬。1回の経口投与で治療が完結することが期待されている。塩野義は今回発表した試験結果に基づき、今年度中に国内で申請する方針だ。
発表されたのは、リスク要因を持たない健常のインフルエンザ患者1436人を対象としたP3試験「CAPSTONE-1」の結果。「S-033188」を体重に応じて40mgまたは80mg単回投与する群と、プラセボまたはオセルタミビル75mgを1日2回5日間投与する群の3群に割り付け、有効性と安全性を評価した。
結果によると、インフルエンザの罹病期間はプラセボの80.2時間に対し、S-033188は53.7時間と有意に短縮。オセルタミビルとは同程度だった。
インフルエンザウイルス力価(感染性を持つインフルエンザウイルス粒子の指標)では、プラセボとオセルタミビルの両方と比べて有意に低下。治療開始後24時間のウイルス力価のベースラインからの変化量は、S-033188がマイナス4.4、プラセボがマイナス1.2、オセルタミビルがマイナス2.5だった。
S-033188は、インフルエンザウイルスの排出期間(感染性を持つインフルエンザウイルス粒子が検出されなくなるまでの期間)も、プラセボとオセルタミビルの両方に対して有意に短縮。排出期間の中央値は、プラセボが96.0時間、オセルタミビルが72.0時間だったのに対し、S-033188は24.0時間だった。
有害事象の発生頻度は、S-033188が20.7%、プラセボが24.6%、オセルタミビルが24.8%。薬剤との関連性が疑われる有害事象の発現率では、S-033188はオセルタミビルを有意に下回った。
試験結果は、ラトビアで開かれた欧州インフルエンザ科学ワーキンググループ会議で発表された。