協和発酵キリンは8月24日、X染色体遺伝性低リン血症(XLH)治療薬の抗線維芽細胞増殖因子23(FGF23)抗体brosumabについて、共同開発先の米ウルトラジェニクスが米国で承認申請を行ったと発表した。同剤は大型化が見込まれる協和発酵キリンのグローバル戦略製品。同社はピーク時に世界で1500億円の売り上げを期待している。
brosumabは昨年、米FDA(食品医薬品局)から1歳以上の小児のXLHに対する治療薬としてブレークスルーセラピー(画期的治療薬)の指定を受けた。欧州では2016年に承認申請を済ませている。
brosumabが標的とするFGF23は、主に骨組織で産生される251アミノ酸からなるポリペプチド。腎臓に作用し、腎尿細管でのリンの再吸収を阻害する。XLHは遺伝的な原因により血中のFGF23が過剰となることで、体内のリンが尿中に過剰に排泄されて低リン血症となり、その結果、骨の成長・維持に障害をきたす疾患。
brosumabは、協和発酵キリンが2020年までの中期経営計画でグローバル展開の柱と位置付ける重要製品。中計最終年度には年間600億円の売り上げを目標としており、将来的には1500億円まで伸びると期待している。欧米では米ウルトラジェニクスと共同開発しており、米国とカナダでは販売も共同で行う。日本では臨床第3相試験の段階にある。