武田薬品工業は7月27日、米TESARO社と、同社のポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬ニラパリブのライセンス契約を結んだと発表した。武田薬品は、日本では全てのがん、韓国、台湾、ロシア、オーストラリアでは前立腺がんを除くがんで、独占的開発・販売権を獲得する。
武田薬品はTESARO社に対し契約一時金として1億ドルを支払うほか、開発や販売のマイルストンとして最大2.4億ドル、売り上げに応じた二桁台のロイヤリティを支払う可能性がある。契約対象地域での臨床開発は武田薬品が行い、費用も同社が負担する。
ニラパリブは1日1回投与の経口剤で、BRCA遺伝子変異やバイオマーカーの有無に関わらず、プラチナ製剤感受性の再発卵巣がんの維持療法薬として米国で承認を取得。「ZEJULA」の製品名で今年4月から販売されている。米国では直近、卵巣がん患者に最も処方されているPARP阻害薬の一つという。
TESARO社は卵巣がん以外にも、乳がんや肺がんを対象とした臨床開発を行っている。前立腺がんについては、ヤンセン・バイオテックが日本を除く全世界での開発・販売権を持っている。
PARP阻害薬は、国内ではアストラゼネカがオラパリブを開発しており、▽BRCA遺伝子変異陽性乳がん(術後補助療法)▽BRCA遺伝子変異陽性乳がん▽BRCA遺伝子変異陽性再発卵巣がん▽BRCA遺伝子変異陽性卵巣がん▽前立腺がん――の5適応で臨床第3相試験を行っている。