米イーライリリーは7月25日、米FDA(食品医薬品局)が承認を見送った関節リウマチ治療薬バリシチニブについて、FDAへの再申請が2018年以降になるとの見通しを発表した。FDAが求める追加の臨床試験の実施も含め、再申請に向けた方策を検討していくが、再申請までには最短でも18カ月かかるという。
バリシチニブは1日1回経口投与のJAK阻害薬。2016年に日米欧で申請し、欧州では今年4月、日本では今年7月に承認を取得したが、米国では今年4月に現時点では承認しないとするコンプリート・レスポンス・レター(審査完了通知)を受けており、動向が注目されていた。
FDAは、関節リウマチを対象とした臨床試験のプラセボ対照期間中に、血栓塞栓症の発現数に不均衡があったことを踏まえ、再申請には用量間のリスクベネフィットを検討する新たな臨床試験が必要と指摘している。
米リリーによると、深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓症(PE)と診断された血栓塞栓症は、臨床第2相試験7本と臨床第3相試験2本のプラセボ対照期間中に計5人の患者で報告(いずれもバリシチニブ投与群)。発現率には不均衡あったが、米リリーは「バリシチニブの臨床プログラム全体における血栓塞栓症の発現率は、一般的な関節リウマチ治療を受けている患者層で観察される発現率と同程度だった」と主張している。
米リリーのバイオ・医薬品事業部プレジデントのクリスティ・ショー氏は「FDAの見解には同意しない。臨床データにより、承認に値するリスクベネフィットバランスが示されていると自信を持っている。本年中に再申請に至らないことを遺憾に思うが、引き続きFDAと今後の方針について協議していく」とコメントしている。