臨床開発
臨床開発とは、医薬品、医療機器、食品(特定保健用健康食品)、化粧品等の開発業務のことで、最終的に、国(厚生労働省)に製造販売の承認を受けることを目的に行われる。いまだ開発されていない医薬品、副作用の強くない医薬品などは多くの人に待ち望まれている。しかし、臨床開発には、最低でも数十年という長い期間を要し、その後、承認を受けられるものも多くはない。そこで、省令などの改正により、国を超えての同時試験(国共同際治験・グローバルスタディー)などで、申請から承認までのスピードアップが図られている。
臨床開発は、製薬会社、医療機器メーカー等が医療機関等の協力を得て行うのが一般的である。2002年7月の薬事法の改正に伴い、2003年6月から医師や歯科医師あるいは医療機関主体の治験実施も可能になった。治験とは、薬事法に基づき、国の承認を受ける目的で、医薬品等の試験成績に関するデータ収集のために実施する臨床試験のことである。
新薬開発は、企業等の研究部門やバイオベンチャー企業で新薬の候補となる新物質(化合物)が探索され、化学構造の研究やスクリーニングが行なわれる。その後、非臨床試験で、薬理試験、薬物動態試験、毒性試験を行い、ある程度、結果を得た段階で、人に対する臨床試験(治験)が行われる。
臨床試験は、薬事法に基づくGCP省令(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令、あるいは医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令)と、作成した「試験実施計画書(プロトコル)」「標準作業手順書」を遵守しなければならない。GCPの基本は「被験者の人権、安全および福祉の保護」「臨床試験の科学的な質の確保」「臨床試験の成績の信頼性の確保」であり、ヘルシンキ宣言(1964年)がベースになっている。
治験は第Ⅰ相~第Ⅲ相試験(フェーズⅠ~Ⅲ)までの三段階で行われる。承認を受けて市販された後にも第Ⅳ相の試験が行なわれる。
治験で良好な結果が得られた場合は、厚生労働省に申請し、薬事・食品衛生審議会の部会および薬事文科会で専門家による審査が行われた後、承認を受けて、薬価基準収載される。
臨床開発は、製薬会社や医療機器メーカー等が外部機関(CRO、SMO)に業務をを委託して行われることが多くなっている。CRO(医薬品開発業務受託機関)は、各ガイドラインに沿って、開発立案から臨床試験実施計画書(CTP)の作成、症例報告書の登録、臨床試験の進捗管理、モニタリング、データマネジメント、統計解析、総括報告書の作成、薬事申請のための書類作成などの業務をすべて、あるいは一部を受託する。SMO(治験施設支援機関)は、治験を行う医療機関の支援業務を行ない、事務局の運営補助や書類の作成、作成補助などの業務を担う。
実際の現場での業務はCRA(臨床開発モニター)やCRC(治験コーディネーター)が当たる。CRAは、GCP省令やSOP(標準作業手順書)に従って臨床試験が正しく実施されていることを確認するモニタリング業務を行う。また、臨床試験開始前から臨床試験終了時までの臨床試験を実施する医療施設の選定や契約手続き、臨床試験実施計画書やSOPの作成、進捗確認、提出文書の精査、症例報告書の回収などを、担当医師やCRCと連携して行う。
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