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「オプジーボ」きょう薬価50%引き下げ…薬価制度 改革議論に火 影響は業界全体に

高額な薬価で社会的にも注目を集めた免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」の薬価が、きょう2月1日、半額に引き下げられました。

 

適応拡大に伴う対象患者の急増で公的医療保険財政への影響を懸念する声が相次ぎ、“緊急的な対応”として薬価引き下げが決まったオプジーボ。薬価制度の抜本改革をめぐる議論にも火をつけました。

 

厚生労働省は2017年度中にも、適応拡大で対象患者が大幅に増えた新薬の薬価を、通常2年に1回の薬価改定の時期によらず引き下げる新たな制度を導入する方針です。オプジーボを狙った極めて異例の薬価引き下げの影響は、製薬業界全体に及びます。

 

 

100mg1瓶は73万円から36.5万円に

きょう2月1日、小野薬品工業の免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」の薬価が、正式に50%引き下げられました。これにより、20mg1瓶の薬価は7万5100円(従来は15万200円)、100mg1瓶は36万4925円(従来は72万9849円)となりました。

 

「オプジーボ」は2014年9月、悪性黒色腫の適応で発売され、15年12月には非小細胞肺がんへの適応拡大が承認。対象患者数は大幅に拡大しましたが、16年4月の薬価改定では薬価は据え置かれました。薬価改定は通常2年に1回行われるため、本来なら18年4月の薬価改定で薬価が引き下げられるはずでした。

 

ところが、公的医療保険財政への影響を懸念する声が相次ぎ、中央社会保健医療協議会(中医協)は16年11月、次の薬価改定を待たずに「オプジーボ」の薬価を引き下げることを決めました。

オプジーボをめぐる経緯 厚生労働省は、小野薬品が公表した実販売額ベースの予想年間販売額1260億円をもとに、薬価ベースの予想年間販売額を1516億円と推計。これを根拠に50%の大幅な薬価引き下げが行われることになりました。国会での議論で明らかとなった内外価格差の存在も、大幅引き下げを後押ししました。

 

小野薬品は薬価引き下げの決定を受け、16年度の「オプジーボ」の売上高予想を従来の1260億円から1050億円に下方修正。これに伴い、16年度の業績予想も売上高2400億円(従来予想比190億円減)、営業利益540億円(同185億円減)に下げました。極めて異例の薬価引き下げは、小野薬品にとって大きなダメージとなりました。

 

異例の引き下げ、正式ルールに

しかし、影響は「オプジーボ」と小野薬品だけにとどまりません。

 

政府は昨年末、薬価の毎年改定を柱とする薬価制度の抜本改革に向けた基本方針を策定。この中では、「オプジーボ」のように適応拡大によって対象患者が増えた場合の薬価のあり方について、

 

「保険収載後の状況の変化に対応できるよう、効能追加等に伴う一定規模以上の市場拡大に速やかに対応するため、新薬収載の機会を最大限活用して、年4回薬価を見直す」

 

とされました。薬価改定の時期のない時期に行われた極めて異例の薬価引き下げは、正式なルールとして薬価制度に組み込まれることになりました。影響は、業界全体に広がります。

 

製造原価や流通経費に製薬企業の利益を乗せて薬価を算出する「原価計算方式」の場合(オプジーボもこの方式で薬価を算出)、対象患者数も薬価を左右する要素の1つ。「オプジーボ」の薬価をめぐる問題でも相次いだ「適応拡大で対象患者が増えたのに、それに合わせて薬価を見直すルールがないのはおかしい」という意見にもうなずけるところはあります。

 

昨年12月9日の中医協・薬価専門部会では、日本製薬団体連合会と米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会の3団体が、「効能追加等によって大幅に市場規模が拡大する医薬品の薬価見直しについて、柔軟に対応するルールの検討が必要と認識している」との意見を表明。「オプジーボ」のような特殊なケースに限り、薬価を見直す何かしらのルールを導入することは製薬業界としても容認する姿勢を示しました。

 

製薬業界「開発妨げない制度設計を」

一方で、製薬業界側は「効能追加等の開発を妨げることがない制度設計が必要だ」とクギも刺します。適応拡大にも当然、開発費がかかっており、適応が増えたからといってやみくもに薬価を引き下げる制度となっては、製薬企業の開発意欲を削いでしまいかねません。

 

日本製薬団体連合会と日本製薬工業協会は、中医協で「オプジーボ」の薬価引き下げが決まった昨年11月16日、「日本発の革新的新薬に対する期中での大幅な薬価引き下げという措置は、日本における新薬の研究開発意欲を削ぐことにつながるおそれがあり、ドラッグ・ラグを招くことにもなりかねないと考える」との声明を発表しました。

 

厚生労働省は、適応拡大で対象患者数が拡大した医薬品の薬価を年4回の薬価収載のタイミングに合わせて見直す制度を、可能な限り早く導入したい考え。17年度中の実施も視野に入れています。

 

ただし、薬価引き下げの対象とする医薬品の範囲や引き下げの方法、販売数量の把握の仕方など、具体化には多くの課題が横たわります。これまでの中医協では、患者の少ない疾患を対象に発売したあと、患者の多い疾患に適応を広げていくという、製薬企業の新薬開発のあり方にも議論が及んでおり、議論は今後さらに激しさを増していくことになりそうです。

 

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