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ドライ型加齢黄斑変性に有効な治療薬は現れるのか…ロシュ/ジェネンテックlampalizumabの申請断念|DRG海外レポート

米国に本社を置くコンサルティング企業Decision Resources Groupのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。今回取り上げるのは、ドライ型(萎縮型)加齢黄斑変性の新薬開発。期待されていたロシュ/ジェネンテックのlampalizumabが臨床試験に失敗し、申請を断念しました。有効な治療法がなく、アンメット・メディカル・ニーズの高い疾患ですが、今後の新薬開発はどうなっていくのでしょうか。

 

(この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。原文はこちら

 

lampalizumab 2本のP3で有効性示せず

2017年11月9日、米ジェネンテックは、地図状萎縮(GA)を伴う加齢黄斑変性を対象とした補体因子D阻害薬lampalizumabの2本目の臨床第3相(P3)試験「CHROMA」で、GA病変面積の平均変化量をプラセボよりも低く抑えることができず、主要評価項目を達成できなかったと発表した。

 

この結果は予想できなかったわけではない。ジェネンテックは、1本目のP3試験「SPECTRI」でも有意な有効性を示せなかったと今年9月に発表している。

 

ブロックバスター級のヒットが予想されていたが…

補体因子D阻害薬は、開発中のドライ型加齢黄斑変性治療薬の中でも最新鋭の薬で、発売されれば数年でブロックバスター級のヒットとなると予想されていた。lampalizumabの失敗は大きな打撃となる。

 

ドライ型加齢黄斑変性のもっとも進行した病態であるGAは、一般的に両側性の疾患で、視力障害がみられるが、有効な治療法はない。実際、Decision Resources Groupがインタビューした専門医らは、十分な治療が受けられていないGAを伴うドライ型加齢黄斑変性患者にとって、lampalizumabが最初の治療選択肢になると期待していた

 

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lampalizumabのP2試験「MAHALO」では、同剤投与18カ月時点で、病変面積の変化量がプラセボとの比較で有意に低いことが示されており、バイオマーカーとなる可能性がある補体因子I陽性の患者ではさらに効果が高かった。ところが、SPECTRI試験では補体因子I陽性患者でも治療効果は認められなかった。

 

CHROMA試験の詳細な結果はまだ公表されていないが、2つの試験結果が否定的だったことを受け、ジェネンテックはlampalizumabの承認申請を断念すると表明した。これにより、GAを伴う加齢黄斑変性患者の視力喪失を遅らせ得る治療薬の登場は、またも遠のいた。

 

ほかの補体系阻害薬の開発に与える影響は?

lampalizumabの試験結果は、ほかの補体系阻害薬の開発にどんな影響をもたらすのだろうか。

 

GAの発症には補体系の失調が関与していると考えられており、補体経路をターゲットとすることは治療法としては理にかなっている。しかし、lampalizumabがP3試験に失敗した今、このターゲットでGA治療の効果を望めるのかが問われている。

 

同じ補体系でも異なるターゲット

とはいえ、GAを伴う加齢黄斑変性を対象に開発中のほかの薬は、補体経路の中でもlampalizumabとは異なる因子を標的としている

 

例えば、lampalizumabが阻害する補体因子Dは補体代替経路の不活化における律速酵素なのに対し、米Apellis Pharmaceuticalsの「APL-2」は3つの補体経路(古典経路、代替経路、レクチン経路)の重要な制御因子である補体第3成分(C3)を阻害。米Ophthotechの「Zimura(開発名)」は補体カスケードの下流因子である補体第5成分(C5)を阻害する。

 

Close-up side view of a senior man getting his cornea checked

 

注目はApellisの「APL-2」

注目はAPL-2。GAを伴うドライ型加齢黄斑変性を対象としたP2試験「FILLY」の結果は良好で、投与12カ月時点でのGA病変面積の拡大をプラセボと比べて有意に低下させた。Apellis PharmaceuticalsがP3試験を2018年に始めることを示唆しているが、補体カスケードの幅広い因子を標的とする同剤なら、GAに対する有効性を証明できるかもしれない

 

一方、ZimuraもP1/2a試験で暫定的に有効性が示唆された。現在はP2b試験を行っており、結果は2019年後半になると予想されている。

 

GAを伴うドライ型加齢黄斑変性を対象に開発中の補体系を標的とした薬には、ほかにもノバルティスの「CLG-561」がある。これは、陽性調整因子プロパージンを阻害する薬で、単剤療法のほか、同社の補体因子D阻害薬「LFG-316」との併用療法が検討されている。

 

アキュセラのemixustatなど相次ぐ失敗

開発に失敗したのはlampalizumabだけでなく、視覚サイクルモジュレーターのemixustat(アキュセラ)、アミロイドβ阻害薬「GSK933776」(グラクソ・スミスクライン)、セロトニン5-HT1A受容体作動薬「AL-8309B」(タンドスピロン、ノバルティス)も、GAへの有効性を示すことができていない。

 

補体系阻害薬以外では、アラガンのアドレナリンα2受容体作動薬ブリモニジン酒石酸塩硝子体内インプラントが、P2試験で良好な有効性を示した。細胞治療も積極的に開発されている。

 

GAを伴うドライ型加齢黄斑変性治療薬の開発は、失敗はあるものの引き続き注目される領域だ。ゆくゆくは、疾患の進行を遅らせ、失明を防ぐ治療選択肢の登場が期待される。

 

(原文公開日:2017年11月29日)

 

【AnswersNews編集長の目】

加齢黄斑変性には大きく「滲出型(ウエット型)」と「萎縮型(ドライ型)」の2つの種類があります。滲出型は異常な血管から血液成分が漏れたり、血管が破れて出血したりすることで網膜を障害し、視力が低下。萎縮型は網膜色素上皮が徐々に萎縮し、網膜が障害されて視力が低下します。

 

滲出型には血管新生を阻害する抗VEGF抗体が発売され、治療は大きく向上しました。現在、加齢黄斑変性に使用できる抗VEGF抗体には「ルセンティス」(ノバルティス)と「アイリーア」(参天製薬)があり、さらに新たな抗VEGF薬brolucizumab(RTH258)を開発中(現在P3試験段階)。中外製薬の抗VEGF/Ang2バイスペシフィック抗体「RG7716」もP1試験を行っています。

 

萎縮型では、記事に出てきたとおり海外では複数の新薬候補が開発されていますが、残念ながら日本で臨床試験を行っているものはありません。

 

加齢黄斑変性は再生医療の開発も活発で、日本企業ではバイオベンチャーのヘリオスがiPS細胞を使った治療法を開発中。日本では滲出型、欧米では萎縮型を対象に、前臨床試験を進めています。アステラス製薬は2015年、萎縮型加齢黄斑変性を対象にES細胞を使った再生医療を開発する米オカタ・セラピューティクスを買収しました。

 

アンメット・メディカル・ニーズの高い萎縮型加齢黄斑変性。有効な治療法の登場が待たれます。

 

この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。Decision Resources Groupは、地図状萎縮治療における潜在医療ニーズ調査レポート(Unmet Need – Geographic Atrophy)、および向こう10年の加齢黄斑変性治療薬市場予測レポート(Disease Landscape and Forecast – Age-Related Macular Degeneration)を発行しています。レポートに関するお問い合わせはこちら

 

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