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【UPDATE】バイオシミラー 最新の国内開発状況まとめ―大型バイオ薬が相次ぎ特許切れ 政府も開発後押し

政府が2020年度末までに成分数で倍増させることを目標に掲げるバイオシミラー。国内売上高が数百億円に及ぶ大型バイオ医薬品の特許切れがはじまり、開発競争も激しさを増しています。最新の開発動向を整理しました。

 

【がん】リツキシマブが発売 ハーセプチンは胃がんで承認

国内で開発・販売中のバイオシミラー①(がん)
抗がん剤で現在、バイオシミラーの開発が進むのが、▽抗CD20抗体リツキシマブ(先行品名リツキサン)▽抗HER2抗体トラスツズマブ(ハーセプチン)▽抗VEGF抗体ベバシズマブ(アバスチン)――の3種類。先行品はいずれも中外製薬の製品で、2017年の売上高はリツキサンが334億円、ハーセプチンが336億円、アバスチンが931億円と、いずれも大型の製品です。

 

リツキシマブ(リツキサン)

リツキシマブは17年9月にサンドが承認を取得。1月18日、提携する協和発酵キリンが販売を開始しました。これに続くのが日本化薬で、韓国のセルトリオンから導入した候補品の臨床第3相(P3)試験を実施中です。

 

リツキシマブのバイオシミラーをめぐっては、米ジェネンテックが17年12月、特許を侵害しているとして販売の差し止めを求めてサンドと協和発酵キリンを提訴しています。

 

リツキシマブはファイザーも開発を行っていますが、同社は18年に入ってバイオシミラーの開発状況の公表をとりやめ、ホームページ掲載のパイプライン表からも削除しました。

トラスツズマブ(ハーセプチン)

トラスツズマブでは18年3月に日本化薬とセルトリオンがそれぞれ承認を取得しました。適応はいずれも「HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がん」。順調にいけば5月に薬価収載となる見通しです。

 

トラスツズマブのバイオシミラーをめぐっては、先行品ハーセプチンを販売する中外製薬が「用途特許を侵害している」として17年8月に日本化薬を提訴しました。先行品には胃がんと乳がんの2つの適応がありますが、バイオシミラーは乳がんでは承認されていません。

 

日本化薬以外では、MeijiSeikaファルマがP1試験を実施中。バイオシミラーの日本での商業化で第一三共と提携する米アムジェンも、トラスツズマブを日本市場に投入する方針を示しています。ファイザーも開発中ですが、開発段階は明らかにされていません。

 

ベバシズマブ(アバスチン)

ベバシズマブはジーンテクノサイエンスが前臨床段階で開発中。アムジェンも第一三共との提携にベバシズマブを含めています。

 

G-CSF製剤(フィルグラスチム・ペグフィルグラスチム)

がん化学療法による好中球減少症などに使われるG-CSF製剤フィルグラスチム(グラン)では、13年5月から14年11月にかけて5社が相次いで販売を開始。富士製薬工業は17年9月期に16億7100万円、日本化薬は17年3月期に6億円を売り上げました。サンドは沢井製薬との共同販売で市場浸透を進めています。

 

フィルグラスチムをペグ化して作用時間を長くしたペグフィルグラスチム(ジーラスタ)は、ジーンテクノサイエンスが前臨床段階で開発を進めています。ジーンテクノサイエンスは富士製薬と持田製薬にフィルグラスチムをライセンスアウトしており、ペグフィルグラスチムはグローバル製薬企業と組んで海外展開を目指します。

 

【リウマチ】エタネルセプト あゆみが発売 日医工も参入へ

国内で開発・販売中のバイオシミラー②(リウマチ)
がん領域とともにバイオ医薬品が多く使われている関節リウマチの領域では、抗TNFα抗体インフリキシマブ(レミケード)や同アダリムマブ(ヒュミラ)、TNFα阻害薬エタネルセプト(エンブレル)がターゲットとなっています。

 

インフリキシマブ(レミケード)

インフリキシマブは、日本化薬が国内初の抗体医薬のバイオシミラーとして14年11月に発売。18年3月期は35億円の売り上げ目標に対して実績は21億円。19年3月期は36億円を目標に掲げています。

 

日本化薬に続いて、17年9月には日医工が申請から2年たってようやく承認を取得。自社と、リウマチ領域に特化するあゆみ製薬の2つのルートで17年11月に発売されました。インフリキシマブは潰瘍性大腸炎やクローン病にも使われており、日医工は自社販売分について潰瘍性大腸炎「アサコール」を持つゼリア新薬工業と共同でプロモーションを行います。

 

14年に承認されたセルトリオン・ジャパンの製品は、販売体制が整っていないことを理由に発売を先送りしていましたが、17年11月に薬価収載。同年12月に販売を開始しました。詳しい時期は明らかではありませんが、ファイザーも17年に申請を行っています。

 

エタネルセプト(エンブレル)

先行品が年間400億円余りを売り上げるエタネルセプトは、持田製薬が18年1月に承認を取得。5月にあゆみ製薬から発売されました。

 

これに続くのが、共和薬品工業とYLバイオロジクス。共和は18年3月に申請しており、6月には日医工とライセンス契約を締結。承認後は日医工が同社の屋号で独占的に販売することになっており、販売1年後には製造販売承認も日医工に承継する予定です。

 

陽進堂とインド・ルピンの合弁会社であえるYLバイオロジクスも、詳しい時期は明らかではないものの申請を済ませました。5月に申請受理を発表しています。

 

エタネルセプトをめぐっては、持田と1番手を争っていた第一三共が「商用製法を確立できなかった」としてP3試験に成功していながら開発を中止しました。

 

アダリムマブ(ヒュミラ)

エタネルセプトで1番乗りを果たした持田は、抗TNFα抗体アダリムマブでもP3試験を実施中。ファイザーも開発を進めているほか、米アムジェンも開発に名乗りを上げています。

 

【腎性貧血】ダルベポエチンは5社が開発 JCR/キッセイは18年申請へ

国内で開発・販売中のバイオシミラー③(腎性貧血)
抗がん剤や関節リウマチ治療薬とともに開発が活発なのが、腎性貧血治療薬ダルベポエチンアルファ(ネスプ)。先行品の売上高は563億円(17年12月期)に上り、19年の特許切れに向けて開発競争が激しくなっています。

 

P3試験の実施が公表されているのは、JCRファーマとキッセイ薬品工業の共同開発品と、三和化学研究所とジーンテクノサイエンスの共同開発品。富士製薬工業とYLバイオロジクスも、それぞれ韓国企業から候補品を導入し、開発を進めています。

 

JCRファーマとキッセイ薬品は18年1月、P3試験で先行品との同等性が確認されたと発表。18年中に申請を行う方針を明らかにしています。YLバイオロジクスはP1試験の準備中です。

 

先行品を販売する協和発酵キリンは、これらに対抗するためバイオシミラー版のオーソライズドジェネリック(AG)を開発する方針を表明。18年1月には子会社・協和キリンフロンティアを設立しAGの承認取得に向けた取り組みを始めました。

 

バイオ医薬品のAGはこれまで例がなく、規制の面からも不透明な部分が多いのが現状。バイオシミラーを開発する企業でつくる「バイオシミラー協議会」は、「バイオシミラーにまだ広く理解と浸透が進まない状況で、先行品と同一とされるバイオAGが承認された場合、バイオシミラーの浸透に深刻な影響が生じる」と懸念を表明しています。

 

【その他】テリパラチドがP3 ファブリー病治療薬が申請中

バイオシミラー開発状況4-3

そのほかの領域では、16年の売上高が488億円(薬価ベース)に上る骨粗鬆症治療薬テリパラチド(フォルテオ)を持田製薬が開発中で、P3試験を行っています。JCRファーマのファブリー病治療薬アガルシダーゼベータ(ファブラザイム)は17年9月に申請にこぎ着けました。ジーンテクノサイエンスは前臨床段階でRSウイルス感染症治療薬パリビズマブ(シナジス)の開発を進めています。

 

ジーンテクノサイエンスは千寿製薬と共同で事業化を進めている眼科疾患向けのバイオシミラーでもP3試験を始めました。加齢黄斑変性治療薬とみられますが、成分名は明らかにしていません。

 

インスリングラルギン(ランタス)はすでに2品目が販売されており、日本イーライリリーは17年に薬価ベースで40億円を売り上げました。米IQVIA(旧クインタイルズIMS)によると、日本ではインスリングラルギンに占めるバイオシミラーのシェアが27.7%に達しています。

 

×××

 

政府は、17年6月に閣議決定した「骨太の方針2017」(経済財政運営と改革の基本方針2017)で、バイオシミラーを含むバイオ医薬品の開発支援策を充実させ、20年度末までにバイオシミラーを成分数として倍増(17年6月時点では5成分が承認)させることを目標に掲げました。

 

厚生労働省が17年9月取引分を対象に行った薬価調査の結果をもとに推計したところ、バイオシミラーへの置き換えによる医療費削減額は年間87億円。今後、バイシミラーの種類が増えていくとともに、使用を促進する動きも加速していくことになりそうです。

 

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