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バイオシミラー 最新の国内開発状況まとめ―大型バイオ薬が相次ぎ特許切れ 政府も開発後押し

政府が2020年度末までに成分数で倍増させることを目標に掲げるバイオシミラー。国内売上高が数百億円に及ぶ大型バイオ医薬品の特許切れがはじまり、開発競争も激しさを増しています。最新の開発動向を整理しました。

 

【がん】リツキシマブが近く発売 ハーセプチンも申請中

国内で開発・販売中のバイオシミラー①(がん)

抗がん剤で現在、バイオシミラーの開発が進むのが、▽抗CD20抗体リツキシマブ(先行品名リツキサン、リンパ腫)▽抗HER2抗体トラスツズマブ(ハーセプチン、乳がんなど)▽抗VEGF抗体ベバシズマブ(アバスチン、大腸がんなど)――の3種類。先行品はいずれも中外製薬の製品で、2016年の売上高はリツキサンが321億円、ハーセプチンが341億円、アバスチンが921億円と、いずれも大型の製品です。

 

リツキシマブ(リツキサン)

リツキシマブは17年9月にサンドが承認を取得。11月に薬価収載される見通しで、販売は提携する協和発酵キリンが行うことになっています。

 

これに続くのが日本化薬とファイザーで、日本化薬は韓国のセルトリオンから導入した候補品の臨床第3相(P3)試験を実施中。ファイザーもP3試験を行っています。

 

トラスツズマブ(ハーセプチン)

トラスツズマブは17年4月に日本化薬が申請。これに対して、先行品を販売する中外製薬は「用途特許を侵害している」として8月に特許訴訟を起こしました。日本化薬のトラスツズマブは18年の発売が見込まれていましたが、訴訟の行方によっては遅れが生じる可能性もあります。

 

 日本化薬以外ではファイザーがP3試験を行っており、MeijiSeikaファルマもP1試験を実施中。バイオシミラーの日本での商業化で第一三共と提携する米アムジェンも、トラスツズマブを日本市場に投入する方針を示しています。

 

ベバシズマブ(アバスチン)

ベバシズマブはファイザーが唯一、臨床試験に入っており、現在P3試験を実施中。ジーンテクノサイエンスが前臨床段階で開発を進めているほか、アムジェンも第一三共との提携にベバシズマブを含めています。

 

G-CSF製剤(フィルグラスチム・ペグフィルグラスチム)

がん化学療法による好中球減少症などに使われるG-CSF製剤フィルグラスチム(グラン)では、13年5月から14年11月にかけて5社が相次いで販売を開始。富士製薬工業は16年9月期に14億8100万円、日本化薬は17年3月期に6億円を売り上げました。サンドは沢井製薬との共同販売で市場浸透を進めています。

 

フィルグラスチムをペグ化して作用時間を長くしたペグフィルグラスチム(ジーラスタ)は、ジーンテクノサイエンスが前臨床段階で開発を進めています。ジーンテクノサイエンスは富士製薬と持田製薬にフィルグラスチムをライセンスアウトしており、ペグフィルグラスチムはグローバル製薬企業と組んで海外展開を目指します。

 

【リウマチ】エタネルセプトが承認へ インフリキシマブは2剤目登場

国内で開発・販売中のバイオシミラー②(リウマチ)

がん領域とともにバイオ医薬品が多く使われている関節リウマチの領域では、抗TNFα抗体インフリキシマブ(レミケード)や同アダリムマブ(ヒュミラ)、TNFα阻害薬エタネルセプト(エンブレル)がターゲットとなっています。

 

インフリキシマブ(レミケード)

インフリキシマブにはすでに、日本化薬が14年11月にバイオシミラーを発売。17年3月期には14億円を売り上げ、18年3月期は35億円を見込みます。

 

日本化薬に続いて、17年9月には日医工が申請から2年たってようやく承認を取得。自社と、リウマチ領域に特化するあゆみ製薬の2つのルートで販売する予定です。インフリキシマブは潰瘍性大腸炎やクローン病にも使われており、自社販売分については潰瘍性大腸炎「アサコール」を持つゼリア新薬工業と共同でプロモーションを行います。

 

エタネルセプト(エンブレル)

先行品が年間400億円余りを売り上げるエタネルセプトは、持田製薬が近く承認を取得する見通し。順調にいけば18年5月に薬価収載となります。

 

エタネルセプトをめぐっては、持田と1番手を争っていた第一三共が「商用製法を確立できなかった」としてP3試験に成功していながら開発を中止。持田に続くのは、陽進堂とインド・ルピンの合弁会社YLバイオロジクスで、現在P3試験が進行中です。

 

アダリムマブ(ヒュミラ)

エタネルセプトで1番乗りを果たした持田は、抗TNFα抗体アダリムマブでもP3試験を実施中。ファイザーもP3試験を行っており、MeijiSeikaファルマもP1を進めています。米アムジェンも開発に名乗りを上げています。

 

【腎性貧血】ダルベポエチンは5社が開発 バイオAGも

国内で開発・販売中のバイオシミラー③(腎性貧血)

抗がん剤や関節リウマチ治療薬とともに開発が活発なのが、腎性貧血治療薬ダルベポエチンアルファ(ネスプ)。先行品の売上高は560億円余りに上り、19年の特許切れに向けて開発競争が激しくなっています。

 

P3試験の実施が公表されているのは、JCRファーマとキッセイ薬品工業の共同開発品と、三和化学研究所とジーンテクノサイエンスの共同開発品。富士製薬工業とYLバイオロジクスも、それぞれ韓国企業から候補品を導入し、開発を進めています。

 

先行品を販売する協和発酵キリンは、これらに対抗するためバイオシミラー版のオーソライズドジェネリック(AG)を開発する方針を表明。18年1月には子会社・協和キリンフロンティアを設立しAGの承認取得に向けた取り組みを始めました。

 

バイオ医薬品のAGはこれまで例がなく、規制の面からも不透明な部分が多いのが現状。バイオシミラーを開発する企業でつくる「バイオシミラー協議会」は、「バイオシミラーにまだ広く理解と浸透が進まない状況で、先行品と同一とされるバイオAGが承認された場合、バイオシミラーの浸透に深刻な影響が生じる」と懸念を表明しています。

 

【その他】テリパラチドがP3 ファブリー病治療薬が申請中

国内で開発・販売中のバイオシミラー④(その他)そのほかの領域では、16年の売上高が488億円(薬価ベース)に上る骨粗鬆症治療薬テリパラチド(フォルテオ)を持田製薬が開発中で、P3試験を行っています。JCRファーマのファブリー病治療薬アガルシダーゼベータ(ファブラザイム)は17年9月に申請にこぎ着けました。ジーンテクノサイエンスは前臨床段階でRSウイルス感染症治療薬パリビズマブ(シナジス)の開発を進めています。

 

ジーンテクノサイエンスは千寿製薬と共同で事業化を進めている眼科疾患向けのバイオシミラーでもP3試験を始めました。加齢黄斑変性治療薬とみられますが、成分名は明らかにしていません。

 

インスリングラルギン(ランタス)はすでに2品目が販売されており、日本イーライリリーは16年に薬価ベースで31億円を売り上げました。米IQVIA(旧クインタイルズIMS)によると、日本ではインスリングラルギンに占めるバイオシミラーのシェアが27.7%に達しています。

 

×××

 

政府は、17年6月に閣議決定した「骨太の方針2017」(経済財政運営と改革の基本方針2017)で、バイオシミラーを含むバイオ医薬品の開発支援策を充実させ、20年度末までにバイオシミラーを成分数として倍増(17年6月時点では5成分が承認)させることを目標に掲げました。

 

あわせて、バイオシミラーの使用による医療費の削減額と金額ベースのシェアも公表されることになりました。今後、バイシミラーの種類が増えていくとともに、使用を促進する動きも加速していくことになりそうです。

 

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