住友化学、日本メジフィジックスを売却/ニプロ、販売中止の「カンプト」の医薬情報引き継ぎ など|製薬業界きょうのニュースまとめ読み(2024年12月2日)
条件付き早期承認制度
条件付き早期承認制度とは
「条件付き早期承認制度」とは、患者数が少ないなどの理由で臨床第3相(P3)試験などの検証的臨床試験を行うことが難しい医薬品・医療機器・再生医療等製品について、発売後に有効性・安全性を評価することを条件に承認する制度です。
条件付き早期承認制度の対象となった品目は、P3試験をせずに早期に申請を行うことができ、申請後は優先審査が適用されるため審査期間も短縮されます。こうしたことにより、重篤な疾患に対する有用な医薬品をいち早く承認するのがこの制度の目的です。
条件付き早期承認制度は、2014年の医薬品医療機器等法(薬機法)で再生医療等製品を対象に創設されました。その後、2017年7月には医療機器、同年10月には医薬品を対象とする制度が、いずれも法律ではなく厚生労働省の通知に基づいて運用を開始。医薬品と医療機器を対象とする条件付き早期承認制度も、次の改正で薬機法に位置付けられることになっています。
対象品目
条件付き早期承認制度の対象となる医薬品は、次の4つの条件すべてに該当する品目です。
(1)適応疾患が重篤である
(2)医療上の有用性が高い
(3)検証的臨床試験の実施が困難、または実施可能でも相当の期間がかかる
(4)検証的臨床試験以外の臨床試験などにより、一定の有効性・安全性が示される
(3)の要件は希少疾病用医薬品の限定されるものではありません。試験実施の困難さや患者の多寡を判断する一律の基準はなく、対象疾患などに応じて個別に判断されます。
(4)の「検証的臨床試験以外の臨床試験等」としては、一般的に探索的臨床試験(P2試験)の成績が想定されます。ただし、厚労省は、医薬品の性質によってはそれ以外の試験も想定されるとし、
▽必ずしも確立した代替エンドポイントでないものの、治療薬の薬力学的指標として妥当な指標の成績を確認する試験
▽検証的臨床試験の代替エンドポイントによる中間解析結果
▽抗菌力試験や薬剤感受性試験(抗菌薬の場合)、患者由来iPS細胞を使った試験結果(遺伝性疾患の場合)などの非臨床試験
などを例示しています。
条件付き早期承認制度が適用された品目は、承認時にそのことが公表されることになっています。2019年4月10日の時点で同制度により承認された医薬品は、▽ファイザーのALK阻害薬「ローブレナ」(一般名・ロルラチニブ)▽MSDの抗PD-L1抗体「キイトルーダ」(ペムブロリズマブ、MSI-Highを有する固形がんへの適応拡大)――の2品目です。
承認条件
条件付き早期承認制度の適用を受けた医薬品には、有効性・安全性を再確認するために必要な調査の実施を条件として課されます。
承認条件として課される調査には、MID-NET(Medical Information Database Network)などの医療情報データベースや患者レジストリーなどを活用することもできます。承認条件が満たされたかどうかは原則として再審査時に確認しますが、それより前に調査が終了した場合などは、承認条件の変更について医薬品医療機器総合機構(PMDA)に相談することができます。
ちなみに、医療情報データベースや患者レジストリーは、条件付き早期承認制度が適用された医薬品だけでなく、ほかの医薬品の製造販売後調査などにも活用することも可能です。
適用から承認までの流れ
条件付き早期承認制度を適用するかどうかは、実際に承認申請が行われたあとに厚生労働省が判断します。
条件付き早期承認制度の適用を希望する場合、製薬企業は申請前に、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に▽適用の該当性▽必要な申請データ・パッケージ▽想定される承認条件――などを相談。これらについて両者が合意すれば、PMDAが評価報告書を作成します。その後、企業は評価報告書を添えて承認申請を行い、厚労省が適用の可否を判断。結果を薬事・食品衛生審議会の部会に報告し、了承が得られれば、適用となったことが企業に通知されます。
条件付き早期承認制度の対象品目の4要件のうち2つは、優先審査の対象品目の要件と同じ。このため、条件付き早期承認制度が適用された医薬品は優先審査の対象となります。
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