25年度薬価改定、全品目の53%対象/科研、米ベンチャーを157億円で買収 など|製薬業界きょうのニュースまとめ読み(2024年12月20日)
薬価の基本
薬価とは
薬価とは、医療用医薬品(医師が処方する医薬品)の公定価格のことです。公的な医療保険が適用される医薬品の価格は、すべて国(厚生労働大臣)が決めています。病院や診療所で使われる薬の価格は、製薬会社が自由に決めているわけではありません。
薬価基準とは
公定価格である薬価をまとめたリストのことを薬価基準といいます。薬価基準には、2018年3月5日現在で1万6432品目が収載されています。
薬価基準には2つの大きな役割があります。1つが公的医療保険で使える薬の「品目表」としての役割と、もう1つが公的医療保険で使える薬の価格を定めた「価格表」としての役割です。
品目表としての役割
公的医療保険では、医師や薬剤師は原則として「厚生労働大臣の定める医薬品以外の医薬品を使用してはならない」と定められています。そして、この「厚生労働大臣が定める医薬品」は「薬価基準に収載されている医薬品」と規定されています。 つまり薬価基準は「保健医療で使っていい薬」のリストで、これが品目表としての役割になります。
●保険医療機関および保険医療養担当規則(第19条) 保険医は、厚生労働大臣の定める医薬品以外の薬物を患者に施用し、または処方してはならない。 ●保険薬局および保険薬剤師療養担当規則(第9条) 保険薬剤師は、厚生労働大臣の定める医薬品以外の医薬品を使用して調剤してはならない。 |
価格表としての役割
公的医療保険で薬を使った場合、医療機関や薬局は、薬の費用を薬価基準で定められた価格に基づいて算定します。薬価基準は、医療保険で使った薬剤の請求額を定めたもの、という点で価格表としての役割も持っています。
薬価改定とは
薬価改定とは、公定価格である薬価を見直すことです。通常の薬価改定は2年に1回、4月の診療報酬改定にあわせて行われます。ここで決まった薬価は、次の改定まで変わりません。
医薬品卸→医療機関・薬局への販売価格は自由
医療機関や薬局は、患者に処方したり調剤したりした薬の費用を、薬価基準で定められた公定価格に基づいて請求します。ところが、製薬企業から医薬品卸売業者に販売される価格や、医薬品卸売業者から医療機関・薬局に販売される価格は、当事者間で自由に設定することができます。
医療用医薬品の市場は、表向きは公定価格制度でありながら、その裏では一般的な消費財と同じように自由な価格競争が繰り広げられているのです。
医療機関・薬局にとっては、卸からの仕入れ値と公定価格である薬価の差額はそのまま利益になります(これを薬価差益という)。医療機関・薬局は可能な限り薬を安く仕入れようとするので、卸と医療機関・薬局の間では薬価を下回る価格で取り引きが行われています。
市場実勢価格に合わせて薬価を引き下げる
薬価改定は、実際に卸から医療機関・薬局に販売された価格(市場実勢価格)に合わせて薬価を引き下げるのが基本です。2000年以降は1回の改定でだいたい5~7%引き下げられています。2018年度の改定では、薬価制度の大きな見直しがあったため、引き下げ率は7.48%と大きくなりました。
2年に1回、強制的に価格を下げられる薬価改定は、製薬企業の経営に大きなダメージを与えます。さらに、2018年度の薬価制度改革では、通常の薬価改定の谷間の年にも、一部の薬について薬価改定を行うことが決まりました。
通常改定の谷間の年に行われる改定は2021年度から始まることになっていますが、2019年度には消費税率引き上げに伴う改定が予定されており、実質的には2018年度以降、毎年薬価改定が行われることになります。
薬価がつかない薬
日本の制度では、医薬品医療機器等法に基づいて承認された薬で、かつ公的医療保険でカバーされる診療に必要な薬(=医療用医薬品)は全て薬価を決め、薬価基準に収載するのが原則です。しかし、医療用医薬品の中には薬価がつかず、薬価基準にも収載されない薬があります。
治療目的でない薬は薬価収載されない
健康保険法では「疾病または負傷に関する『診察』『薬剤または治療材料の支給』『処置、手術その他の治療』」に対して保険給付を行うと定められています。つまり、病気やケガの「治療」を目的とする薬には保険が適用されますが、そうでないもの、具体的には病気の「予防」に使う薬や、「生活の改善」に使う薬は、医療用医薬品であっても保険はきかず、薬価基準にも収載されません。
●健康保険法(第63条) 被保険者の疾病または負傷に関しては、次に掲げる療養の給付を行う。 |
予防に使う薬としては、インフルエンザなどの各種ワクチンが挙げられます。生活改善薬には、勃起不全治療薬「バイアグラ」や男性型脱毛症薬「プロペシア」、緊急避妊薬「ノルレボ」などがあります。こうした薬を使う場合は自由診療となり、費用は全額、患者の自己負担。患者が支払う薬の値段も医療機関が自由に設定できます。
このほか、体外診断用医薬品も薬価収載されません。体外診断用医薬品とは文字通り、病気の診断に使われるもので、血液や尿などを体の外で検査するための薬です。また、一般用医薬品(OTC)も医療用医薬品ではないので薬価収載されません。
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