カウンターフィット薬(偽造医薬品)
カウンターフィット薬(偽造医薬品)とは、内容量や原料などに虚偽の表示がある、品質基準や品質規格を満たしていない、規制当局の評価や承認を受けていない、といった偽造・低水準の医薬品を指す。近年アジア・南アメリカ・ヨーロッパを中心に急増しており、日本でも年々報告事例が増加している。国内の調査では、多くのインターネット薬局が不正サイトであったことがわかっており、多くの場合、こうした不正なネット薬局から偽造医薬品を入手している可能性が高いと考えられている。
カウンターフィット薬の定義は、これまでWHOの SSFFC(Substandard/ Spurious/ Falsely-labelled/ Falsified/ Counterfeit Medical Products;低品質医薬品、偽造薬、模造薬の総称)に基づき捉えられてきたが、近年では加盟国会議にてsubstandard(低水準)・falsified(偽造)という新しい概念が提唱されている。この新しい定義によると、カウンターフィット薬は、以下の3つに該当する医薬品といえる。
・不良:
承認された医薬品だが品質基準や品質規格を満たしていない
・無承認・無許可:
流通・販売する市場の規制当局の評価や承認を受けていない
・偽造:
名称、表示、包装、文書、組成、起源などに関して故意による虚偽がある
カウンターフィット薬が出回りやすい薬は、バイアグラ®(シルデナフィルクエン酸塩)をはじめとしたED治療薬、強壮用医薬品、育毛薬など。人体に有害な成分や、安全性が確認されていない成分が含有されている場合が多い。また、有効性が全く認められない成分のみで作られた製品もある。
カウンターフィット薬を服用することで、重大な健康被害が引き起こされた例が報告されており、なかには死亡例も報告されている。たとえばED治療薬の、シアリス®(タダラフィル)のカウンターフィット薬を服用したケースでは、けいれん・意識障害・重篤な低血糖などの症状が報告された。
- カテゴリ:
- 業界用語・専門用語