アジュバント
アジュバントとは、薬物による効果を高めたり補助したりする目的で併用される物質・成分の総称。 抗原抗体反応を活性化させる非特異的免疫賦活剤、あるいは、がん治療で行われる補助治療自体を指すこともある。ラテン語の「adjuvare(助ける)」に由来する。
■非特異的免疫賦活剤(抗原性補強剤)としてのアジュバント
非特異的免疫賦活剤(抗原性補強剤)を抗原と一緒に投与することにより、細胞の免疫反応を高める効果を持つ。
たとえば、ワクチンには毒性を弱めた病原体(抗原)が含まれており、これを体内に注入することで抗体が作られ、感染症に対する免疫ができる。体内での免疫応答を増強したり、抗原を長時間留まらせたりする目的で抗原とともに投与される物質をアジュバントという。
疾患に応じて抗原は変わるため、免疫反応の効果を高めるアジュバントも変化する。時には、特定の抗原にのみ作用するアジュバントが創り出されることもある〔例:ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンに対して特異的な作用を持つAS04〕。
非特異的免疫賦活剤の主な作用は以下のようなものである。
【主な作用】
・抗原を吸着し、抗原提示細胞への取り込み作用を高める
・抗原を局所に長時間留める効果を持ち、抗原刺激を長時間持続させる
・免疫担当細胞であるT細胞やB細胞を活性化させる
ただ、どのような作用を持っているかはアジュバントの種類によって異なり、作用機序が不明なものも多い。
■がん患者に対して行われる補助治療としてのアジュバント
がん患者に対して行われる、補助治療法の総称。アジュバント療法と呼ばれる。手術後や放射線療法後の再発防止の目的で行われる、化学療法やホルモン療法などを指す。
また、時として補助治療が手術・放射線治療前に行われることがある。その場合はネオアジュバント療法と呼ばれる。
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