生物学的製剤
生物学的製剤とは、生物から産生されるタンパク質などの物質を応用して作られた薬である。これに対し、一般的な医薬品は、化学的に合成した物質をもとに作られる。
病原体から作られ感染症の予防に用いられるワクチンや、ヒトの血液から作られる血液製剤、抗毒素製剤(ボツリヌス菌やジフテリア菌など)などが該当する。
広義では、バイオテクノロジー(遺伝子組換えや細胞培養など)の技術で開発された新薬も該当する。
生物学的製剤は、原料が細菌やウイルス、血液などを用いるため、一般的な医薬品より変性や副作用を起こしやすい。このため、医薬品として承認された後も、薬事法の生物学的製剤基準のもと、国立感染症研究所によって有効性や安全性を確認する試験の国家検定を受け、これに合格したものだけが市場に出荷できることになっている。
使用の際も、検査を行い十分に安全性を確認したうえでの適切な使用が重要である。
■主な適応疾患
主に慢性的な皮膚炎症の「乾癬(かんせん)」や、関節の炎症が持続し徐々に破壊される「関節リウマチ」など、過剰な免疫作用による疾患の一部の治療薬として使用される。
とくに、従来の治療で効果がない患者に使用されることが多い。
■効能
生物学的製剤には、「サイトカイン(細胞間の情報を伝達する物質で、免疫機能などに関わる)」の作用を弱める働きがある。そのため、これらを投与することによって強い免疫抑制作用を発揮し症状を抑制する。
従来の医薬品より効果が高いとされている。
■副作用
強い免疫抑制作用を発揮するため、生体内の免疫力も低下する。これにより、感染症にかかりやすくなるなどの副作用が懸念される。
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