拒絶反応
拒絶反応とは、臓器や骨髄移植の際に起こる生体反応のこと。 移植した細胞に対し、患者(宿主)の免疫細胞が反応する「HVG反応(宿主対移植片反応)」と、移植した臓器・骨髄内の細胞が患者(宿主)の細胞に対して反応する「GVH反応(移植片対宿主反応)」の2種類がある。HVG反応は臓器移植の際に起こるケースが多く、GVH反応は骨髄移植の際に起こることが多い。 HVG反応・GVH反応はそれぞれ、拒絶反応が起こる時期により「超急性」「急性」「慢性」と呼び分けられる。
■HVG反応
・超急性拒絶 移植後24時間以内に発症する。 免疫抑制剤の投与が効かないため、発症した場合は移植した臓器を迅速に摘出する治療法が選択される。具体的な症状は血栓形成、臓器虚血。
・急性拒絶 移植後1週間~3ヶ月の間に発症する。 免疫抑制剤の投与による予防が有効だが、免疫抑制効果が低い場合、この拒絶反応が起こる。急性拒絶が起きた時は免疫抑制剤の投与増加が治療法である。 具体的な症状は、腎移植の場合の腎腫大である。
・慢性拒絶 移植後3ヶ月以降に発症する。 免疫抑制剤の投与は、基本的に無効である(現在、慢性拒絶に効果があるとされる免疫抑制剤が開発されつつある)。発症した場合の治療法としては再移植が挙げられる。 具体的な症状は、腎移植の場合の腎萎縮である。
■GVH反応
・急性GVH 移植後100日以内に発症。 免疫抑制剤の投与による予防が有効だが、投与の有無に関わらず発症する可能性は一定の割合で存在する。ステロイド剤を投与し、治療する。 具体的な症状は、皮膚・消化管・肝臓などの障害、皮疹、下痢など。
・慢性GVH 移植後100日以降に発症する。 軽症であればステロイド剤の投与などの局所療法が有効だが、複数の臓器に障害が及ぶ場合や一つの臓器に起こる障害が重篤な場合は、全身に作用する免疫抑制療法を用いて治療する。 具体的な症状は多数の臓器の障害、自己免疫疾患に似た病態など。
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