薬事申請
医薬品、医療機器等の製造や販売、および輸入販売には、厚生労働大臣への届出、承認、または都道府県知事の製造販売業、製造業の許可、認定等が必要になる。そのための公的文書による申請を「薬事申請」という。オンラインのFD申請(フレキシブルディスク申請)を利用することが多くなっている。申請対象は、医療用医薬品、体外診断薬および医療機器、一般医薬品(OTC)、医薬部外品・化粧品など。
製品の種類、リスク、製造所所在地等により、細かく申請区分が分かれている。承認すべき事項としては、製造販売の承認審査、一部変更承認審査、再審査などが挙げられ、それぞれが更に細かく分類される。
許可、認定項目では、製造業許可申請、製造業許可更新申請、製造業許可区分追加申請、外国製造業者の認定及び更新、認定区分の追加・変更などがあり、適合検査には、承認審査時の適合性調査、適合性調査の更新、輸出時の調査などがある。
申請についての審査は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)、第三者認証機関、都道府県が行うが、各団体の調査範囲は異なる。各団体では、申請内容に応じて、専門の審査チームが組まれる。また、外部の専門家との意見交換(専門協議)も行われる。
申請から承認までの、基本的なプロセスは以下の通り。
■1.申請書(申請資料)提出
製薬メーカーの薬事担当者が、厚生労働省に医薬品の承認・申請を求める申請書を提出する。申請書では、その製品が必要とされる理由、開発の経緯、臨床試験・非臨床試験等の実施内容、原材料の生体に対する適合性、また、製造過程の品質管理の方法など、有効性、安全性を科学的に示す必要がある。
■2.チーム審査・信頼性調査
申請資料の根拠となる臨床試験等は、GCP省令、GLP省令、GPSP省令および「治験実施計画書(プロトコール)」を基準として遵守する必要がある。倫理面や科学的根拠、さらに、薬事法施行規則の「申請資料の信頼性の基準」に従って資料が作成されているかどうかなどを審査員が精査し、実地調査が行われる。上記の審査基準を、まとめて「信頼性基準」と呼ぶ。
■3.申請者と審査専門員・調査専門員との面談
■4.製造所のGMP/QMS省令およびGQP省令に基づく調査
製造所における製造管理、品質管理の適合性を調査される。具体的には、医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(GMP省令)あるいは医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(QMS省令)が遵守されているかが確認される。
また、製造業者と製造販売業者が、GQP省令(医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準に関する省令)に基づいて契約を結んでいるかどうかの調査も行われる。書面及び実地調査の後、外部の専門家との協議を踏まえて、問題点等がまとめられる。
■5.面接審査会 [必要な場合のみ]
申請者、申請者側の専門家と、審査専門員、外部専門家との間で、申請者側の説明(プレゼンテーション)、および審査専門員から提示された問題点等の検討が行われる。
■6.審査専門員と外部専門家による審査専門協議 [必要な場合のみ]
■7.審査時適合性調査結果と審査報告(審査結果通知書)
■8.厚生労働大臣と薬事・食品衛生審議会の諮問、答申
■9.厚生労働大臣の承認
臨床開発から申請までのすべての工程を、安全かつ科学的に実施することが、結果的に、薬事申請にかかる時間やコストの軽減につながる。それと同時に、申請資料を科学的に・明瞭に作成することも重要である。
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