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ニュース解説

後発品業界 自ら再編に言及「メーカー集約化・大型化の可能性」―ジェネリック製薬協会が「産業ビジョン」

業界再編の機運は高まるのでしょうか。

 

後発医薬品メーカーでつくる日本ジェネリック製薬協会が、後発品業界の将来像を描いた「ジェネリック医薬品産業ビジョン」を協会として初めてまとめました。各メーカーが「役割を明確化」することで「集約化や大型化につながる可能性がありうる」と自ら業界再編に言及し、注目されています。

 

「多すぎる」と言われ続けながらなかなか進まなかった後発品メーカーの再編。「産業ビジョン」は、その呼び水となるのでしょうか。

 

「今のままではもたない」言外ににじむ危機感

「ジェネリック医薬品を扱う全てのメーカーが、各社の「役割を明確化」することにより、産業としての透明性を高め、全ての人々に「信頼」される産業を目指す。結果として、ジェネリック医薬品メーカーの集約化や大型化につながる可能性がありうる」

 

日本ジェネリック製薬協会は「ジェネリック医薬品を取り扱う全てのメーカーの将来の指針」と位置付ける「ジェネリック医薬品産業ビジョン」で、業界再編の可能性に自ら言及しました。同協会として産業ビジョンをまとめるのは今回が初めてです。

 

後発品メーカー 将来は4つのモデルに

「役割の明確化」とはどういうことでしょうか。現状では規模の小さな企業が数多く存在し、1つの先発医薬品に対して数十社が後発品を販売することも少なくありません。こうした今の状況に対し、ビジョンでは後発品メーカーの将来のあり方として

▽剤形の追加、新投与経路製剤などの研究開発機能に特化した企業(研究開発受託)
▽剤形に特化して製造受託を行う企業(製造受託)
▽多くの品目の製造販売承認をとりそろえる企業(総合メーカー)
▽特定の領域の製造販売承認に特化した企業(スペシャリティメーカー)

という4つのモデルを示しました。各メーカーが自らの立ち位置をこうした形で確立させていく中で「結果として集約化や大型化につながる可能性がありうる」と言います。

後発品メーカーの将来像

政府の強力な使用促進策を追い風に拡大を続けている後発品市場ですが、成熟期はもう目前。政府は2020年度までに後発品の使用割合を80%以上とすることを目標にしていますが、これが達成されれば市場は停滞すると指摘されています。

 

乱立するメーカーが特許切れ品を狙って一斉に後発品を発売する今のビジネスモデルのままではもたない――。言外にはこんな危機感がにじみ出ます。逆に言えば、自らの強みや特徴を生かして立ち位置を明確にしたメーカーでなければ生き残ることはできないという、強いメッセージとも言えるでしょう。

 

「品目多すぎ」医療現場も再編要望

後発品メーカーをめぐっては、その数の多さと企業規模の小ささから再編が必要だと叫ばれ続けてきました。

 

「良質で安価な後発品の安定供給を果たすという観点からは、企業規模がより大きなメーカーが誕生することが望ましいのではないか」

「使用割合が80%になるということは、その後の国内における市場拡大の余地はこれまでよりも小さくなるということでもある。今の段階から将来を見越して、各メーカーは集約化・大型化も含めてそのあり方について検討することが必要ではないか」

 

厚生労働省は昨年9月に公表した「医薬品産業強化総合戦略」で、従来よりも一歩踏み込んだ形で業界再編の必要性に言及しました。後発品業界はメーカーの多さゆえ価格競争も激しく、「80%」時代に向けて供給体制の強化も迫られています。薬価への圧力も強く、今後ますます体力勝負になるのは必至です。

 

医師の8割超「後発品は5品目以下でよい」

再編を望む声は医療現場からも上がっています。

 

後発品の薬価を議論した4月26日の中央社会保険医療協議会・薬価専門部会では、日本医師会の委員が「メーカーの統合・再編が不可欠と繰り返し申し上げている。統合・再編で、しっかりとしたメーカー数社が中核になって支えることが大事」と指摘しました。

 

医療現場からは、1つの先発医薬品に対して多くの後発品が販売されることに以前から批判の声が上がっていました。売り上げ規模の大きい先発品に対しては、後発品を発売するメーカーが20社を超えることも珍しくありません。2011年11月に後発品が薬価収載された認知症治療薬「アリセプト」(一般名・ドネペジル)には30社101品目が参入。昨年12月には、喘息・アレルギー治療薬「シングレア/キプレス」(モンテルカスト)に27社62品目の後発品が薬価収載されました。

 

医療現場が品目数の減少を望んでいることは、ジェネリック製薬協会が行った調査からも明らかになっています。

 

協会が今月発表した「後発医薬品の採用及び使用の課題に関する調査」によると、医療機関の52.7%、医師の35.9%が1つの先発品に対して必要な後発品の品目数(オーソライズド・ジェネリックは除く)は「3~5品目」と回答。「1品目」と「2品目」を合わせると、医療機関の84.1%、医師の88.3%が「5品目以下でよい」と考えていることが分かりました。

 

品目数の多さからくる「わかりにくさ」が不信感につながり、使用促進の妨げになっているとの批判は、以前からなされてきました。医薬品産業強化総合戦略でも「一つの先発医薬品に対しあまりに多くの後発医薬品が供給されている現状は、医療現場における適切な選択の妨げになるのみでなく、原薬の安定的な確保の上でも今後弊害を生じるおそれがある」と指摘されました。

 

残された時間は多くない

産業構造の観点からも、そして使用促進の観点からも、後発品業界の再編が避けられないのは明白です。足元では、日医工や沢井製薬が米国進出のために大型買収に踏み切ったり、田辺三菱製薬が後発品事業からの撤退を決めたりといった動きも出てきました。

 

こうした中、業界団体自らが再編に言及したことは評価に値します。あとは後発品各社がどう事業構造を見直していくのか。生き残りをかけてさまざまな手を探ることになりそうですが、残された時間はさほど多くはありません。

 

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