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【NDBオープンデータを読む|がん】処方金額トップ「アバスチン」は992億円 分子標的薬が金額上位に

厚生労働省が10月、初めて公開した「レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)」のオープンデータ。薬効分類別の処方数上位30製品が公開された薬剤データは、医薬品市場を丸裸にするものとして注目を集めています。

 

NDBオープンデータから医薬品市場にフォーカスするこのシリーズ。今回は、がん領域を取り上げ、市場拡大を牽引する分子標的薬を中心に見ていきます(ランキング表の処方金額は編集部算出)。

 

 

分子標的薬、注射は中外が外来上位独占 「アバスチン」群抜く処方額

抗がん剤は薬効分類上、主に「アルキル化薬」「代謝拮抗薬」「抗腫瘍性抗生物質製剤」「抗腫瘍性植物成分製剤」と、これらに当てはまらない「その他の腫瘍用薬」に分けられます。近年、抗がん剤市場の拡大を牽引している分子標的薬は、「その他の腫瘍用薬」に分類されます。

 

その他の腫瘍用薬(注射)で処方数トップとなったのは、外来(院内処方)が中外製薬の血管新生阻害薬「アバスチン100mg4mL」、入院がヤクルト本社の白金製剤「シスプラチン10mg20mL『マルコ』」(「ブリプラチン/ランダ」の後発医薬品)でした。

 

「アバスチン」の100mg4mL製剤は入院でも処方数2位。400mg16mL製剤も外来で処方数6位、入院で12位にランクインしました。処方金額は計992億700万円。ほかのカテゴリの抗がん剤と比べて見ても、その処方金額の大きさは群を抜いています。

 

【その他の腫瘍用薬・注射】処方数ランキング

 

外来で2位となったのは、同じく中外製薬の抗HER2抗体「ハーセプチン150mg」。3位には「ハーセプチン」の60mg製剤が入りました(外来/入院の処方金額計380億5900万円)。中外製薬の製品はほかにも、抗CD20抗体「リツキサン」(同358億6400万円)や、2013年に発売された新たな抗HER2抗体「パージェタ」もランクイン。この領域での中外製薬の強さを改めて印象付けるランキングとなりました。

 

抗体医薬ではほかにも、メルクセローノの「アービタックス」(同157億円)や武田薬品工業の「ベクティビックス」が処方数上位30製品に入りました。

 

化学療法のベースとして広く使われる白金製剤も多くランクインしていますが、「パラプラチン」(カルボプラチン)や「ブリプラチン/ランダ」(シスプラチン)では後発品がブランド品を処方数で上回っており、この領域でも後発品の浸透が進んでいることをうかがわせます。

 

一方、その他の腫瘍用薬の内服薬では、乳がんや前立腺がんの治療に使われるホルモン療法薬や、チロシンキナーゼ阻害薬などの分子標的薬が上位を占めました。

 

【その他の腫瘍用薬・内服】処方数ランキング

 

外来(院外処方)の処方数トップは、ノバルティスファーマのアロマターゼ阻害薬「フェマーラ」。2位はアストラゼネカの同「アリミデックス」で、閉経後乳がんに対するホルモン療法剤が処方数1位と2位を独占しました。

 

外来(院外処方)で処方金額トップとなったのは、ノバルティスの白血病治療薬「グリベック100mg」(院外の処方数835万5185錠で7位)。2位はアストラゼネカの肺がん治療薬「イレッサ250mg」(同201万3286錠で20位)、3位の「フェマーラ」を挟んで4位にはブリストルマイヤーズ・スクイブの白血病治療薬「スプリセル50mg」(同125万8238錠で30位)が入りました。処方金額ではやはり、分子標的薬が上位を占める結果となっています。院内処方では、セルジーンの多発性骨髄腫治療薬「レブラミド」が処方金額では断トツでした。

 

代謝拮抗薬 内服は「ゼローダ」、注射は「5-FU」がトップ

 

【代謝拮抗薬・内服】処方数ランキング

 

代謝拮抗薬(内服)の処方数トップは、中外製薬の「ゼローダ」でした。処方金額では大鵬薬品工業の「ティーエスワン」がトップですが、後発品の「エヌケーエスワン」(日本化薬)や「エスエーワン」(沢井製薬)も上位30製品にランクインしています。

 

【代謝拮抗薬・注射】処方数ランキング

 

注射薬では「5-FU」が外来/入院ともに処方数で1位と2位を独占。次いで多かったのが、外来は日本イーライリリーの「ジェムザール200mg」(ゲムシタビン)、入院が日本化薬の「キロサイド」でした。外来で4位、入院で5位につけたヤクルト本社の「ゲムシタビン200mg『ヤクルト』」をはじめ、「ジェムザール」の後発品が外来では上位30製品の半分以上を占めています。

 

処方金額のトップは外来/入院とも日本イーライリリーの「アリムタ」。処方金額は外来/入院の全規格を合わせると341億9000万円となります。

 

日本化薬のパクリタキセル、ブランド品上回る処方数

 

【抗腫瘍性植物成分製剤・注射】処方数ランキング

 

タキソ環類の抗がん剤などが分類される「抗腫瘍性植物成分製剤」では、ブリストルマイヤーズ・スクイブの「タキソール」の後発品「パクリタキセル『NK』」(日本化薬)が外来の処方数でトップ。処方数・処方金額とも、ブランド品の「タキソール」を上回りました。「カンプト/トポテシン」(イリノテカン)も後発品に押されています。

 

処方金額でトップとなったのは、大鵬薬品工業の「アブラキサン」で、外来/入院あわせて132億5600万円でした。

 

【抗腫瘍性抗生物質製剤・注射】処方数ランキング

 

「抗腫瘍性抗生物質製剤」のカテゴリでも、上位30製品の多くを後発品が占めました。

 

トップは外来/入院とも協和発酵キリンの「アドリアシン10mg」(ドキソルビシン)ですが、規格違い(50mg製剤)もあわせると同剤の後発品は4製品が上位30製品にランクイン。同じアントラサイクリン系の「ファルモルビシン」(エピルビシン、ファイザー)も処方数の多い抗腫瘍性抗生物質製剤ですが、外来では後発品9製品がランキングに入っています。

 

【NDBオープンデータとは】
厚生労働省がレセプトや特定健診などの情報を収集・格納している「レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB=ナショナルデータベース)」のデータの一部を、誰でも自由に利用できるよう単純な集計表として公開したもの。10月に初めて公表されたオープンデータの集計対象は、2014年4月~15年3月診療分のレセプト約18億800万枚。薬剤に関するデータは、「内用」「外用」「注射」のそれぞれについて、「外来院外」「外来院内」「入院」ごとに、薬効別に処方数上位30品目を集計。「性別年齢別」「都道府県別」の集計表が公開されている。

 

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