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ニュース解説

バイオシミラー、開発競争熾烈…エタネルセプトやトラスツズマブが最終段階に

近く本格化するバイオ医薬品の特許切れを見据え、国内でもバイオシミラーの開発競争が熾烈になっています。

 

現在、各社がターゲットとして開発を進めているのは、抗リウマチ薬エタネルセプトや抗がん剤のトラスツズマブ、リツキシマブなど。開発の最終段階に入っているものも複数あります。

 

低分子医薬品の特許切れのピークアウトが迫る中、企業間提携の動きも活発化。成長市場をめぐる競争は一段と激しさを増しそうです。

 

 

第一三共、エタネルセプトを16年度に申請へ

第一三共は1月、開発を進めているエタネルセプト(先行品名「エンブレル」)のバイオシミラーが、国際共同臨床第3相(P3)試験で、先行品との同等性・同質性が確認されたと発表しました。第一三共は2016年度の申請、2017年度の承認・発売を目指しています。

 

大手と呼ばれる国内製薬企業で唯一、バイオシミラーに取り組んでいる第一三共。2012年に米コヒーラスと提携を結び、バイオシミラーの開発に着手しました。

 

良好なP3試験の結果を受け、中山譲治社長は「日本で最初のエタネルセプトのバイオシミラーの上市を目指す」と意気込みます。

 

第一三共と一番手争う持田製薬

エタネルセプトのバイオシミラーで第一三共と一番手を競っているのが、中堅の持田製薬です。韓国のLGライフサイエンスから導入した候補品は現在、P3試験中。2016年度にも申請に漕ぎ着ける可能性があります。

 

持田製薬はバイオシミラーを医薬事業の柱の1つに位置付けており、国内外の製薬企業と幅広く提携を結んでいます。

 

提携で業界有数のパイプラインに 

エタネルセプトで提携するLGライフサイエンスとは、抗リウマチ薬アダリムマブ(先行品名「ヒュミラ」)の国内開発でも提携。バイオベンチャーのジーンテクノサイエンスとはがん領域で提携、ゲデオンリヒター(ハンガリー)とも長期包括提携を結んでいます。

 

持田製薬は2013年、同社初のバイオシミラーとして、富士製薬工業と共同開発したヒト顆粒球コロニー形成刺激因子(GCS-F)製剤フィルグラスチム(先行品名「グラン」)を発売。フィルグラスチムのバイオシミラーは現在5社が販売していますが、持田製薬の製品はトップシェアを確保しているとみられ、販売面でも実績を固めつつあります。

 

幅広い提携を通じて事業基盤を固めてきた持田製薬のパイプラインは、今や業界有数。近い将来、国内のバイオシミラー市場を牽引する存在となるかもしれません。

 

トラスツズマブは日本化薬リードか

抗体医薬が成長するがん領域でも、バイオシミラーの開発が進んでいます。

 

抗がん剤の後発医薬品に強い日本化薬は現在、トラスツズマブ(先行品名「ハーセプチン」)のバイオシミラーのP3試験を実施中です。申請時期は明らかにされていませんが、国内では最も開発が進んでいるとみられます。

 

これに続くとみられるのがファイザーで、現在P2/3試験の段階。Meiji Seika ファルマはP1試験を実施中です。日医工は近くP1試験を始める予定で、2019年の承認申請、2020年の発売を目指しています。

 

後発品大手、開発は日医工のみ

バイオシミラーは、研究開発に時間と費用がかかる上、多額の設備投資と高い技術が必要。このため、参入には慎重な企業が少なくありません。特に後発品企業にとっては壁が高く、国内の後発品大手で開発に取り組んでいるのは日医工に限られます。

 

日医工はバイオシミラーで米国市場に打って出る構えです。日本で昨年申請した抗リウマチ薬インフリキシマブ(先行品名「レミケード」)は、米国での臨床試験を近く開始予定。2018年の申請、2019年の承認を目指しています。トラスツズマブは日米で同時に開発を進める方針です。

 

日医工はインフリキシマブやトラスツズマブに続いて、腎性貧血治療薬ダルベポエチンアルファ(先行品名「ネスプ」)や抗がん剤リツキシマブ(同「リツキサン」)の開発も決定しています。

 

沢井は販売で参入、東和は慎重姿勢崩さず 

日医工を除く後発品大手では、沢井製薬がサンドと提携してG-CSF製剤フィルグラスチムを共同販売しています。沢井は自社での開発は行わず、販売提携によってバイオシミラー事業を拡大させる方針。東和薬品は依然として参入には慎重です。

 

大型低分子医薬品の特許切れがピークアウトする2017年が迫る中、後発品大手の間でも戦略が分かれています。

 

協和発酵キリン「ネスプ」の“バイオAG”検討

低分子医薬品ではすっかり定着したオーソライズド・ジェネリック(AG)を、バイオ医薬品に展開しようとする動きも出てきました。

 

協和発酵キリンは1月に公表した中期経営計画で、2019年に特許切れを迎える最主力品「ネスプ」(ダルベポエチンアルファ)のAG化を検討する方針を明らかにしました。

 

同社の花井陳雄社長は「新しいチャレンジだ」とする一方、「法律的なことやレギュレーション上のことなど、実現にはハードルもある」とも話しており、本当に実現するかどうかは不透明です。

 

ダルベポエチンのバイオシミラーは、キッセイ薬品工業とJCRファーマが共同でP1試験を実施中。三和化学研究所は韓国企業から候補品を導入、日医工も開発を決めています。

 

実現なら圧倒的シェアに

協和発酵キリンがAGを開発するとなると、競合他社にとっては大きな脅威となります。市場でのAGの競争有意性は、すでにいくつかの低分子薬が実証済み。先行品との同等性・同質性に対する懸念の根強いバイオシミラーではなおさらです。

 

バイオAGが登場すれば、市場で圧倒的なシェアを握るのは確実。競合他社は全く太刀打ちできない可能性が高く、各社の開発戦略にも影響を与えそうです。

 

相次ぐ合従連衡、つかみにくい開発状況

各社の公表資料をもとに、主なバイオシミラーの開発状況と販売状況を表にまとめました。

バイオシミラー

 

バイオシミラーをめぐっては、企業同士の合従連衡が活発です。持田製薬や日本化薬、日医工などは、製造技術が世界的に評価されている韓国企業と提携。第一三共は米社と、陽進堂はインドの後発品大手とタッグを組みました。国内のベンチャー企業も加わり、各社の相関関係は複雑化しています。

 

そうしたこともあってか、バイオシミラーの開発状況はなかなかつかみにくいのが現状。開発品目や進捗状況を一切明らかにしていない企業も多くあります。

 

開発品明らかにしない企業多く 

例えば、UMNファーマとアピ、ヤクルト本社の3社は、がん領域で少なくとも2品目の共同事業契約を結んでいますが、詳細は不明。ジーンテクノサイエンスも、持田製薬とがん領域で、千寿製薬と眼科領域で開発を進めていますが、品目は明らかにしていません。

 

開発を水面下で進めている企業も少なくないとみられ、突如参入に名乗りを上げる企業が出てきても何ら不思議ではありません。“低分子後”の成長市場をめぐる争いが激しくなる中、むしろそうなるのが自然と考えるべきでしょう。

 

■バイオシミラーをめぐる最新の動向はこちら■

バイオシミラー、激しさ増す開発競争―米アムジェンも日本市場に名乗り、エタネルセプトはP3に3社

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