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ニュース解説

バイオシミラー いよいよ抗がん剤にも…サンド/協和キリンのリツキシマブが承認 11月にも発売へ

将来の市場拡大をにらみ、各社が開発にしのぎを削るバイオシミラー。サンドが先月、リンパ腫などに使われるリツキシマブの承認を取得し、いよいよ抗がん剤にもバイオシミラーが登場することになりました。

 

低分子薬でも後発医薬品への切り替えが進みづらいと言われている抗がん剤。バイオシミラーは新たな市場を作ることができるのでしょうか。

 

薬剤費8万円安く

厚生労働省は9月28日、サンドが申請していた抗がん剤「リツキサン」(中外製薬)のバイオシミラー「リツキシマブBS点滴静注『KHK』」の製造販売を承認しました。リツキサンのバイオシミラーは国内ではこれが初めて。販売は、リンパ腫治療薬「ポテリジオ」で血液がん領域に基盤を持つ協和発酵キリンが行うことになっています。順調にいけば11月に薬価収載され、発売となる見通しです。

リツキシマブ先行品とバイオシミラーの比較

先行品「リツキサン」とバイオシミラー「リツキシマブBS『KHK』」の概要を表にまとめました。

 

先行品は7つの適応を持っていますが、バイオシミラーは▽CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫▽免疫抑制状態化のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患▽ヴェゲナ肉芽腫症・顕微鏡的多発血管炎――の3適応のみ。難治性ネフローゼ症候群など残る4つの適応は、現時点ではバイオシミラーにはありません。

 

現行の薬価算定ルールでは、バイオシミラーの薬価は先行品の70%とすることになっています。試算してみると、バイオシミラーの薬価は100mg10mLで3万548.7円、500mg50mLで14万9670.5円。それぞれ先行品と比べて約1万3000円、約6万4000円安くなります。身長170cm体重60kgの人に投与する場合、1回あたりの薬剤費は8万円近く下がる計算です。

 

トラスツズマブが申請中 ベバシズマブも後期段階に

国内で抗がん剤にバイオシミラーが登場するのは、今回のリツキシマブが初めて。米国でも先月、抗がん剤初となるバイオシミラーとして、米アムジェンの「Mvasi」(ベバシズマブ、先行品名・アバスチン)が承認されました。これまで関節リウマチやインスリンなどの領域で販売されてきたバイオシミラーが、いよいよがん領域にも広がってきます。

 

国内で開発中の抗がん剤のバイオシミラーを表にまとめました。

国内で開発中の抗がん剤のバイオシミラー

国内では現在、リツキサンに加え、「ハーセプチン」(トラスツズマブ)と「アバスチン」をターゲットにバイオシミラーの臨床開発が進められています。今回、サンドが承認を取得したリツキシマブでは、日本化薬が臨床第3相(P3)試験を、ファイザーがP2/3試験を実施中。ファイザーはトラスツズマブとベバシズマブも開発しており(いずれもP2/3試験)、第一三共と提携する米アムジェンも両剤のバイオシミラーを日本で開発する方針を示しています。

 

日本化薬は17年4月、韓国セルトリオンと共同開発したハーセプチンのバイオシミラーを申請。これに対し、先行品を販売する中外製薬は8月、用途特許を侵害しているとして、製造販売の差し止めを求めて日本化薬を提訴しました。当初は18年にも発売されるとみられていましたが、訴訟の行方によっては発売が遅れる可能性があります。

 

疾患で異なる浸透度合い 抗がん剤は…

現状、バイシミラーの普及の度合いは対象疾患によって大きく異なっています。

 

米クインタイルズIMSの調査によると、14年7月に発売された関節リウマチ治療薬インフリキシマブ(先行品・レミケード)のバイオシミラーのシェアは3.0%。欧州各国に比べて大きく遅れています。一方、15年8月発売の糖尿病治療薬インスリングラルギン(ランタス)は27.7%まで上昇してきました。

バイオシミラーの国別シェア

バイオシミラーに対しては、先行品との同等性・同質性に不安を持つ医師が依然として多いほか、一定額を超えた医療費は自己負担せずに済む「高額療養費制度」の対象となる場合が多く、バイオシミラーに切り替えても患者にとっては経済的メリットがないことなどが普及を阻んでいると指摘されています。

 

IMSジャパンの馬場大輔取締役は「インスリングラルギンの場合、単純に患者負担が下がることや、大手の製薬会社が手がけて積極的にプロモーションしていることで、日本では切り替えがだいぶ進んでいる」と指摘。「DPCの中に入っているとか、急性期の薬で切り替えやすいとか、患者の負担が減るとか、何かしら目に見えるものがあると進む」と解説します。

 

低分子の医薬品でさえ、後発医薬品への切り替えが比較的進みにくいとされている抗がん剤。バイオシミラーは普及するのでしょうか。リツキシマブの動向が注目されます。

 

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