
富士フイルムは7月19日、アルツハイマー型認知症を対象に開発中の「T-817MA」について、米国で行った臨床第2相(P2)試験で、罹病期間が短い患者群で認知機能低下の進行をプラセボに比べて有意に抑制したと発表した。米FDA(食品医薬品局)と結果について協議し、P3試験に向けた検討を進めていく。
試験は、ドネペジルやリバスチグミンで治療を受けている軽度から中等度のアルツハイマー型認知症患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験。「T-817MA」高用量(448mg)、「T-817MA」低用量(224mg)、プラセボの3群に分け、52週間投与した。有効解析の対象となった患者は369人。
主要評価項目であるADAS-cogスコアの変化量は、患者全体では統計学的有意差は認められなかった。一方、罹病期間の短い患者(診断から投薬開始までの期間が2.6年以内、解析対象197人)では、「T-817MA」高用量群(変化量5.85)はプラセボ(同8.87)に比べて統計学的に有意に低かった。富士フイルムは「罹病期間の短い患者群で認知機能低下の大幅な進行抑制が認められ、P3試験に向けて有効性が期待できる対象患者が示唆された」としている。
「T-817MA」は富士フイルムグループの富山化学工業が創製。神経細胞障害を軽減させる機能を持つシグマ受容体を活性化することで、神経細胞死抑制効果や神経突起進展促進効果を示すという。富士フイルムは、ほかの製薬メーカーとの共同開発も視野に「T-MA817MA」の開発を進める考え。国内では富山化学が2014年5月からP2試験を行っている。
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