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ニュース解説

新薬創出加算、対象見直しで影響を受けそうな医薬品は?

2018年度の薬価制度改革の大きなテーマである「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」。6月9日に政府がまとめた「骨太の方針2017」では「革新性のある医薬品に対象を絞る」とされ、中央社会保険医療協議会・薬価専門部会で具体的な議論が始まりました。

 

これまでの議論では、類似薬効比較方式(Ⅱ)で薬価算定された品目や配合剤は、加算の対象から除外すべきとの意見が出ています。影響を受けそうな医薬品をピックアップしました。

 

類似薬効比較方式(Ⅱ)と配合剤は除外すべき

「類似薬効比較方式(Ⅱ)や新医療用配合剤(の特例)で薬価算定された新薬は、加算の対象から外すのが妥当ではないか」

 

2018年度の薬価制度改革で焦点の1つとなっている新薬創出・適応外薬解消等促進加算。見直しに向けた具体的な議論が始まった6月14日の中央社会保険医療協議会(中医協)の薬価専門部会で、医療保険者ら支払い側委員からこんな意見が上がりました。

 

新薬創出加算をめぐっては、昨年末に政府がまとめた「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」で「ゼロベースで抜本的に見直す」とされ、6月9日に閣議決定された「骨太の方針」には「革新性のある医薬品に対象を絞る」との方針が盛り込まれました。

 

加算の目的は、ドラッグ・ラグの解消と革新的新薬の創出。未承認・適応外薬の解消も進み、日本での開発品目が増加するなど、一定の成果は上げていると言えます。

 

一方、「薬価と市場実勢価格の乖離率が全医薬品の加重平均を超えない」という加算の要件には、導入当初から「真に革新的な医薬品に適用される仕組みとなっていない」という批判がなされてきました。「高い価格でも購入され、使用されている=医療現場で革新性・必要性が評価されている」との考え方ですが、加算を受けるために製薬企業が仕切価(卸への販売価格)を高く設定しているのではないか、との指摘もあります。

 

タケキャブやレクサプロなど 各社主力品に影響?

では、加算対象となる革新的新薬をどう選び出すのか。

 

冒頭で紹介した意見にあった「類似薬効比較方式(Ⅱ)」はそもそも、新規性の乏しい新薬(類似薬が3つ以上存在)に適用される薬価算定方式。配合剤の特例も、配合成分が単剤として薬価収載されているといった場合に適用されるルールです。「“ゾロ新”を開発するインセンティブになっている」との指摘もあり、これらを加算の対象から外すとの意見には、確かに一理あります。

類似薬効比較方式(Ⅱ)と新医療配合剤の特例

現在、新薬創出加算を受けている品目のうち、類似薬効比較方式(Ⅱ)や新医療用配合剤の特例で薬価算定された品目にはどんなものがあるのでしょうか。2010年度から16年度薬価改定までに薬価収載された医薬品からピックアップしてみました。

新薬創出加算対象品目のうち、類似薬効比較方式(Ⅱ)や新医療用配合剤の特例で薬価算定された品目

不眠症治療薬「ルネスタ」(エーザイ)や抗うつ薬「レクサプロ」(持田製薬)、酸関連疾患治療薬「タケキャブ」(武田薬品工業)、喘息治療薬「フルティフォーム」(杏林製薬)など、各社が主力品として期待する、あるいはすでに主力品となっている製品が並びました。16年4月の薬価改定以降も、抗精神病薬「シクレスト」(MeijiSeikaファルマ)やB型肝炎治療薬「ベムリディ」(ギリアド・サイエンシズ)など大型化が見込まれる製品が類似薬効比較方式(Ⅱ)で算定されています。

 

新薬創出加算の対象品目は、16年度改定時点で416成分823品目。全体から見ると数としては多くありませんが、各社の主力品が含まれているだけに、仮にこれらが加算対象から外れるとすれば、影響は決して小さくはありません。

 

製薬業界は「丁寧な議論を」

一方、製薬業界側は「類似薬効比較方式(Ⅱ)として一括りにするのではなく、丁寧な議論が必要だ」との立場です。6月14日の中医協・薬価専門部会では業界代表の加茂谷佳明専門委員(塩野義製薬上席執行役員)が「安全性の面で投与できなかった患者に改良型新薬と投与できる場合もあるし、(新薬がなければ)薬剤耐性問題で治療できない患者もいる」と指摘。「とりまとめて議論するのではなく、中身を論じてほしい」と求めました。

 

作用機序としては新規性が乏しくても、改良がなされることで効果が高まったり、副作用が軽減されたり、利便性が高まったり、といったこともあり得ます。同じ時期に複数の企業が同じターゲットを目指して新薬を開発することもあり、こうした場合、少し開発が遅れるとすでに類似薬が複数存在するといった状況になりかねません。

 

製薬企業の経営や新薬開発への投資に大きな影響を与えるだけに、丁寧な議論が必要です。

 

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