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遺伝子治療薬

遺伝子治療薬とは

遺伝子治療薬とは、遺伝子を主成分とする医薬品のことです。特定の遺伝子を患者に投与し、その遺伝子が作り出すタンパク質の作用によって疾患を治療します。

 

遺伝子治療薬は特に、遺伝性疾患の治療に効果を発揮すると期待されています。遺伝子に異常があったり、遺伝子が欠損したりしていることで、特定のタンパク質が作れず病気を発症している場合、正常な遺伝子を投与することでタンパク質を作れるようにすれば、病気を根本的に治療できる可能性があるからです。

 

例えば、2019年5月に米国で承認された脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する遺伝子治療薬「ゾルゲンスマ」(スイス・ノバルティス)は、SMA患者で変異がみられるSMN1遺伝子が主成分。SMAは、SMN1遺伝子の変異によって正常なSMNタンパク質が作れず、脊髄内の運動ニューロンに変性が生じ、筋肉が萎縮して筋肉量と筋力が低下する疾患です。ゾルゲンスマを投与し、正常なSMN1遺伝子を導入することで、正常なSMNタンパク質を産生させ、神経や筋骨格の機能を改善すると期待されています。

 

厚生労働省の「遺伝子治療等臨床研究に関する指針」(2015年8月策定、17年4月一部改定)では、遺伝子治療を「疾病の治療や予防を目的として遺伝子または遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与すること」と定義しています。この定義に沿えば、遺伝子そのものを投与する遺伝子治療薬のほか、キメラ抗原受容体を発現する遺伝子をT細胞に導入した「CAR-T細胞療法」や、遺伝子改変を施したウイルスにがんを攻撃させる「腫瘍溶解性ウイルス」も遺伝子治療に含まれます。

 

NewsPlus遺伝子治療薬

 

国内で開発・販売中の遺伝子治療薬

2019年10月現在、日本国内で販売されている遺伝子治療薬は、大阪大発のバイオベンチャー・アンジェスが開発し、田辺三菱製薬が販売する「コラテジェン」(一般名・ベペルミノゲン ペルプラスミド)のみです。

 

コラテジェンは、肝細胞増殖因子(HGF)というタンパク質をつくるHGF遺伝子が主成分で、適応は「標準的な薬物治療の効果が不十分で血行再建術の施行が困難な慢性動脈閉塞症(閉塞性動脈硬化症およびバージャー病)における潰瘍の改善」。HGFには血管をつくる作用があり、足の筋肉にコラテジェンを投与すると、HGFの働きによって詰まった血管の周囲に新しい血管ができ、血流を回復して慢性動脈閉塞症による改善を改善します。

 

コラテジェンに続くのはゾルゲンスマで、日本ではノバルティスファーマが2018年11月に申請。コラテジェンは、慢性動脈閉塞症における安静時疼痛への適応拡大に向けた臨床第3相(P3)試験を行っています。

 

腫瘍溶解性ウイルスはまだ国内で承認されたものはなく、第一三共やアステラス製薬、タカラバイオ、オンコリスバイオファーマ、アステラス・アムジェン・バイオファーマなどが開発を進めています。

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