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先駆け審査指定制度

先駆け審査指定制度とは

先駆け審査指定制度とは、世界に先駆けて日本で申請される革新的な医薬品・医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品を、承認審査で優遇する制度です。最先端の治療をいち早く日本の患者に届けることを目的に、2015年に創設されました。

 

先駆け審査指定制度の対象品目に指定されると、医薬品医療機器総合機構(PMDA)による承認審査の手続きで優先的な扱いを受けることができます。これにより、医薬品の場合、通常なら12カ月かかる審査期間を半分の6カ月に短縮します。

 

先駆け審査指定制度の対象品目が受けられる優遇措置

先駆け審査指定制度の対象品目が受けられる優遇措置は
▽治験相談で優先的に扱われる
▽申請予定資料の事前評価で、対象品目専用の「先駆け総合評価相談」を受けられる
▽自動的に優先審査の対象となる
▽PMDA職員が審査パートナーとして付き、開発の進捗管理の相談に応じてくれたり、審査関係部署との調整を行ってくれたりする
▽場合によっては、再審査期間が最長10年に延長される
の5つ。

 

事前評価とは、ある時点で提出可能なデータに基づいて申請前から評価を行い、実質的に承認審査を前倒しする仕組み。通常は「品質」「非臨床」「臨床」の3区分ですが、「先駆け総合評価相談」はこれに「信頼性」「「GMP」が加わります。申請前にあらかじめ審査上の課題を指摘し、解決を図ることで、申請後の審査期間を短縮。さらに優先的に審査を行うことで、通常の半分という短期間で承認できるようにしています。

 

先駆け審査指定制度による審査期間の短縮の図。

 

先駆け審査指定制度の対象品目

先駆け審査指定制度の対象品目に指定されるには、
▽すでに承認されている医薬品と異なる作用機序である(画期性)
▽生命に重大な影響がある疾患などが対象である(対象疾患の重篤性)
▽既承認薬が存在しない、または既存の治療に比べて有効性の大幅な改善が見込まれる(極めて高い有効性)
▽世界に先駆けて日本で申請される予定のものである(日本で早期開発・申請する意思)
の4つの要件をすべて満たさなければなりません。

 

先駆け審査指定制度 対象品目の指定要件(医薬品)の表。【1~4をすべて満たすもの】<1、治療薬の画期性>原則として、すでに承認されている医薬品と異なる作用機序であること。(既承認薬と同じ作用機序でも、対象疾患が初めてのも、画期的な薬物送達システムを用いているものなどで、その結果、有効性の大幅な改善が見込まれるものも含む)。<2、対象疾患の重篤性>以下のいずれかの疾患に該当するものであること。・生命に重大な影響がある重篤な疾患・根治療法がなく症状(社会生活が困難な状態)が継続している疾患。<3、対象疾患に係る極めて高い有効性>既承認薬が存在しない、または既存の治療薬もしくは治療法に比べて有効性の大幅な改善が見込まれること(著しい安全性の向上が見込まれる場合も含む)。<4、日本で早期開発·申請する意思>日本における早期からの開発を重視し、世界に先駆けて日本で申請される(同時申請も含む)予定のものであること。なお、国内での開発が着実に進んでいることが確認できる以下のいずれか、もしくは療法に該当する治療薬であることが望ましい。・First In Human(FIH)試験が日本で行われたもの。・Proof Of Concept (POC)試験が日本で行わたもの。

 

対象品目は厚生労働省が公募し、それに応じた品目の中から審査・評価を行った上で厚労省が指定します。2015年の制度創設以降、公募は毎年行われており、医薬品の場合、2019年3月時点で16品目が指定されています。

 

このうち、▽結節性硬化症に伴う皮膚病変の治療薬「ラパリムスゲル」(一般名・シロリムス、ノーベルファーマ)▽抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ」(バロキサビル マルボキシル、塩野義製薬)▽急性骨髄性白血病治療薬「ゾスパタ」(ギルテリチニブ、アステラス製薬)――の3品目が承認を取得しています(2019年3月時点)。

 

先駆け審査指定制度の対象品目(医薬品)の表。品名:ラパリムスゲル、社名:ノーベルファーマ、適応:結節性硬化症に伴う皮膚病変、承認済み。品名:NS-065/NCNP-01、社名:日本新薬、適応:デュシェンヌ型筋ジストロフィー。品名:ゾフルーザ、社名:塩野義製薬、適応:A型・B型インフルエンザ、承認済み。品名:BCX7353、社名:Integrated・Development・Associates、適応:遺伝性血管浮腫の発作の管理。品名:ゾスパタ、社名:アステラス製薬、適応:FLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病。、承認済み。品名:オリプダーゼアルファ、社名:サノフィ、適応:酸性スフィンゴミエリナーゼ欠乏症。品名:aducanumab、社名:バイオジェン・ジャパン、適応:アルツハイマー病の進行抑制。品名:DS-5141b、社名:第一三共、適応:デュシェンヌ型筋ジストロフィー。品名:SPM-011、社名:ステラファーマ、適応:悪性神経膠腫/頭頸部がん。品名:ニボルマブ、社名:小野薬品工業、適応:胆道がん。品名:RTA402、社名:協和発酵キリン、適応:糖尿病性腎臓病。品名:JR-141、社名:JCRファーマ、適応:ムコ多糖症II型。品名:タファミジスメグルミン、社名:ファイザー、適応:トランスサイレチン型心アミロイドーシス、申請中。品名:MSC2156119J、社名:メルクセローノ、適応:METエクソン14スキッピング変異を有する非小細胞肺がん。品名:Trastuzumab deruxtecan、社名:第一三共、適応:HER2過剰発現が確認された胃がん。品名:Entrectinib、社名:中外製薬、適応:NTRK融合遺伝子変異陽性の固形がん、申請中。

 

先駆け審査指定制度加算とは

先駆け審査指定制度の対象品目には、薬価算定の際に「先駆け審査指定制度加算」が上乗せされます。

 

先駆け審査指定制度加算は、画期的新薬の早期開発に対するインセンティブとして2016年度の薬価制度改革で創設されました。加算率は加算前薬価の10~20%で、先駆け審査指定制度の対象品目なら適応拡大でも加算がつくことになります。

 

2019年3月時点で承認されている先駆け審査指定制度の対象品目には、いずれも10%の加算がつきました。

 

先駆け審査指定制度加算の適応状況の表。【先駆け審査指定制度加算の適応状況】品名:ゾフルーザ、加算率:10パーセント、申請:17年10月、承認:18年2月、薬価収載:18年3月、発売:18年3月。品名:ラパリムスゲル、加算率:10パーセント、申請:17年10月、承認:18年3月、薬価収載:18年5月、発売:18年6月。品名:ゾスパタ、加算率:10パーセント、申請:18年3月、承認:18年9月、薬価収載:18年11月、発売:18年12月。

 

 

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