塩野義に行政指導、「アシテア」講演会がガイドラインに抵触/大塚、アイオニスからALS向け核酸医薬を導入 など|製薬業界きょうのニュースまとめ読み(2024年11月22日)
費用対効果評価とは
費用対効果評価とは
費用対効果評価とは、医薬品・医療機器の費用対効果を薬価(価格)に反映させるための仕組みのこと。価格に見合った効果が得られているかを評価し、費用対効果が「悪い」とされれば薬価を引き下げます。高額な薬剤が相次いで登場し、公的医療保険財政に与える影響が懸念されたことを背景に、2016年度の薬価制度改革で試行的に導入されました。
2016年度の試行的導入では、医薬品7品目、医療機器6品目の計13品目が対象となり、2018年4月の薬価改定で費用対効果評価に基づく価格調整が初めて行われました。現在は、試行的導入で見つかった課題について議論が行われており、厚生労働省は2019年4月の本格導入を目指しています。
費用対効果の評価方法
効果はQALYで評価
医薬品の費用対効果は、「効果」をQALY(クオリー、Quality-adjusted life years=質調整生存年)で評価します。QALYとは、QOL(Quality of life=生活の質)と生存年をあわせて評価するための指標。完全な健康状態を「1」、死亡を「ゼロ」としてQOLを数値化し、そこに生存年を掛けて算出します。費用対効果評価では、このQALYが高いほど「効果が高い」ということになります。
下の図は、QALYの概念を表したものです。【病気でQOL0.5の状態で30年生きた患者A】と【完全な健康状態で15年、その後病気で寝たきりとなりQOL0.1の状態で15年生きた患者B】を比べてみると、生存年は同じ30年でも、QALYは【患者B】のほうが高くなります。
費用対効果は1QALY獲得するのにかかる費用で評価
費用対効果は、QALYを「1」獲得するために、既存治療に比べて追加でどれくらいコストがかかるかで評価します。この尺度となるのが、ICER(Incremental cost-effectiveness ratio=増分費用効果比)です。
ある疾患に標準的に使われる既存薬Cが10QALY獲得するのに1000万円、同じ疾患に対する新薬Dが15QALY獲得するのに3000万円かかるとします。この場合、新薬DのICERを計算すると400万円となり、新薬Dは既存薬Cに比べて1QALY獲得するのに追加で400万円のコストがかかるということになります。
最終的には、このICERがあらかじめ定めた基準(閾値)より高いか低いかで、費用対効果を評価します。仮にこの基準が500万円だった場合、ICERが400万円の新薬Dは「費用対効果が良い」という結論になります。
試行的導入では、この基準が「500万円」「1000万円」の2段階で設定されました。ICERが500万円を下回った場合は「費用対効果が良い」として薬価の引き下げは行わず、500~1000万円の場合はICERに応じて、1000万円以上の場合は最大の下げ幅で、それぞれ薬価が引き下げられました。
費用対効果評価のプロセス
費用対効果評価は、
(1)対象品目の選定
(2)企業によるデータ提出
(3)再分析(公的分析)
(4)総合的評価(アプレイザル)
(5)価格調整
の順で行われます。
(1)対象品目の選定
あらかじめ決めた基準に従い、厚生労働省が対象品目を選定します。
試行導入では、次のような基準をもとに対象品目が選定されました。
(2)企業によるデータ提出
対象品目が決まると、企業はガイドラインに沿って費用対効果の分析を行います。
(3)再分析(公的分析)
企業から提出されたデータを、公的な専門組織が中立的な立場から再度、分析します。
(4)総合的評価(アプレイザル)
中央社会保険医療協議会(中医協)の費用対効果評価専門組織が、企業の分析結果と再分析結果をもとに、倫理的・社会的な影響も考慮した上で最終的な評価結果をまとめます。
(5)価格調整
総合的評価の結果をもとに、あらかじめ決められた基準に従って薬価の調整(引き下げ)を行います。
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